2006年12月赤谷の日レポート

12月赤谷の日レポート(2006年12月2−3日)

 今回も天候に恵まれ、1日目は冬晴れ、夜に10cm程雪が積もりましたが、二日目も日中はよく晴れました。二日目の朝には全員で、小出俣林道に入りましたが、雪化粧はとても綺麗でした。

小出俣の雪化粧 小出俣の冬化粧
小出俣の冬化粧"
炭俵 オオタカ 1日目のいきもの村と奥山

↑上段3枚:12月3日AM8:00頃の小出俣林道からの風景。とても綺麗でした。
下段:(左)夜なべ仕事で作ったサポーター作第1号の炭俵  (中)12月2日早朝、いきもの村に現れたオオタカ  (右)12月2日午前中、いきもの村周辺には葉を付けた樹がまだ多く残っていました。



ホンドテン・モニタリング

12/2 怒涛のムタコ林道

↓ツルウメモドキを食べたホンドテンの糞。鮮やかな赤がよく目立ちます。

ツルウメモドキ ツルウメモドキ

鈴木が2日早朝にムタコ林道の下見をした際には、いつものチェックポイントにテン糞が見当たらなかったので、20サンプル位だろうと考えていました。それを受けてムタコ林道チームは、青木さん(体調不良。。。)、テンモニ隊初参加の奧貫さんと鈴木の3名体制で実施することになりました。
 サンプリングの結果は、テン糞サンプリング調査カード5枚(1枚10サンプル)目の欄外にも記入できなくなり、5枚目はとうとう裏面一杯まで使い果たす怒涛のテンモニになりました。この時点でサンプル数は86。豊凶調査チームがムタコ林道で回収した4サンプルを加えるとなんと90サンプルになりました。昨年の10−12月の季節別サンプル数84をこの日だけで超える結果となりました。テン83、イタチ4、不明3でした。


内容物サンプル数
ツルウメモドキ38
動物のみ14
動物+ツルウメモドキ16
サルナシ6
ツルウメモドキ+サルナシ4
不明5
合計83

 12月に「ツルウメモドキのみ」や「動物+ツルウメモドキ」「ツルウメモドキ+サルナシ」とツルウメモドキを多く食していることは、昨年には見られなかった傾向でした。また、「サルナシのみ」や「サルナシを含む」サンプルは、古いものが大半でした。
 昨シーズンのツルウメモドキのサンプル採取は、1月―3月が主でした。今シーズンのホンドテンは早くも12月にツルウメモドキを食べているようです。これから1月―3月に何を食べるのか興味は尽きません。それにしても、体調不良を訴え続けながらもツルウメモドキを含む86個のサンプリングを行った青木さんお疲れ様でした。はじめてテンモニ隊に参加された奥貫さんには、テンモニ隊の大変さが目立ってしまったかもしれませんが、今後ともよろしくお願いします。
 余談ですが、12月17日に私一人でムタコ林道のテンモニを行ったところ、調査ルートの旧道と新道の二股地点から橋にたどり着くまでに既に29個のサンプリングをしており(しかもツルウメモドキが主)、今日中に帰れるか不安になったところへテンモニ隊きっての精鋭隊員青木さんが助っ人に来てくれて事なきを得ました。それでも合計51個をサンプリング。ツルウメモドキのサンプリングの大変さが身にしみました。(サポーター鈴木)


12/3 赤谷林道

 小出俣沢の新雪上に新しいテン糞を見つけ、そのままの勢いで赤谷林道へテンモニに行きました。長浜さん、金井さん、青木さん、奥貫さん、鈴木の5名体制で新雪の残る赤谷林道へ。林道の新雪は、サンプルを見つけにくくするほどでもなく、5名で丹念にサンプルを探しました。
 11月の調査時は、目立つ石や路肩のコンクリートの上ではほとんど糞を見つけることは出来ず、むしろ林道の轍(ワダチ)や林道中央の小石などで多く見つけたのですが、今回は林道手前からオキフカホリ沢周辺(調査地点の中間あたり)までは目立つ石や路肩のコンクリートの上で多く見つかりました。その後、石積みバリケードまでは11月の調査時と同じく林道の轍や林道中央の小石などで多く見つけました。結果は、テン23、イタチ3。

サンプルを発見 赤谷林道を歩くテンモニ隊
内容物サンプル数
動物のみ9
動物+ツルウメモドキ10
動物+サルナシ1
動物+植物(?)3
合計23

 サンプルは、比較的新しいものが多かったと思います。12月の赤谷の日のテンモニでは、糞のある場所が先月と異なっていることや、テンの食性に目を向ける余裕が少し出来たかと思います。ただ、現段階で食植物としてはっきりわかるのは、ツルウメモドキ、サルナシ、アズキナシ、ヤマブドウ、ヤマグワ程度であり、ナナカマド、クマヤナギ、ヤマボウシなどはわかりません。来年度からは、今年採取した果実類の種子を持ち歩き、その場で糞に含まれている植物の種子を同定することで、その植物がどこにあるのかを探して見たいと考えています。
また、糞に含まれる動物の毛や骨でその動物を同定するのは困難だと思いますが、毛の特徴などを学び徐々に、おおよその見当がつくようにしていきたいと考えています。(サポーター鈴木)


