2009年9月赤谷の日レポート

9月赤谷の日レポート(2009年9月5−6日)

オコジョ ヤマブドウ
ウラギンヒョウモン

左:オコジョ(三国街道)  右上:ヤマブドウ(ムタコ沢)  右下:ウラギンヒョウモン



ヤマビル対策の実験

ヤマビル生息試験中 刈り払い後の試験地

 サポーター坂口さんのご提案で、ヤマビル対策の実験的取り組みを、赤谷の日の2日目9:30〜11:30に行いました。坂口さんが残念ながら参加できなかったのですが、福田さん、星田さんとともに、生きもの村県道東側のけもの道周辺で実施しました。
 実験は、(1)ヤマビルの動きを調べるため、2m×10mの範囲で1分間歩き回った後5分間静止して待つ、という作業を2mおきに10地点行う、(2)2m×10mの範囲を二分し、草刈りをする区と放置する区に分ける、(3)刈り取った草は、少し離れた場所にまとめて山積みにする、という方法で行いました。(実は、(3)を行うのを忘れてしまい、赤谷の日終了後に出島さんと藤田さんにと一緒に刈った草をまとめました。)次回、もう一度、各地点でのヤマビルの出現数を調べます。
 (1)の結果ですが、10地点中、ヤマビルが長靴に上がってきたのは1地点で1匹だけでした。ヒルがあまりにも見あたらないので、この場所で実験して成果が得られるのかなぁ…!?と不安もあっての作業でした。行きも帰りも通った雑木林の道では、ヤマビル数匹が3人の長靴に上がってきていたのに…。「移動するときはつくのに、静止状態(同じ場所)ではつかないのかな。」と福田さん。
実施場所や方法が適切か、時刻が適切であるか(日中はヤマビルの出現個体数が減る傾向があるそうです)、もう少し考える必要があると思いました。(地域協議会 星野)


テンモニ調査

雨見林道でのテンモニ

 今月は、崩壊箇所ができてしまった小出俣林道を除いて、赤谷林道、いきもの村、ムタコ林道及び雨見林道の4ルートを調査しました。先月同様、各ルートでのサンプル数が極めて少ない状態が続いています。

赤谷林道:テン1サンプル(サルナシ)
いきもの村:テン3サンプル(動物・サルナシ)
ムタコ林道:テン?1サンプル(昆虫食と認められるものの、バラバラの状態。)
       糞?1サンプル(動物の糞らしいと思われるが、動物名は不明。)
雨見林道:テン3サンプル(サルナシ1、マタタビ1、動物1)
 今月のテンモニで特筆すべきは、雨見林道におけるマタタビを食したテン糞でした。 林道上にマタタビの黄色く熟した果実を発見し、その中の一部に食痕が認められ、周囲を丁寧に探したところ、マタタビを食したテンの糞を発見しました。(写真参照)
マタタビの食痕  赤谷林道においても、林道上にサルナシの果実が多く落下している場所があり、雨見林道と同様周囲を丁寧に探したものの、テン糞を発見することはできませんでした。各ルートともサンプリング数が少ない理由として考えられるのは、調査前の降雨量だと思われます。9月初旬であれば、これまで昆虫食の糞が少なからずサンプリングされていましたが、これが極端に少ないのです。昆虫食の糞はちょっとした雨でも流されてします。それにしても、各ルートでのサンプル数の減少が、降雨によるものだけなのか、それ以外の要因があるのかについては、?状態です。
 9月赤谷の日以降での補完調査と10月赤谷の日とそれ以降の補完調査で降雨量以外の要因を付きとめたいと考えています。(サポーター鈴木)


南ヶ谷湿地の保全

ウメバチソウ クロスズメバチ モリアオガエル

 秋の気配が漂いはじめる頃となり、南ヶ谷ではサワギキョウの花が鮮やかな色を見せ、アケボノソウ・ウメバチソウが可憐な花をつけていました。まだしっぽをつけている小さなモリアオガエルの姿もありました。私たちがいつもお弁当を食べている場所では、地面がほり返され、クロスズメバチの巣の残がいが見えていました。クマの仕業!?昨年の経験からすると、この付近はこれからの時期、多くのクマが出没する場所のようです。10月はどんなでしょうか。
 湿地では、勢いよく生い茂っていたヨシも成長をやめたようです。年々広がってきているように思えるヨシを今年7月上旬、少しばかり刈り取ってみました。その場所では、今回アギナシ(環境省レッドリスト・準絶滅危惧種)の葉がたくさん見えていました。
 今月は、群馬の植物調査を長年続けてこられた里見哲夫さんが来て下さいました。観察しながら、この場所には外来種がみあたらないと嬉しそうでした。湿地周辺ではシダ植物を30種ほども同定。同じように見えるシダにもこんなに多くのものがあったのかとびっくり。はえているササにはミヤコザサとクマイザサがあるとのこと。ミヤコザサは太平洋型気候に育ちますが、ここには日本海型気候に育つ植物が多数見られます。日本海型気候と太平洋型気候の植物の生育の境はミヤコザサ線とよばれ、ほぼ積雪50cmが境とのことです。この付近が太平洋側と日本海側の気候の境界にあることがよくわかる話でした。

サワギキョウ アケボノソウ アカバナ

湧き水で見つかった2枚貝

 この湿地の水源は湧水で、その温度は夏でも10℃を大きく超えることがありません。そんな環境にしかすめない水生昆虫を今年の夏にみつけました。湿地の片隅には、いつも水が溜まりオオカサスゲの育つ場所があります。ここには米粒よりももっと小さい、白い色の二枚貝が生息しています。里見さんも興味深そうに見ておられました。これはどうやら、水温が低めで湧水の流れ込むような場所などにすむ北方系の貝のようです。南ヶ谷は狭い場所ですが、それぞれの場所をすみ分けて、さまざまな生き物が息づいていそうです。(サポーター和田)

定点撮影A 定点撮影B

↑定点撮影 左:地点A  右:地点B

木の実豊凶調査

作成中

赤谷の森でみつけたマイタケ 豊凶調査活動中 赤谷の森活動中

蝶類しらべ

 9月5日は、星田・小林・長浜・小鮒の4名で観察を行いました。高山チョウの出現を想定して、三国トンネル駐車場から三国権現〜お花畑を往復しました。その後、永井宿へ向かいました。お花畑ではアサギマダラが谷下からの飛翔が多く見られました。先月に比べ、トンボの飛翔が少なくなっているのが印象的でした。
 9月6日は、田中・竹村・小林・前田・小鮒の4名で観察を行いました。永井地区、赤沢スキー場、法師林道、西川周辺を観察しました。永井地区は、地元の方が栽培しているお花畑にたくさんのチョウが集まっていた。アゲハチョウの産卵も見ることができました。(サポーター小鮒)


写真/文:和田晴美、竹村秀雄、青木邦夫、鈴木誠樹、星野理恵子、福田耕二、小鮒守出島誠一

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