2006年4月赤谷の日レポート

4月赤谷の日レポート(2006年4月1−2日)

4月赤谷の日、前日は冬に逆戻りしたような雪景色でしたが、やはり晴天率の高い「赤谷の日」、今回も天候に恵まれました。
今年度から再スタートの「木の実豊凶調査」、今回から試行的に活動を始めた「鳥類相調査」、定番の「テンモニタリング隊」(名称変更をしました。詳細は後ほど)の活動を行いました。

炭釜と師匠 炭は灰にならずに残っていました
スギ材でも立派な炭

↑子育て準備中のノスリをみんなで観察。



ホンドテン・モニタリング

1日目合瀬ルート

 ムタコルートと分かれて、合瀬ルートは3名で調査。向かう途中、合瀬大橋を渡ったポイントで100頭はいるのではないかと思われる猿の群れに遭遇。しかもほとんどが子猿で親猿は見あたりません。猿を追っている安田さんにあとでお聞きしたところ、このところ子猿の死亡率が低くいのだそうです。
合瀬ルートの大部分は、前日までの雪が残っており、テンフンを拾うには厳しい状態でした。そのかわり、雪上に沢山の足跡が残っており、動物たちの動きを想像し話し合いながらルートを歩きます。ツグミを食べたと思われる形跡も見ることが出来ました。

前日の雪が残る林道 アニマルトラック ツグミとと思われる被食痕

↑左:前日の雪が残る林道  中:アニマルトラック  右:ツグミ(?)と思われる被食痕

テン3サンプル、キツネ2サンプル、計5サンプル採取。私以外のお二人は初めての合瀬ルートだったので、地図で位置を確認しながら歩きたかったのですが、古い地図を持っていってしまいそれが出来なかったのが残念でした。(サポーター青木)

1日目ムタコルート

前日の雪が残る林道 ホオジロと思われる被食痕

↑左:前日の雪が残る林道  右:ホオジロと思われる被食痕
赤谷の日の中で、鳥の被食痕を目にするケースは多いように思います。結局何者か分からないのは寂しいので『原寸大写真図鑑”羽”』をいきもの村に常備することにしました。サンプル袋は忘れずにお持ち下さい。

2日目ムタコルート

2日目は1ルートに絞りましたので6名で調査。朝から小雨が降り続いていたので、雪もかなり解けているのではないかと予想してムタコに向かいましたが、融雪はあまり進んでおらず、前日同様厳しいコンディションでした。
 先月は設置したものの、空振りに終わってしまったセンサーカメラ。今回も設置場所を考えながらのサンプリング。
雪がシャーベット状になった林道 沢沿いでサンプリング 林道でのサンプリング

↑左:前日の雪がシャーベット状になった林道。この状態で探すのは難しい。  中:沢沿いでサンプリング  右:林道でもサンプルを発見

 2日続けての調査ということでサンプルは少なく、沢沿いの雪の上でイタチ1サンプル、林道上にキツネ1サンプル、計2サンプルに結果でした。
センサーカメラは先月も設置した旧道の橋のところに一台、水道施設のかなり手前になりますが、林道下の沢のところに出入りの痕跡がある穴を見つけましたので、そこに一台設置してまいりました。3月、4月と調査ルート数が少なかったおかげで、1ルートあたりの隊員数が多く、まわりの環境等についても、じっくり見ることが出来た調査でした。(サポーター青木)

合瀬ルートのサンプル テンの穴 センサーカメラを設置

↑左:合瀬ルートでみつけたサンプル  中:出入りの痕跡がある穴(画像ではわかりにくい)  右:センサーカメラを設置

テンふん隊からテンモニ隊へ

昨年6月からテンふん隊としてサンプリングを始め、もうすぐ1年が経過しようとしています。夏場は採集できるサンプル数が少くなく、辛い思いもしました。しかし、そんな中にも見つけたフンから食べたものを推測したり、彼らの夜の様子を想い浮かべたり、楽しみながら活動してきました。先月、雪上のツルウメモドキを食べたと思われるフンなどは綺麗だとさえ思えてしまう。もう病気かもしれません(笑)。
 サンプルはもちろん足立先生に分析してもらう訳ですが、積極的にこの隊に参加しているメンバーは、ただフンを拾うだけで終わりにしようとは思っていません。種子のサンプリングをして、隊員がサンプリングしながら識別出来る資料を作ったり、調査の課程で気になる場所にセンサーカメラをセットして彼らの姿を捉えたり、フンを見つける眼を隊員が持ちつつある今、活動の幅を少し広げたいという思いを強くしています。テンフンを拾うだけのテンふん隊から、テンをモニタリングするテンモニ隊に変わる時ではないかと思っています。(サポーター青木)

