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1996.12.01

群馬・川古ダム計画に中止の判断 イヌワシ・クマタカのすむ谷はコリドー指定に

『自然保護』No.412(1996年12月号)より転載


ダム計画、公共事業見直しで中止に

イヌワシが利用している谷に計画されていることから、NACS-Jが建設省に見直しを求めていた川古ダム計画が中止されることが、9月24日に決まった。

建設省関東地方建設局が開いた「事業評価監視委員会」が建設局からの案を承認したもので、委員会は、計画が長期化している管内の直轄事業と水資源開発公団のダム事業の再評価を審議しており、政府与党による公共事業の見直し案で建設省の中止検討リストに入っていた川古ダム(新治村)と、平川ダム(利根村)も審議対象になっていた。中止理由は「利水者の事業に対する参加が見込めない」とされており、下流住民のダム建設への理解形成を疑問視していたとみられているが、将来の水がめとして準備されてきたものの首都圏人口の伸びの鈍化や、猛禽類の繁殖との関係も背景にあった。両ダムは計90億円程度が調査費などに投入されており、川古ダムは、環境アセスメントや地質調査などの最中だった。

地元市民グループが示したデータ

NACS-Jは、1996年から「新治村の自然を守る会」と、大型猛禽類の生息状況調査を行っていた。当初は、スキー場新設計画(事業主体・コクド)による、猛禽類への影響を予測するためのものだったが、調査をすすめるうちに、川古ダム計画にも重大な問題があることが明らかになった(上図参照)。このデータを基に、”川古ダム計画は新治村唯一のイヌワシ繁殖地を消失させる”として計画見直しを訴えてきた。

一帯は”コリドー”として

ダム計画は中止されたが、ここのイヌワシは1996年以降さまざまな要因から繁殖に失敗している。ダムというマイナス要因が除かれた今後は、環境の質を上げつつ維持されるしくみがほしい。そこで、三国山系も管轄している関東森林管理局による「緑の回廊(コリドー)」の設定に関し(林野庁の検討会にNACS-J横山常務理事が委員で参加)、この一帯もぜひ回廊に組み込むよう提言している。ご支援くださった会員の皆さまにお礼申し上げると共に、イヌワシ・クマタカのくらす谷の今後にもご注目いただきたい。

(志村智子・『自然保護』編集長)

※NACS-Jが「新治村の自然を守る会」とともに実施した猛禽類調査の結果は、「群馬県新治村・三国山系大型猛禽類生息状況報告」(1999年12月/日本自然保護協会報告書第86号/本体価格3000円)にまとまっています。

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