2009年2月赤谷の日レポート

2月赤谷の日レポート(2009年2月7−8日)

穴の中の臭いを確認 今年の炭の重さをはかる

↑(左)いきもの村にある穴を動物が利用しているか?臭いで確認中。 (右)今年の炭の重さをはかります。その背中が少し残念そうなのは・・・

炭焼き(炭窯開き)

 昨年12月に火入れした炭窯。先月1月の赤谷の日が中止になり炭窯が開けられず、2月、勢い勇んで果敢に炭出しに挑んだ藤代が報告します。今年の炭材は昨年いきもの村で伐採したニセアカシアがメイン。師匠笛木さんによると良い炭になるとのことで、期待に胸ふくらませ、センター小川さんとスコップで粘土の窯蓋を崩す。
 開いた窯口から中を確認すると窯の中には沢山の炭が・・・ない!!実は誰かが既に炭出し完了していたのか?はたまたイタズラな森の妖精(モリゾー?!)の仕業か!!しばし呆然と窯の深い闇を眺めていました。
 呆けていても仕方がないので中に入ると、奥の方に僅かにしっとり湿気を帯びた炭が残っていました。その量たった11kg・・・。みんなで一生懸命積めたのに・・・、朝まで火の番をしたのに・・・、あんまりだ(涙) 木酢液を採取していたのがせめてもの救いでした。

一袋と半分だけ・・・ ふたを開けた直後の炭窯の中 これで炭全部・・・

↑左)フジで止めた煙突の橋脚   中)窯の中に火が回るまでの間はのんびりした時間です   右)夕方に笛木師匠も来て頂きました。

 4回目にしての初の炭焼大失敗。火入れ蓋の閉め方等は例年通り。むしろ今回は笛木・元保の両師匠監修のもとに行ったので問題ないはず・・・。皆で原因を考えたところ、どうも蓋の粘土の質が悪かった事が一つの原因ではないかと推察しています。昨年蓋を閉める粘土が不足し苦労したことから、今年はいきもの村内の粘土を採取し増量していたのです。その結果密閉しきれず窯に空気が入り、ほとんど完全燃焼してしまったのではないか?。そういえば蓋を開けるとき、粘土が手でも崩せるほど柔らかかった。
他に何かがあるのかも知れませんが、今のところ正確なことはわかりません。
人は成功から何も学ばないそうです。この経験を糧に来年は成功させましょう!!(サポーター藤代)


動物足跡調査(アニマルトラッキング)

直角に曲がるトラック

 今回から、冬の赤谷の日の活動として、動物足跡調査を実施することにしました。雪の上に残る動物たちの足跡は、ふだん姿を見ることの少ない動物たちの存在を、私たちにはっきりと教えてくれます。林道を横切る動物たちの足跡を記録し、エリア別の動物の利用状況の違いや、その経年変化などを把握したいと思います。そのデータは、今後、赤谷の森で行われ生物多様性復元の取り組みが、動物たちにどのように作用しているのか?を把握する1つのものさしになると考えています。 調査をするには、どの足跡がどの動物のものか見分けることが必要です。そのために、7日の午前中は、哺乳類モニタリングWGの足立高行さんに講師をお願いして、足跡の見分け方のレクチャーを受けました。その後、7日の午後と8日は、2班に分かれて調査実習を行いました。(NACS-J藤田)

ムタコ沢のニホンリスの足跡 赤谷林道で遭遇したニホンカモシカ

 私は今回が赤谷の日初参加でした。アニマルトラッキング調査の解説を聞いて驚いたことは、動物の種類だけでなく、大きさ体重まで、足跡からわかってしまうということです。しかし、より多くの情報を引き出すためには、シャーロックホームズ並みとまでいかなくても、注意深い観察と想像力が必要だと感じました。足立先生の言うことには、一組の足跡だけでなく、全体として見ること。足跡の主がどんな動きをしたのか想像すること、も種類を特定するのにとても役立つようです。例えばキツネとタヌキの足跡は似ていますが、キツネはまっすぐ歩くことが多く、タヌキはうろうろしながら歩くことが多いそうです。図鑑の足跡の形だけを知っていてもだめで、動物たちそれぞれの行動の特徴を知っていることも大切なのですね。足跡の判定は難しいですが、こんな風に動物たちの行動を「足跡」から想像しながら調査するのは、楽しい部分だと思いました。(サポーター藤島)

2月7日雨見林道チーム 2月8日ムタコ林道チーム
2月7日赤谷林道チーム 2月8日小出俣林道チーム
アニマルトラッキングの結果

アニマルトラッキング調査の結果

 今回の調査の結果、意外なことがわかりました。それは、自然林が残っている地域よりも、人工林が多い地域の方が確認された動物の出現数が多かったことです(右図参照)。動物の目から見れば、冬は人工林の方が、より好ましい環境なのだろうか?まだまだわからないことだらけですが、データを蓄積することで、動物たちにとっても住みやすい豊かな森林を作るための基礎データとしたいと思います。そのためにも、毎年1月〜3月の赤谷の日活動メニューとして継続していきたいと思います。(NACS-J藤田)


ホンドテン・モニタリング

2月赤谷の日におけるホンドテンモニタリング調査は、アニマルトラッキング調査と併行して実施しました。
ホンドテンモニタリング調査においては、1日目と2日目とも降雪の影響や林道工事等の悪条件が重なり低調でした。僅かに赤谷林道で1サンプルの採取のみでした。(サポーター鈴木)



写真/文:藤島みずき、藤代和成、鈴木誠樹、平井希一、藤田卓、出島誠一

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