↑(左)オニノヤガラ (中上)ミヤマカラスアゲハ (中下)サカハチチョウ (右上)ミドリヒョウモン (右下)アカハナカミキリ
今年からトラップのサイトを増やしたために、1日では全サイトを回りきれなくなっています。さらに8月は、2日目がムタコの日となり、豊凶隊はそちらに参加することにしたため、川古エリア(8トラップ)と仏岩エリア(4トラップ)を残すことになってしまいました。
ブナの実は、6月〜7月に大量の未熟落果を観測することがよくあります。が8月を過ぎると安定するのか、今回はほとんどのトラップが空の状態でした。秋の実りを期待したいところです。回収状況は以下の通りでした。(サポーター川端)
<いきもの村エリア>
・コナラ(3本) 未熟77
・クリ(2本) 0
<三国街道エリア>
・ブナ(4本) 0
・ミズナラ(1本) 0
<ムタコ沢エリア>
・ブナ(4本) 虫食い1
・ミズナラ(2本) 未熟26
・トチノキ(1本) 0(まわりには虫食い落果多数)
(左)三国街道のホツツジ (中)何かが乗っかってひしゃげたトラップ (右オトシブミを広げて出てきた黄色い卵)
1日目、小出俣林道、雨見林道+ムタコ林道
2日目、赤谷林道、いきもの村(初回講習会)
上記のように基本ルートは赤谷の日において、調査することが出来ました。また南ヶ谷湿地調査チームが調査の途中でサンプリングしていただきました。
<サンプリング状況>
小出俣林道:0サンプル
雨見林道:テン9サンプル(内容物:植物のみ/5、動物+植物/1、昆虫+植物/1、動物のみ/2)
ムタコ林道:テン1サンプル(内容物:動物のみ/1)
赤谷林道:テン6サンプル、テン?1サンプル(内容物:昆虫+植物/2、昆虫のみ/2、植物のみ/1、動物のみ/1、動物+昆虫/1)
いきもの村:0サンプル
南ヶ谷林道:テン4サンプル(内容物は植物および昆虫食)
↑(左)赤谷林道でのサンプリング中のひとコマ (右)沢で一休み
このような結果で、数としては相変わらず低調です。
急激にサンプル数の落ち込んでいるムタコも変化がなく、他のルートでもいえることですが、昨年前半までベース食のように食べていたネズミ等の動物食のフンが、ほとんど採取されない状況です。内容物については植物・昆虫が多く、植物ではベリー類も含まれるものの、クマヤナギが目立ちました。今回、小出俣林道ではサンプルは見つかりませんでしたが、未熟ですがサルナシの実が確認でき、ムタコ林道でも沢山のヤマブドウの未熟果が確認されています。
来月あたりから、これらもサンプルに含まれるようになるのではないでしょうか。(サポーター青木)
スミナガシはテンモニ隊の相棒↓
2日目は、赤谷林道のテンモニ調査を行いながら、まだ調査されてなかったテンの食植物(おもにサルナシ)の生育状況や場所などを確認しました。
結果、赤谷川に向かう斜面側には、何カ所かサルナシが見られました。所々に分散しているようです。最も多く見られたのは、つづら折りの道の周囲の、アカマツが衰退しつつある二次林内でした。ここはいつも下を見ながら足早に通り過ぎていましたが、改めて良く観察すると、赤谷エリアの林道の中で、最も生物種の多様性が大きい場所の1つです。遷移途中の森であることに加え、シダ等の下層植生の種類や数も豊富なことから、肥沃で水分も豊富な場所で、林道沿いの一部は日も良く当たり、生態的にも様々な種類の植物や昆虫がみられます。アカマツの枝にはツルアジサイ、ツタウルシ、サルナシなどが巻き付き、中層にはカエデ類、シデ類、ナラ類、ミズキなどもたくさん育っています。
やがてはここも遷移が進めば種類や構成も落ち着くのでしょうが、赤谷には、人為や自然の影響でこのような種の多様性が高い場所も多く存在し、テンにとってもえさ場など重要な空間になっているでしょう。これらの森の移り変わりと、林道沿いで得られるテン糞の数や混じる食物の内容も、連動していくのでしょう。テンモニとともにこのような植生の観察や考察・議論も重要だと感じました。
また一方、環境学習の場としても、ここは様々なプログラムが組めそうです。それまでの赤谷林道の植生変化も併せるとなおさらです。ここは斜面が比較的なだらかで歩きやすくもあり、状況が許せば、ぜひやってみるべきでしょう。
そのほか、今回は林道沿いで、オニヤンマやミヤマカラスアゲハ、スミナガシ等を間近に観察できました。スミナガシはテンの糞を夢中で食していたので、そのおかげで1個多く見つけられました。(サポーター平井)
