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北海道・千歳川放水路計画に対する 桜井新環境庁長官の発言に対するコメント

1994.07.18
要望・声明
 

 

1994年7月4日(財)日本自然保護協会
保護部長 横山 隆一

去る7月2日、桜井新環境庁長官(自民党)が千歳川放水路計画について発言した内容が新聞報道された。

それによれば、長官は出身地新潟の過去の事例を引合いに出し、北海道が「近代的な地域として栄えていくためには、千歳川放水路事業の推進は必要」とのべたとされている。長官のいう「近代的な地域」とはどのような社会を想定されているのだろうか。

仮に自然環境の破壊を顧みず単に経済効率と利便性のみを追及する計画や、それをかまわずすすめる社会を「近代的」というのであれば、それは環境基本法に唱われている「予見的アプローチに基づいた持続可能な環境保全型社会の構築」に反する認識といえる。このような認識は、日本の自然環境保全を積極的に推進すべき立場にある環境庁長官としてははなはだしく適格さを欠いているといわざるをえない。

当協会は、千歳川放水路計画、長良川河口堰事業など現在問題となっている大規模土木事業は、経済効率と利便性のみを一方的に追及した時代の象徴的な産物であり、地域住民の生活全体に関わる持続性の確保に反するものと考えている。

また、「千歳川流域では毎年水害が起こる」との発言は、全くの事実誤認である。

長官は、北海道開発局の資料や、当協会も含めたさまざまな団体が発行してきた千歳川放水路に関わる資料に十分目を通し、現地を自ら実際に調査した上で、治水事業の現状と自然環境のおかれた現実を理解すべきである。

環境庁長官としての重要な立場に立ちながら、問題の実態すら正確に理解していない不勉強さに対して猛省を求めたい。

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