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あなたが抱く自然のイメージは?(やさしくわかる自然保護1)

2000.03.27
解説

月刊『自然保護』No.425(1998年4月号)に掲載された、村杉事務局長による自然保護に関する基礎知識の解説を転載しました。
自然保護に関する考え方や概念それに用語など、基礎的なデータベースとしてご活用ください。各情報は発表当時のままのため、人名の肩書き等が現在とは異なる場合があります。
やさしくわかる自然保護 もくじ


あなたが抱く自然のイメージは?

財団法人日本自然保護協会が産声を上げて、半世紀になろうとしている。その間多くの会員の皆様とともに、日本の自然を守ることを旗印に掲げて、がんばってきた。いつ、どんなことをして、その結果がどうであったかについては、通巻で425冊になった『自然保護』に詳しく語られている。

日本自然保護協会の半世紀の歩みは、戦後の日本の「自然保護」の歴史と言っても過言ではないだろう。この間の50年は、日本が敗戦の荒廃の中から立ち上がり、先進国の仲間入りをするまでの、じつに変化に富んだ時期である。自然保護運動も時代とともに多様化し、それにともなって「自然保護」という言葉も、人により、場合によっていろいろな意味に使われるようになってきた。

「自然保護ってなにをするのか、いまひとつわかりにくい」とよく言われる。わかりにくい理由の1つとして、「自然保護」という言葉がもつ意味が広がり、自然をどうやって保つかという方法論と、何が自然保護かという認識との間に、ずれが生じていることが考えられる。

では、なぜ同じ「自然保護」という言葉を使っていながら、ずれるのだろう。どうやらそれは「自然」の概念と「保護」の概念、どちらも幅が広く、あいまいなためではないだろうか。あいまいな言葉が2つ重なっては、わかりにくいのももっともだ。そんな疑問を少しでもすっきりさせるために、この連載では、あらためて「自然」や「保護」の考え方を整理してみることとなった。

では、さっそく「自然」について――。あなたは「自然」という言葉で、どんなイメージを抱きますか。

1997年12月に東京都内の公園で行われた「自然観察会」で、観察会初体験の参加者に行ったアンケートの結果が、下欄にある。このように、自然観察をする前の人々は一般に、山や川など、ある環境のまとまりを「自然」として連想しやすく、土とか花などの身の回りに普通にあるものは、連想しにくい。連想として出てこないのは、ふだんはそれを「自然」というくくりでは意識していないからだろう。しかし、そのような人でも、ひとたび自然観察を体験すると、自分の身の回りや、足元の小さな世界にまで「自然」のイメージがふくらむことが常である。

(むらすぎ さちこ)

自然という言葉から、あなたは何をイメージしますか

「環境NGO入門講座」1997年12月14日北の丸公園にて調査 参加者:21名

  • 【 自然観察の前 】

    山(6人)、海(4人)、川(3人)、森林(2人)、樹木(2人)、空(2人)、緑(1人)、大地(1人)

  • 【 自然観察の後 】

    生命(4人)、光(4人)、水(3人)、人間(2人)、鳥(2人)、土(2人)、芝生(2人)、動き(2人)

<筆者紹介>
村杉幸子
都留文科大学非常勤講師、東京都立白高校教諭などを経て、1996年4月、事務局長に就任。生物教育・環境教育に長年携わってきた。

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