2010年1月赤谷の日レポート

1月赤谷の日レポート(2010年1月9−10日)


左:ねぐらから出てきたと思われる足跡、右:見事な“止め足”



アニマルトラッキングとホンドテンモニタリング

南ヶ谷:9日

 新年1月の赤谷の日の初日、9日土曜日は田中さん、星田さん、竹村さんと共に4名で大峰林道を歩き、アニマルトラッキングをしながら南ヶ谷湿地のセンサーカメラ交換をしてきました。大峰林道は積雪が予想以上に多く、スノーシューを履いていても歩くのがしんどい状況でした。そんなコンディションにもめげず、アニトラしながら少しづつ進みました。足跡はノウサギが多かったですが、時には何の足跡かを議論する場面も少なくありませんでした。当然ですが、標高が上がってくるにつれて雪は深くなり、ますます進むのがしんどくなってきました。先頭を歩くのが一番大変なので、疲れると先頭を交代してローテーションしていくリレー式で進みました。まるで雪中行軍のトレーニングのようで皆参っていましたが、星田さんだけは余裕の笑顔でずんずん進んでいくのでした。私は一歩一歩埋もれた足を抜くのに精一杯で下を向いてばかりでとても動物や鳥類の気配を探る余裕はありませんでしたが、星田さんは斜面の上のニホンカモシカを見つけました。今回は南ヶ谷湿地まで行ってセンサーカメラのフィルム・電池交換を済ませるつもりで出発しましたが、どんどん時間は過ぎてゆき、ちょっと難しいかなと思い始めました。見晴らしに着いた時点で14時30分近くになっていましたので中止にしようかとも思いましたが、天候が悪いわけではないので中途半端に終えるのも良くないと思い、少し帰りが遅くなるのを覚悟して根性で進むことにしました。結局、湿地に着いたのが15時少し前でした。当たり前ですが湿地も積雪は多く、ここでも思うように歩けずに作業は滞り、全て終えて上がってきたのが16時でした。林道に上がった時点で遅延することを事務局に連絡してもらい、それから一目散に下山しました。一度固めた道はとても歩きやすく、往路の苦労が嘘のようにずんずん歩けました。往路は3時間以上かかったものが、帰りはなんと50分で下山できたのでした。従来、南ヶ谷湿地は冬の間の活動を休止し、センサーカメラも休眠させていましたが、動物相のモニタリングを考えると冬期間の知見も欠かせないと思います。来月も再来月も可能な限りフィルムとバッテリーの交換を続け、冬期間の動物の動きを知りたいと考えています。(サポーター高野)


いきもの村:10日

 いきもの村雪上アニマルトラッキング調査を実施しましたので報告します。
 いきもの村の積雪は30pでした。いきもの村の県道上は、テン4、ノウサギ7、トリ1、カモシカ1、不明2、キツネ1、イノシシ2、の計18の足跡を確認しました。ウワミズザクラの幹に、ツキノワグマかテンが登った傷跡が見られました。小鳥は、ヤマガラ、ヒヨドリ、ツグミの鳴き声を確認しました。また、エナガと思われる巣が雪上に落ちていました。
 いきもの村の県道下は、カモシカ1、ノウサギ2、キツネ2の計5の足跡を確認しました。キツネの穴は使われた様子はありませんでした。(赤谷センター小川)

雨見:10日

 藤代さん、高野さん、竹村さん、星田さん、出島の5名で雨見林道に入りました。雨見林道といえば、幅を利かせているのはノイヌです。今回も開始早々、歩き回るノイヌに出会って気分はゲンナリ。。。その直後に軽トラックが林道内を通過。しょうがない事なのですが、できればキレイなアニマルトラックを見たい・・・残念ながら軽トラックは林道奥まで進んできました。
 気を取り直して調査開始です。ノイヌの足跡も多いのですが、奥に行けば少しづつ少なくなり、ノウサギ、ニホンリス、ニホンカモシカ、イノシシ、ホンドテンのトラックを確認することができました。歩いていて感じたことは、スギ林に囲まれた部分のほうが、アニマルトラックが多いということ。いわゆる「カバー効果」を実感できる調査でした。ホンドテンのサンプルは一つだけ。内容物はサルナシで比較的新しいものでした。こんな積雪の中、どこでサルナシを見つけてくるのでしょうか?不思議です。(NACS-J出島)

みんなアニマルトラックに夢中です。 カバー効果を感じたスギ林 雪で遊んでみました。

ヤマビル対策の実験

 1月9日 いきもの村の上部雛壇。炭焼きの失敗のため、昼食後すぐにヒル対策実験エリアの確認作業を実施することになりました。今回は、炭の取り出し作業に参加された方々皆さんで一緒に確認です。膝までもぐる深雪をラッセルして、実験エリアに到着し、雪に埋まった雪原を掘り出して、温度測定をいつもどおり行いました。
 落葉掻きを行ったエリア、しなかったエリア、落葉を積んだエリアでその違いは、落葉掻きをしたエリアには、虫は見当たらなかったのですが、落葉が厚く積み重なったところには、やはり虫が棲息していました。同定できないため。種類をここに記載できないこと、申し訳ありません。おそらくヒルも落葉掻きをしたエリアを避けて、落葉の残っているエリアで冬越しをしているはずです。(サポーター坂口)
以下に測定した温度を記します。
・落葉掻きエリア:雪と落葉の間 -0.4℃ / 土表面(落葉下) 1.0℃ /土中 1cm 0.9℃
・落葉を残したエリア:土表面(落葉下) 1.1℃ /土中 1cm 1.2℃ /
・落葉を積んだ場所:落葉表面 0.4℃ / 落葉の中 2.0℃ / 土中 3.6℃



写真/文:坂口浩幸、高野丈、青木邦夫、小川純、出島誠一

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