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鳥獣保護法改正への提言

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1999.05.21

NGOが国会動かすか 鳥獣保護法改正審議

『週刊金曜日』1999年5月21日号より転載

 「週刊金曜日」編集部の許可を得て転載しています
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「鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律(鳥獣保護法)」改正案が、国会で審議されている。

この改正は、国内の野生動物を科学的・計画的に「保護管理」して農林業被害問題を解決しようというものである。しかしNGOは、保護管理の十分な体制が整わないまま地方に任せようとする改正案には非常に問題があると考え、国会議員に働きかけてきた。

当初この法案に関心を持っている議員はほとんどおらず、農林被害が甚大な地域の議員からはむしろ賛成の声も高かった。しかしNGOの説明に議員の支持が次第に高まり、公明党や社民党は環境部会として、民主党や共産党は党として反対決議を出した。結局、参議院の野党議員の大部分が反対にまわることとなった。

この法案は先に参議院にかけられ、国土・環境委員会が4月15日及び20日に開催された。そこでは「国が野生動物を保護する姿勢に欠けている」「個体数管理に偏っていて、被害防除や野生動物の生息地確保が不十分である」「他省庁との連携がとれていない」「高齢化・減少が著しい狩猟者に頼った保護管理は問題がある」「鉛中毒問題に早急な対処が必要である」などNGOの主張が野党議員から次々出されたが、それに対して環境庁は議員が十分納得できるような改正の根拠を示すことができなかった。委員長(自民党)までが環境庁の準備不足を指摘して、環境庁長官自身がそれを認める一幕もあった。

また20日に行われた参考人質疑でも、NGOや研究者から問題点が数多く指摘された。野生動物の個体数を減らすだけで農林業被害はゼロにならないことや、保護管理計画策定へのNGOの参画を環境庁が認める発言もあった。今回のNGOの動きは、議員の問題意識を高め、国会で野生動物保護問題の議論を生むきっかけとなり、非常に効果的であったと言える。

参議院先議の場合、参議院で否決されると衆議院に移ることなくそのまま廃案となる。現在本会議での採決は微妙であり、再三委員会採決が延ばされており、場合によっては時間切れ廃案も考えられる。ただ、この改正案とは別に、捕獲許可権限が機関委任事務から自治事務に変更されるなど、地方分権一括法案で鳥獣保護法が改正されることとなる。この法案は衆議院の先議であり、しかも475本もの法案が一括して審議されることから、個別の法案について十分な審議がなされないまま通ってしまう可能性が高い。本来一つの改正案として出されるべきものが別々に審議されるのは、問題点があいまいになり、本質的な論議ができなくなるという点で極めて問題であると言えよう。

現時点で改正の行方は分からないが、いずれの結論になろうとも、今回の論議を活かし野生動物保護のための根本的な施策の向上を求めたい。

 

(日本自然保護協会保護研究部・田村尚久)

 

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