2008年7月赤谷の日レポート

7月赤谷の日レポート(2008年7月5−6日)

アサギマダラ ヒメシジミ
モリアオガエル エゾアジサイ

↑(上左)AKP001とマーキングして放蝶したアサギマダラ (上右)いきもの村のヒメシジミ
  (下左)樹上で休息中?のモリアオガエル (下右)この時期、赤谷の森の彩るエゾアジサイ


木の実豊凶調査

 7月の豊凶調査隊、川端隊長のお留守を預かりました不詳私、藤代が報告します。今回はいつもの豊凶調査隊員がことごとくお休み・・。隊員凶作のなか、平田夫妻・星野さん・松井さんに加わっていただき、トラップの位置に迷いながらも無事、木の実を回収してきました。
 結果はブナで立派に殻斗の開いた虫害の実をちらほら回収。はじめは昨年のものか?とも思ったのですが、林床にはまだ青みがかった実が落ちていました。また先日、仕事中に大量の実を落としているブナを発見しており、やはり今年の実かと思うのです・・・。しかし、この時期に虫喰とはいえ完璧に結実しているものかしら??良くわかりません。
 そのほか、例年静かな大トチ、今年新設のオニグルミも未熟を数個回収しました。ナラ類も未熟が回収されましたが、まだまだネットを通り過ぎるほど小さいので、参考値程度です。
回収されたブナの殻斗 回収されたトチの実
そして、昨年に引き続き今年もいきもの村の豊凶ネットはクマに壊されました。。。今年もポールを“グニャ”と曲げられ“ガリ”とかじられ、ご機嫌の悪さが伺えます!センサーカメラを仕掛けておいたので、来月には暴れん坊の勇姿が見られるかも知れません。(サポーター藤代)


ホンドテンモニタリング

7月赤谷の日では、設定してある5ルート全てを調査することが出来ました。7月の赤谷エリアを含む群馬県北部では、局地的な豪雨がありました。7月赤谷の日を迎える第1週にも豪雨がありました。7月は、これまでの調査結果の傾向から、昆虫とベリー類のサンプル数が多いことが解りつつありますが、今年のように局地的な豪雨が何回もあると、これらのサンプルは雨で流失してしまいます。今回の調査結果を見ると、各ルートともサンプル数が少ない理由は、雨によるものではないかと考えられます。
 食植物の傾向は、やはりベリー類とサクラでした。動物食のみのサンプルは僅かでした。参考ですが、他地域(赤城鈴が岳山麓)でもサクラメインでプラス動物食のサンプルが目に留まりました。
 翌月の8月赤谷の日でのサンプル採取の楽しみは、個人的には食植物では、クマヤナギ、サルナシ、マルバフユイチゴ等です。これらに加えて、動物食(ネズミ)メインで、クマヤナギ、サルナシなどが主なものであると予想されます。加えて、バッタ等の昆虫食のサンプルも期待したいところです。

いきもの村で回収したサンプル 食べごろのモミジイチゴ 雨見林道で回収したサンプル

↑ベリー類のサンプルが目立ちます

設定5ルートの調査結果は、以下の通りです。
1.ムタコ林道(通常ルート) テン3(昆虫のみ1、動物+植物1、植物のみ1)
2.小出俣林道(通常ルート) テン3、?1(テン3は、食植物(サクラ+その他?)*?1はの植物はサクラ・雨でほぼ流失
3.雨見林道(通常ルート)  テン1、イタチ1(イタチ1は、食植物ベリーで、仔テン?です。)
4.赤谷林道(調査開始地点から石積みバリケード+橋まで)
  テン11、?1(テン11は、動物+植物で食植物はサクラが主)?1は、雨でほぼ流出(植物食)
 ※調査開始地点から石積みバリケードまでで6サンプル、それ以降橋までで6サンプル)
5.いきもの村(初回講習会)テン5(食植物・ベリー類が主)
その他
ムタコ林道(通常ルート手前の林道)テン3(食植物サクラ)*木の実豊凶結実チーム採取
赤谷林道(川古ゲート上の台地に向かう杣路) テン1(昆虫)*木の実豊凶結実チーム採取
旧三国街道(三坂線) テン1(動物)*センサーカメラ設置チーム採取
以上です。(サポーター鈴木)


南ヶ谷湿原調査

 南が谷湿地の7月は、夏を感じさせる風景。4.5月は対岸が見渡せていたが、葦が2mほどに伸びて、ぽっかりと空だけが開いて春とは違った風景を作り出している。 湿地上に迫り出した枝々にモリアオガエルの卵塊が緑の絵柄をつけた提灯のように多数ぶらさがっている。モリアオガエルは猿のように巧みに枝を渡り歩く。水面上2mほどの樹木の葉の表で日向ぼっこをしているので岸側からはカメオのブローチのようにシルエットが・・。
モリアオガエル モリアオガエルの卵塊 モリアオガエル
 湿原の縁でじりじりと陽に焼かれながら、ぬるい風とひややかな風が交差する中でトンボ類の飛翔を眺めていると一転にわかに雲が出て薄暗くなり、遠くで鈍く雷が響いた途端、湿原の萱や周囲の樹間からモリアオガエルの「蛙時雨」。一方、トンボはさっと姿を消してしまう。
ヤゴの抜け殻 イトトンボ イトトンボ  枝打ちした杉林では、杉の枯葉に埋め尽くされた薄暗い林間にギンリョウソウが群生して、ちらちらしている。アサギマダラがパラグライダーのようにゆったりと林道を飛翔していたので、マーキング(080706 AKP0001)していきもの村で放蝶しました。(サポーター前田)


初回講習会

 今回、利根実業高校森林科学コース2年生の生徒が3名参加しました。
利根実の1年生には実習のひとつとして、いきもの村でのプログラムを実施していますので、今回参加した3名も、2回目のいきもの村訪問となりました。
 初回講習会として、赤谷の日で実施している、センサーカメラやホンドテンのモニタリング活動を体験してもらいました。ただ、学生たちには、草の伸びたいきもの村の中をヤブコギして歩くことのほうが新鮮だったようです。赤谷の日だけでなく、学生たちが、赤谷の森にかかわり、学ぶ機会を提供していきたいと思います。(NACS-J出島)

テンモニの講習中 センサーカメラの講習中 豊凶調査の講習中

↑左:テンの糞が「いい香り」で大喜び!  中:センサーカメラのフィルム交換  右:初回講習会の後は木の実豊凶調査のお手伝い



写真/文:鈴木誠樹、青木邦夫、竹村秀雄、前田修、藤代和成、出島誠一

ウィンドウを閉じる
AKAYAプロジェクト ホームページ


Copyright(c) 2005- Nature Conservation Society of Japan. All rights reserved.