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1993.10.01

「新しいペアの営巣を確認」 イヌワシ行動圏調査報告

 

=月刊『自然保護』No.374(1993年10月号)より転載=


 

NACS-Jと日本イヌワシ研究会では、秋田県田沢湖駒ヶ岳のイヌワシ行動圏調査を4月23日から25日(1993年)にかけて行った。この調査はJR東日本のリゾート計画に対して科学的な立場から見直しをせまることを目的に1990年12月から3年計画で実施しているものである。今年がその最終年にあたり、今回の合同調査が通算5回目になる。

調査に先立ち、22日に秋田県庁において今春の繁殖状況の過程について記者発表を行った。今春の調査の中で、このペア(雌雄)のうちのメスが昨年までとは異なる別のメスと入れ代わっていること、そして今年も1羽のヒナがかえり、現在のところ順調に生育していることなどが明らかとなった。新たなメスが以前と同じ営巣場所を選び、しかもすぐに子育てを始めたことは珍しいケースである。これはこの営巣場所がイヌワシにとってきわめて重要で代替のない場所であり、周辺を含む生息環境全体が良好であることが改めて確かめられたといえる。

今回の調査には、岩手・東京・大阪などから30名の調査員が参加した。調査員は「ふ化後1ヶ月の育雛期(子育て期)の行動圏と、夏緑樹の芽吹き前のハンテイングエリアの特定」を目標に17の調査ポイントに分かれた。そして、各ポイントからイヌワシを目視(双眼鏡)で追跡し、それぞれの記録をまとめることで行動圏を把握した。この時期にヒナを育てるために大量の餌が必要な親鳥は、田沢湖周辺特有の不規則な風を上手にとらえ、ホバリング(空中停止)や斜面をなめるような飛行など、いくつかのハンテイング行動を行った。また獲物(ノウサギ)を捕まえるところは直接観察できなかったが、1日目にはなかった餌のノウサギが2日目には巣の中にあり、今年は確実に餌を運んでいることを確認できた。 今回の調査は3日間とも雨に見舞われたが、?エバニューからテントの提供をうけ、記録の取りまとめにおおいに役立てさせていただいた。

3年間の調査結果をまとめる秋までに、巣立ち後の幼鳥の行動圏の把握などさらに2回の合同調査を行う予定にしている。この調査の実行には十分な調査費用の確保が課題となっている。最終年度の調査が無事実行できるよう、野生動物保護基金への協力をぜひお願いしたい。

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