シードトラップの回収と最大積雪深計設置

豊凶調査・・・シードトラップの回収

回収作業中 川端隊長 落ち葉ばかり・・・

↑左:回収作業中。 中:データを記録する川端隊長。 右:2日目の早朝に作業を持ち越したら、雪をよけながらの作業になってしまいました。

今年の7−8月に設置作業をした21基のシードトラップを回収しました。これで2006年度の豊凶調査は終了です。サポーター活動として初めての試みであったので、来年に向けた改善点はいろいろとあります。しかしながら、ブナの種子が1つも回収できなかったことや、ブナ・イヌブナ・コナラ・ミズナラ・トチノキは共通して、9月赤谷の日(9/2)に回収した種子が最も多かった、というのは面白い事実ですね。(2006年度の豊凶調査結果はこちら
来年は7月に設置完了を目指して準備をしたいと思います。(NACS-J出島)


最大積雪深計の設置

ムタコ沢に設置した最大積雪深計 トラックで林道奥まで運びます 小出俣に設置した最大積雪深計

↑左:トラックで林道奥まで運びました。  中:小出俣  右:ムタコ沢

11月赤谷の日に作成した最大積雪深計を小出俣沢とムタコ沢に設置しました。
AKAYAプロジェクトのエリア内には、積雪のため厳冬期のアクセスが困難になる場所が多くあります。「この場所にはどれぐらいの雪が積もるのだろう?」そんな素朴な興味を持っていた場所に設置をすることにしました。ムタコ沢林道の奥と、赤谷林道の赤谷川橋付近に1つづつ。小出俣林道は途中(調整池付近)と、千曲平の計2つ。小出俣林道は環境教育プログラムを研究するエリアでもあるので、林道の中間付近と終点付近に設置することで教育プログラムに活用したいと考えています。
 雪の動きが少ないと思われる場所を選んで設置しましたが、春まで無事に立っていてくれるでしょうか?雪解けの頃どんな様子になっているか、楽しみに待ちたいと思います。(NACS-J出島)


炭焼き準備

 炭焼きは、来年の1月に火入れ、2月以降炭の窯出しを予定している。今月は火入れの準備作業である。さらに今回は飾り炭も焼こう、と言うことでその材料も持ち寄ってもらった。1月の赤谷の日に、初日の朝から火入れをするためには、炭材を窯の中に詰めておく必要がある。また、飾り炭の材料は、窯の中央に入れるとのことで、やはりこれも詰めておく必要がある。そいういう訳で、案外忙しい作業となった。
炭窯の様子 炭材の準備 炭材の準備
まず、窯の口を開けて、中の様子を確認した。心配した湿気は、ほとんど感じられなかった。一応、窯の中で薪に火をつけ、乾燥させるためにたき火をした。炭材は、前回の残りの、ニセアカシアを使った。長さを90cmに揃え、太さも、20cmを超えるものが無いように揃える。太い炭材を長いまま、縦に割るのは難しい。前回に林師匠から手ほどきを受けたが、ほとんど進歩なく、皆で四苦八苦した。大きさを揃えた炭材を、窯の前まで運んだところで一旦昼食にした。

炭窯に炭材を詰める目黒さん 炭窯に目黒さん 一斗缶に飾り炭の材料を入れる

 午後になり、笛木師匠に来ていただくことができた。例によって、小柄で体の軟かい目黒さんが、完全装備をして狭い窯の中に入る。外では、炭材の山から窯の口まで、バケツリレー方式で炭材を送る体制をとり、窯詰めが始まった。半ばまで炭材が詰まったところで、飾り炭の準備に入る。飾り炭を焼くための一斗缶とモミガラは、サポータの星野さんから提供して頂いた。一斗缶にモミガラを詰めながら、間にリンゴ、カボチャ、バナナ、ヤシャブシの実などを、期待を込めて入れる。モミガラで一杯になった一斗缶2個を、窯の中央に置き、その周りにもニセアカシアの炭材をすきまなく詰めていく。
 最後に、目黒さんが外へ出て、窯の口一杯まで炭材を詰めた。今年はここまでである。口を塞いでいた土を、再び水でこねて粘土にする。ブロックを積み、間を粘土で塞いで、窯の口を閉じた。来年には火を入れるので、それまでのお預けである。
 窯の口を閉じ、「よいお年を」とつぶやいてみて、ふと気がついた。飾り炭の材料のバナナやリンゴも、窯の中で年を越すのだ。何となく、跡形も無くなってしまうような気がする。(サポーター川端)