テン・モニタリング隊のセンサーカメラの結果

出かけるホンドテン 戻ってきたホンドテン

↑左:4月2日 17:59ホンドテンが穴から出てきた  右:4月2日 19:27 ホンドテンが穴に戻ってきた

木の実豊凶調査

先月の赤谷の日に、木の実の豊凶調査について、その進め方の検討結果を報告した。その方法とは、関東森林管理局管内を中心に行われた、「緑の回廊における野生動物植物相互間の関係、調査依託事業」の種子生産量調査モニタリング仮マニュアルに基づいている。重力および動物散布の種子の豊凶調査方法を参考にした。
作業は分担して手際よく進められる 大変なのは樹冠投影面積の測定。東西と南北の直径を均して求める

↑左:作業は分担して手際よく進められる  左:大変なのは樹冠投影面積の測定。東西と南北の直径を均して求める

4月の赤谷の日には、この報告に基づき、調査対象樹を具体的に決め、その位置、と樹の基本サイズを測定することを主な狙いとした。対象とした樹種は、ブナ、イヌブナ、コナラ、ミズナラ、クリ、オニグルミだ。それぞれについて、5本程度の対象樹を選ぶとすると、全部で30本になる。クリとオニグルミは、参考調査と考え本数を減らすが、それでも24本を対象とする。樹を探すところから考えると、結構時間がかかりそうで心配だった。
幸い1日、2日の両日とも5名以上の参加者を得ることができ、ほぼ予定通りの調査を実施できたのは、サポータパワーを実証したような気がする。

これはコナラ?、ミズナラ? 夏まで待てばわかります。 ブナの美しいフォルム ブナ、赤いナンバーテープが対象樹

↑左と中左:コナラ?ミズナラ?夏になったら、又おいで。教えてあげるから・・ 中右:ブナの美しいフォルム 右:川古台地のブナの木。赤いナンバーテープが対象樹

今回は、初春の、葉がまだ出ない林で、対象樹を探すことの難しさを実感した。ミズナラだ、と判断した樹が、夏にはコナラになっているかもしれない。

ムタコ沢にあったトチの巨木 ムタコ沢のブナに抱きつく石坂さん ムタコ沢のミズナラ

↑左:ムタコ沢にあったトチの巨木。予定外だが、対象樹に  中:ムタコのブナに抱きつく石坂さん  右:ムタコ沢のミズナラ

またイヌブナを探すのに、思いの外難儀した。トラップを設置できるような平坦地に、イヌブナは無かった。イヌブナは、本当に急傾斜の不安定地が好きなようだった。結果として、イヌブナの対象樹はとりあえず2本だけ選んだ。足りない木は、今後追加していくことにする。豊凶調査隊の皆さま、お疲れさまでした。2日間、ツリー・ハンティングにご協力頂いた石坂さん、ありがとうございました。(サポーター川端)

いきもの村でコナラ探し 赤いタグで目印を ムタコ沢にあったトチの巨木

↑左:いきもの村のコナラの巨木も対象樹に  中:赤いタグを貼り付ける  右:いきもの村のマンサクの花

イヌブナ 1日目のメンバー 2日目のメンバー

↑左:やっと見つけた調査できそうなイヌブナ  中:1日目のメンバー(オマケ)  右:2日目のメンバー


いきもの村鳥類相調査

サポーター高野さんの提案により、いきもの村鳥類相調査を行いました。
鳥類観察に慣れている高野さんをリーダーに、いきもの村のネイチャートレイルを歩き、観察できた鳥類を記録します。 いきもの村 いきもの村 いきもの村
たくみ小屋から、ネイチャートレイルを歩き出すと、ウソやルリビタキの声が聞こえます。続いて、ジョウビタキ、マヒワ、エナガなどなど。その中でもじっくり見たのはアカゲラの姿でした。前日の雪で真っ白ないきもの村に、赤と黒と白の姿が映えます。とても一生懸命につついている場所があったので後で見に行きました。ニセアカシアにしっかり穴が開いて、その場所から折れてしまいそうになっていました。
定点で観察 ノスリ

↑左:観察台にのって定点観察  右:子育て準備中のノスリ

いきもの村を一周した後は、観察台で定点観察。ノスリの姿を追かけていると、子育て準備中であることがわかりました。その他にオオタカ、クマタカも姿を現し、いきもの村で観察することの楽しさを実感できました。(NACS-J出島)



岡村うどん”のお弁当↓

お弁当

 夜のミーティングでは、2006年度の活動予定について議論をしたり、赤谷センター所長の島内さんは異動の挨拶に来てくれました。「赤谷の日」の活動も更なる発展を目指して、仕切り直しを行う時期であることを実感しました。
 夜の食事については、地域協議会 長浜さんが、地元の食堂から弁当をしてくれました。将来的には「サポーターで弁当箱を購入して、それに詰めてもらうことを模索したい」という提案も頂いています。ゴミを減らすことも、地域社会と伴に取り組む仕組みができればと思います。

 さて、来月は初の炭焼きです。前回は炭窯を形づくるための火入れで、炭をつくるための火入れは今回が最初です。昨年は穴掘りをしたゴールデンウィークに「一年でここまで来たか」と感慨にふけるのはいかがでしょうか?



写真/文:青木邦夫、小川祐二朗、川端自人、茅野恒秀、出島誠一、萩原

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