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徳山ダム建設問題と猛禽類生息地保全

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1999.12.07

徳山ダム「公開資料」の取り扱いについての要請

今回の調査資料においては、まだ公にされていない猛禽類の生息地などの情報が多数含まれているため、自然保護の観点から、NACS-Jでは下記のような公開と資料取扱のルールをつけさせていただきました。今後この資料に触れる機会のある方は、ご協力をどうぞよろしくお願いいたします。
  1. 今回の原資料は、「徳山ダムワシタカ類に関する資料(詳細版) (平成11年9月)水資源開発公団徳山ダム建設所」であり、生データが記入された図面を中心とする文書である。その文書を、この問題に関わる社会的な情報公開の必要性から、情報公開上の最低限の機能は維持させた上で試行的にマスキング措置を施したものが「公開資料」である。したがって、この公開資料といえども不特定多数に広く流布させるための資料ではない。このことを正確に認識していただくことを、第一に要請する。猛禽類にかかわる「調査データの公開」は、猛禽類へのさまざまな悪影響を誘引することが予測されるため本来望ましいものではない。その理由は、情報公開資料冒頭の説明書にまとめてある。この地域は特に、イヌワシ・クマタカ共に既知の生息地ではないため、特段の注意が必要である。
  2. 徳山ダム事業という巨大な開発計画地の中に、イヌワシ・クマタカという希少猛禽類の重要な生息地があることは事実である。しかし、事業者により行われた調査はこれまで未公表のため、生息状況の把握程度も保全対策の効果も社会的には検証できず、また制度上の理由から環境アセスメントも行われないという状況の中では、何らかの形で猛禽類に関する現況を公表し、社会的な検討を促す必要があると考えられた。本来は、事業者により行われた調査結果や保全対策は、点検や審査にあたる(専門の)第3者機関や行政機関が介在し、公正・適切に状況把握が行われた上で計画そのものに反映されなければならない。ただし、そのような機関も制度も現在の日本には存在していない。今回の「公開資料」作成は、ある程度これに代わるものとなることを期待して、NACS-Jは関与した。
  3. 「公開資料」の作成にあたりNACS-Jでは公開程度を定める一定の基準を用意したが、資料における情報公開に必要な機能の確保と希少猛禽類の保護から要請される非公開情報の必要性との整合のあり方については、事例もほとんど無く理想的な整合点は定まらなかった。今回の公開程度の分類を「試行」としているのは、そのことが理由である。今回の「公開資料」の試行・作成にあたっては、NACS-Jは二名の専門家から意見を伺ったが、最終的にはNACS-Jとして公開程度を判断した。仮にこの試行で問題が発生した場合にも、この二名の専門家に責任は生じない。NACS-Jでは、この徳山ダムに関わる公開文書の取り扱いを事例とし、今後さらに研究する必要があると考えている。
  4. 資料の公開方法は公団が定めるものであるが、「公開資料」にも情報公開の要請から含まれた1.の悪影響を誘引しかねない情報が含まれている。ついては、「公開資料」作成に関与した団体として、資料を手にされる行政機関、報道機関、この事業に関心を持たれる各種市民団体には、以下のことにご協力いただけるよう NACS-Jとして強く要請する。

(1)本報告内容の報道等に関わる図面類の転載は、避けていただきたい。

(2)資料に基づいて図面の概要を作成する場合にも、必要最小限の表現にとどめていただきたい。

(3)資料を複製することは避け、目的に添った活用後は資料を公団に返却していただきたい。

 

以上

(横山隆一・日本自然保護協会)

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