今月の南ケ谷調査班は、専門家による赤谷の昆虫調査に協力するため、できるだけ多くの種類の昆虫サンプルを集めることをメインテーマとして活動をしました。初日(2日)は、前田、和田、小鮒、島田、竹村の5名が林道から車で入り、坂道を登りきった場所で下車、林道を昆虫採取しながら南ケ谷湿地までいきました。湿地はヨシが高さ3mくらいまで伸び、様相が大きく変わっていました。ノリウツギやオカトラノオの花に集まった小昆虫、林道上を中心にアサギマダラやヒョウモンウ等のチョウ・ガを多数採取できました。
一方、先月あれほど見られたイトトンボはすっかり姿を消しましたが、オニヤンマ等のヤンマ類、アカトンボ類、勝手に名前をつけたギンバエトンボ(トンボの同定は難しいです)など、いろいろな種類を、湿地を中心に捕獲しました。また、1.3mを超えるオニノヤガラ、オオヤマサギソウ、モウセンゴケ等の花を見ることが出来ました。キノコは昨年と同じ場所にミミブサタケがあり、またハナビラタケを採取できました。このほか、クロサンショウウオの幼生、モリアオガエル・ヤマアカガエルのオタマジャクシ等を観察しました。
翌3日は、昆虫のエースである前田さんが出発直前に体調を崩しリタイアしたため、小鮒、和田、竹村の3名が、林道入口から、徒歩で往復しました。林道を歩くのは全員初めてでしたが、平坦部分が長く、林道脇には水が流れ、また両側が緩斜面になっている場所が多く、小湿地がいくつもありました。このため、昆虫やヒョウモン等のチョウ・ガが前日以上に現れ、効率的にサンプルを集めることができました。
特に林道の合流点付近は風の通り道になっており、次から次といろいろなチョウが現れました。トンボはオニヤンマとアカトンボが大半でした。植物では、カキラン、オオヤマサギソウ、クサボタン等の花のほか、ハナイカダの実を観察できました。
両日とも、ヤマユリ、ヤマオダマキ、ヤマホタルブクロ、ソバナが林道沿いに点々と咲き誇り、目を楽しませてくれました。林道沿いは変化に富んでおり、昆虫・植物の継続観察の適地であることが判明したことは収穫でした。(サポーター竹村)
↓(左)伐採幅40m調査区のタケニグサ、クマイチゴ (右)伐採幅30m調査区のヤマモミジ、アブラチャン
1日目は、自然林修復試験地となっている小出俣林道のカラマツ漸伐地(林道より斜面上側)に、亀山先生に同行して、この場所植生がどう変化したのか、昨年の6月に、亀山研の田中君に同行して依頼約1年ぶりに訪ねたので、サポーターの皆様にも様子を報告したいと思います。
調査は40m区→30m区→20m区と横に斜面を移動して行いました。それぞれ10m×10mの正方形の調査区が3か所ずつあり、地上1mほどの高さで階層を2つに分け、その中のすべての種の同定や優先度・群度を判定、調査票に記入していくという作業です。
まず全体的には、人の背丈に近いほど主に樹木が密生し、とげのある種が多くて調査はとても大変でした。また林床にはケチヂミザサ、マルバフユイチゴが目立っていました。初めの40m区と30m区、20m区は見られた植物の種類は40種類前後で同じでしたが、植生の相観や群度が違っていてました。とくに40m区は、タケニグサやタラノキ、クマイチゴなどが優先していて、非常に中を歩きにくくなっています。40m区は他にはノリウツギやリョウブなど陽性の樹木が成長が早く、ノリウツギはもう、花も咲いていました。
↓2007年6月の伐採幅40mの調査区
30m区に移動すると、タラノキやクマイチゴの密度は低くなり、替わりに、 ウワミズザクラの萌芽や、エゴノキ、コナラ、クリ、ミズナラ、ケヤキ、ヤマモミジなど、周囲の林道沿いを歩くとみられる樹木も良く見られるようになります。また林床にもエゾユズリハやツタウルシ、イワガラミなども多くなり、動物の食痕も見られました。30m区・20m区の周囲の森林には、もともと明るいカラマツ林のためこれらの成木が花や実が観察できました。さらにウワミズザクラの他にも広葉樹の切り株からの萌芽があったり、伐採される前にこれらの稚樹が多数あったものと思われます。
それに対して40m区で思い出すのは、昨年田中君とサポーター4,5名で、40m区の伐採跡を片づけた時のことです。伐採跡の大きな枝等の残存物で一面が覆われていて、片づけに非常に苦労しましたし、一部を除いて調査区の下層植生は壊滅状態に近いものでした。そこから、タラノキやクマイチゴなどが一面に生える植生になったのでしょう。(比較のため、昨年の40m区の写真も付けます。)この40m区と30m区・20m区のスタートからの違いが、今後の植生の遷移にどのように影響するのか、サポーターとしても非常に興味深いものです。(サポーター平井)
写真/文:青木邦夫、川端自人、竹村秀雄、平井希一、和田晴美、出島誠一
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