↑(左上)コオイムシの仲間、(右上)クロサンショウウオの幼生、(左下)モウセンゴケ、(右下)レンゲツツジ
赤谷の森にある湿地の生き物たちです。この場所の保全活動を少しづつ始めました。
湿地調査班では、主に5種類の作業を行いました。約2年前に設置したロガーのデータ回収、湿地外周のネイチャートレイルの整備、湿地環境を維持するための簡易的な堰の設置(6か所)、湿地脇の水たまりを浚渫(2年前まで水が溜まっていた低地部分で、現在陸地化している部分)、湿地外周部にあるレンゲツツジ群落周辺の枝払いです。
↑(左)湿地の現状を自然観察 (中)コオイムシの仲間 (右)コオイムシの撮影大会
↑(左)湿地の中央部を歩いてみました (中)湿地の周囲にはクマ棚がたくさん (右)湿地はイトトンボ類にとっても貴重な生息場所
第1日目の作業終了後、湿地中央部の浮島に渡り湿地の状態を確認しましたが、コオイムシの仲間を発見!!さらに湿地中央部の浮島ではモウセンゴケも見ることができました。 ここはサンショウウオやカエルたちにとって貴重な産卵場所となっています。自然観察を続けながら慎重に手を入れて行きたいと思います。(サポーター萩原)
↓(左)傾いたムタコ沢に設置したトラップ (右)穴を補修。状況からすると最初から空いていた穴かもしれません。
前回、5月赤谷の日に設置した木の実豊凶トラップの点検&回収を行いました。まだ6月ですので、さすがに木の実が落ちるにはまだ早すぎます。トラップが風で倒れていないか?クマに壊されていないか?をチェックするために21基すべてを巡回しました。
結果としては、ポールが倒れて傾いているトラップが1基、ネットに穴が開いているものが1基確認されましたので、それぞれ修理しておきました。トラップの内容物も確認しましたが、落ち葉や花ばかりで、一つだけカエデ類の種子が入っているトラップを確認しただけでした。
来月にはもう少し種子が入っているでしょうか?(NACS-J出島)
6月の赤谷の日の1日目は、小出俣林道のカラマツ人工林の漸伐地のコドラート(調査区)のメンテナンスを行いました。といっても重労働でした!
↓(左)自然林再生試験地、 (中)どのような種子供給があるのか調べるためのシードトラップ (右)伐採木の枝の除去作業中
小出俣林道のカラマツ人工林では、自然林の復元を目的に、試験的に20m幅、30m幅、40m幅で伐採し、どのように植生が変化していくかをモニタリングしています。コドラートは、10m四方で囲んだ大きさで、12箇所設置されています。
ここでの調査を卒業論文のテーマに選んだ、東京農工大の田中君が、コドラート内に残された伐採後の枝が植生に影響あるので、コドラート外に出したいということで、軽い気持ちで星野さんと3人で出かけました。「すぐ終わっちゃったらどうしようかな?」なんて考えながら。。。20m幅、30m幅、40m幅伐採区それぞれについて、コドラートをいざ見てみると想像以上に大きな「幹」に近い枝がたくさん転がっていて、外まで運び出せないものは、ノコギリで切り分けながら運び出す作業になりました。早くも、1日ですべては終わらないような予感を、3人の誰もが持ちました。。。。
それからは、休み休み汗だくになりながら作業を行いました。救いは、斜面の上の方から眺める沢向こうの景色が美しかったことです。濃くなりかけた緑色の森に、所々ミズキやホオノキなどの花が白く浮かび上がってきれいでした。
カラマツ人工林とはいっても、スギ林と比べて光が入るせいかもともとの植物種が多く、漸伐地はすでに30種類近くの樹木の芽生えもしくは切り株からの萌芽が出ていました。とくに多かったのが20m幅の区域の道よりの低いエリアのコドラートで、40m幅の方は種類も少なかったような印象です。伐採前と同じ種類の樹の芽生えが多いようでしたので、もともとの伐採前の、周辺も含めた環境や植生の違いが多分に影響しているように思いました。もともとあった埋土種子と萌芽と、これから散布される種子などが今後どのようになって森をつくっていくのかとっても興味深いですよね!
↑(左)作業前の調査区 (中)作業後の調査区 (右)作業終了後に記念撮影!疲れ気味でしょうか?