炭俵づくり

 各調査班の報告もおいしい焼きうどんの夕食も終了し、みんながほっと一息ついた頃、いきもの村で焼いた炭を、炭俵にしよう!と言う目標のもと、地元の現役炭焼職人、林元保さんを講師に炭俵作り講習会が行われました。
材料は、先月刈り取って、木に縛り付け乾燥させたカヤと、元保さんが持ってきてくれた藁(ワラ)。
笛木正幸さんの炭俵 まずは藁を使って、縄を結います。
元保先生:「まず4本藁を用意して、はかまの部分を取ってー」
一同:「ふむふむ」
元保先生:「はかまの1本で4本の藁を束ねて、あとはこう!」
一同:「おぉぉぉぉぉつ!!!」
元保先生すごいです!藁を両手の平に挟んで、手を擦り合わせているようにしか見えないのに、あっという間に縄が出来ていきます。手品師のような手さばきに一同感動!さあ、それでは早速みんなでやってみよう。・・・と始めるまでは良かったのですが、過去に縄結いの経験がある人を除いた、大多数は、「先生!全然結えません!」元保さんの持ってきてくれた藁が、見る間にボロボロになって足下に散らばります。何とか結えた人も、縄のあちこちからささくれが出ていて、先生の作る美しい縄にはとうてい及びません。
 それでも苦心すること約30分。元保先生の手つきを目で盗み、次第に結い方をマスターしていきます。一番難しい、藁の加えたし作業も出来るようになった頃、外は完全に雪が降り出しました。外は雪、中は暖かい薪ストーブとほのかな電球のあかり、そして縄結いの音。ちょっとタイムスリップしたような心地よい時間です。
林元保さんの技 林元保さんの技 炭俵の形になってきました。
ある程度の長さの縄が4本編めたところで、いよいよ炭俵を作ります。
元保先生お手製の、幅30cmミニ炭俵作り専用枠をセットし、茅を横に、縄を縦に織り込んでいきます。茅は細ければ細いほど綺麗な俵が出来ると先生に言われていたのですが、準備した茅は思いのほか太く、なかなかワイルドな炭俵に・・・最後の仕上げを元保先生にやってもらって、記念すべき赤谷サポーター炭俵が完成しました!

元保さんの技 笛木さん作成の炭俵 サポーター作成の炭俵

↑(左)以前は笛木正幸さんに見せて頂いた炭俵  (右)今回作成した炭俵。。。違いは歴然です。。。

 「自分たちで焼いた炭をこの中に入れて、環境教育に参加してくれた人達へのお土産にしよう。」「地元の旅館とかに、プロジェクトの宣伝用においてもらうのも良いね。」「せっかくだから、プロジェクトのロゴ焼き印を押した間伐材プレートをつけたいな〜。」等々、炭俵ドリームを皆で語り合いながら、1日目の夜はふけていきました。これからの長い冬、赤谷の日の夜は、皆で炭俵作り作業になりそうです。講師役の元保先生、ありがとうございました!(サポーター目黒)


初回講習会

初回講習会と合流したテンモニ隊

←初回講習会と合流したテンモニ隊


 12月赤谷の日の初回講習会には、2名の方が参加されました。
 午前中は、赤谷プロジェクトについて、プロジェクトの成り立ちから現在の活動状況の説明や、「赤谷の日」について、いきもの村の施設利用ルールや、その活動についての解説が行われました。午後からは、実際にいきもの村のネイチャートレイルを歩いたり、プロジェクトエリア全体を見るため、小出俣林道入り口や三国峠から法師沢方面を遠望しました。

 さらに、サポーターの実際の活動を体験するため、ムタゴ沢のテンモニ隊に合流し、テン糞の採取を体験しました。この時のテンモニ隊は、サンプル数の新記録を更新中で、先輩サポーターからサンプリングの手ほどきや、ホンドテン・モニタリングの奥深さなどが、初回講習会に参加された方には興味深い話だったようです。(赤谷センター中村)



 赤谷の日の活動も開始から2年が経過しました。赤谷の日では、[1]赤谷の森のモニタリング活動、[2]いきもの村の環境教育フィールドとしての整備や研究、[3]赤谷の森と人とのかかわりの中で育まれた伝統技術や文化の継承、を3つを柱として様々な活動を展開してきました。毎月1回2日間の活動ではできることも限られてくるのですが、2006年はいろいろな取り組みができました。サポーター登録制度の運用開始や、いきもの村利用ルールの改訂、赤谷の日活動ガイドラインなどの検討もすすめました。2007年もまずは今根付いた活動の継続と発展をさせながら、楽しい新しい取り組みも行いたいと思っています。
 2007年1月赤谷の日はは新年早々の1月6-7日を予定しております。


写真/文:青木邦夫、川端自人、鈴木誠樹、高野丈、目黒美紗子、中村隆史、石坂忠、出島誠一

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