最後に。中央の30m幅の漸伐地の斜面の下側のコドラートには、太い幹から枝までがこれでもかという位、積み上がっており、さすがの我々もあきらめムードになりかけていた時、はるか道の向こうから、助っ人の3人が駆けつけてくるのが見えました。木の実豊凶チームの青木さん、藤代さん、出島さんの3人です。感激でした!!(本人達は、様子を見にきただけのつもりだった様ですが。。。。)
早速、6人で作業を始め、1時間ばかりかけて、ようやく伐採木をコドラート外に出しました。外に出した木々でコドラート周辺バリケードの様に積み上がり、これはこれで後処理が必要でしょうが、コドラート内は見違えるほどきれいになりました。これからも皆さんで、長い目で、変化の様子を見ていきたいですね。(サポーター平井)
5月に続き6月も赤谷の日直前に豪雨があり、サンプリングには厳しい状況でした。
集合時間前に、通常ルートから秋小屋橋先の林道修復(砕石の敷設)予定地までの区間を調査しました。ムタコ林道では、依然として通常ルートでのサンプルが少ない状況が続いており、今回はゼロでした。雨の影響なのか、行動範囲が移動したかの判断が出来ない状況です。林道修復予定地で4サンプル採取しました。結果は、テン5サンプル。内容物は、動物+植物3(植物は、芽鱗のようなものが含まれでおり?です。)、 昆虫1(セミの羽が含まれていた。)、 鳥1(黄色の羽毛が含まれていた。)
通常ルート全体でサンプル採取が出来ており、現段階では例年並のサンプル数を確保しています。ただし、このルートは、夏場(7月〜9月)で急にサンプル数が減少していますので、今年がどうなるのか注視したいところです。結果は、テン14サンプル。内容物は、動物13、 動物+昆虫1
いきもの村県道上部、旧県道、県道、たくみ小屋下の水場、いきもの村北の鉄塔まで目を凝らし調査しました。結果は、テン5サンプル、不明1サンプルの計6。内容物は動物4(テンの冬毛のような色をした綺麗な毛が含まれていたものを2サンプル採取しました。) 動物+昆虫1(昆虫はセミの足のようなものが含まれていました。)不明1は、動物の糞ではあるようですが、ベトベトした状態でした。
いきもの村では、センサーカメラにテンの姿が多く撮影されており、この程度のサンプル数ではその食性を判定できませんので、ネイチャー・トレールの整備をすることによりサンプル数を増加させたいと考えています。
林道終点までを調査しました。テン8サンプル、不明1サンプルの合計9。内容物は、全て動物食。不明1は、いきもの村と同様にベトベトした状態でした。
赤谷林道では、雨の影響が大きいのか、これまでのサンプル採取地点での採取が非常に少ない状況でした。石積バリケード手前までで5サンプルのみの採取となりました。特に石積バリケード手前の九折から同バリケード周辺でのサンプル採取は0は以外でした。赤谷橋から林道終点までの間で3サンプルを採取しました。
↑(左)サンプリング中のテンモニ隊 (中)ヤマキマダラヒカゲがテン糞の場所を教えてくれます (右)壁から「グッゴッゴゴッグッ・・・」と聞こえます
カツラステーションまでを調査しました。結果はテン15サンプル、内容物は動物食14、 動物+昆虫1。林道始点から東京発電調整池を経て、カラマツ漸伐地まではサンプル採取0でした。その先からは、溜糞もあり15サンプルを採取しました。なお、テンの目撃例が多い、林道始点周辺やカラマツ漸伐地でのサンプル採取が無い傾向は3月以来続いています。
これからの季節にテンが食するであろう、モミジイチゴ、クマイチゴ、ヤマグワ、コウゾ、サクラ類等の開花状況や結実状況は、各ルートとも良好でした。結実状況とサンプルがどのような関係になるのか楽しみです。 (サポーター鈴木)
6月、通常であればヤマビルにやられる(血を吸われる)人が何人かは出るのが普通ですが、今年はずいぶんと数が少ないというのが印象です。何が原因かは分かりませんが、少ないと感じられることはフィールドワークをする私たちにはうれしいことです。ヤマビルのラインセンサスで経年変化を記録しておくのも面白いかもしれませんね。
参加された皆様お疲れ様でした。7月赤谷の日もよろしくお願いします。
写真/文:青木邦夫、鈴木誠樹、竹村秀雄、平井希一、横山隆一、萩原正朗、出島誠一
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