2006年3月赤谷の日レポート

3月赤谷の日レポート(2006年3月11−12日)

2006年最初の赤谷の日を開催しました。昨年末からの大雪で、1月、2月の赤谷の日は中止せざるを得ない状況となりましたが、やっと雪も落ち着きました。3ヶ月振りの赤谷の日は、炭窯からの炭出し、テンふんサンプリング、センサーカメラ設置などを行いました。

炭釜と師匠 炭は灰にならずに残っていました
スギ材でも立派な炭

↑昨年5月から続けてきた炭窯づくり、いろいろと失敗もありましたがやっと炭窯完成です。スギ材ではありますが、立派な炭もできました。赤谷の森で育まれた人と森の関係を学ぶため、また、自然再生のプロセスで伐採される植林木を有効利用をするために、この炭窯には活躍してもらいます。



炭窯隊〜窯開き

 雪に閉ざされていたいきもの村が、この3月に、やっと解放され、同時に僕らの炭窯の窯開きとなった。昨年12月の赤谷の日から、数えて3カ月以上経過してしまった。果たして、窯の中はどうなっているのか、炭はできているのか、そうでないのか。今年の炭焼きの、出来・不出来はどうなるのか・・。
 赤谷の日、2日目の朝に笛木さん、林さんの両師匠に来て頂いた。早速、窯の前のスペースを綺麗に整理し、窯口の粘土の壁を剥がしにかかる。皆、何となく期待と興奮につつまれた。
3カ月間閉ざされていた窯口 粘土は赤く焼けている 中が見えました 窯の中

↑左:3ヶ月間閉ざされた窯口、 中左:粘土は赤く焼けています、 中右:中が見えてきました、 右:3ヶ月ぶりの窯の中

 開いた窯の口の、奥に見えるのは、確かに炭だった。窯一杯にスギ材を詰めたはずだが、2/3くらい奥に後退している。師匠曰く、「良い出来だ!」。窯作りのための、捨て材の炭なので、全部灰になってしまっていてもおかしくない。だから炭に不向きなスギ材を使った。それでも一人前の炭になっていたのだ。炭窯のでき具合としては上出来のようだった。さすが、両師匠のご指導の賜物である。
期待と不安の表情 完全装備の目黒さん どんどん出します

↑左:みんな期待と不安の表情、 中:完全装備で挑みます、 右:どんどん出します

↓こんなにたくさん炭ができました。立派な黒炭です。

炭 炭

窯の中は、大人二人が入って作業ができる広さ。炭の香りと土のしっとり感があり、あまり狭さを感じない。意外と住み心地は良いのかもしれない。天井に着くムシロの灰を、箒でかき落としてから、粘土で補修をする。天井と壁の境目と、石が露出している部分に、良く練った粘土を張り付けていく。最後に、窯の中を乾燥させるために、軽く火を起こす。これで新たな炭材を入れる準備ができた。
煙突の口は意外と小さい 窯の中から外を見る 窯内部の天井に着く藁灰(ワラバイ)

↑左:窯口と反対側にある煙突の口、意外と小さい。 中:炭窯の中から見る外の風景。 右:窯内部の天井は藁灰(わらばい)でビッシリ

↓左:天井と壁の境目を粘土で補修する。 右:補修した窯する乾燥のために火を焚く

天井と壁の境目の補修 窯の中を乾燥させる

 炭窯を、空っぽにして長く置いておくのは良くない、と言うことで、早速、次の炭材を詰める準備を始める。今度は本番の炭焼きなので、硬くて良い炭ができるハリエンジュを使う。昨年、いきもの村に生える木を切り、物置に貯蔵しておいたものだ。
炭材を搬入 師匠の斧さばき 炭材を搬入

↑左:手分けして炭材を運びます。 中:師匠の斧さばきは凄い 右:斧さばきを教わる出島さん

昼食を挟んで、炭材の窯詰めをした。窯の外から中へ、材をバケツリレーで渡す。中では窯の奥から材を立てていく。材の太い方を上にして、材が寝ないよう、なるべく隙間がないように、次々と揃えて立てていく。天井の下の空間にも、材を寝かせて詰める。隅には短い材を詰める。ともかく、隙間があれば細い材を詰める。山のように用意したハリエンジュが、残り少なくなってきたところで、窯は一杯になった。窯口の近くは、燃えてしまうので、またスギ材にした。
窯の中に材をつめる 窯の中に材をつめる キレイに収まった

↑左:まず材を立て詰める。 中:ある程度立てたらその上に寝かせて積む。 右:隙間無く詰めました。

 窯に火を入れたら、3日間は様子を見る必要があるため、次回の火入れを5月の連休に決めた。それまでの間、窯は密封しておく。ブロックと粘土で口を塞ぎ、ブルーシートを窯に掛け、炭窯の休息である。
補修と窯口のふた用に粘土をつくる ふたをして5月まで窯も休息です 補修と窯口のふた用に粘土をつくる

笛木、林両師匠ありがとうございます。炭窯隊の皆さま、特に通して窯の中で作業をした目黒さん、お疲れさまでした。(サポーター 川端)


テンふん隊

合瀬ルート

 テン糞隊1日目合瀬ルートは、金井さん、小川さん、茅野さん、私青木で調査してまいりました。今年はじめてのモニタリングという事と、昨年の春には相当数のサンプルが採集された合瀬ルートという事で、かなりの期待をもって、まだ積雪の多い林道に入りました。
まだまだ雪の多い林道 テンのサンプルの特徴を伝えます
小川さんがテン糞調査がはじめてだったので、フンの見分け・目の付け所等を話ながら進んでいきます。今までは二人一組の編成が多かったけれど、4人いると調査に余裕が出るのでフン以外の発見も多く楽しい調査になりました。肝心のサンプルは次々と見つかり、テン19サンプル、キツネ4サンプル、計23サンプル。調査の途中、ホンドキツネが姿を現したり、何者かが狩りをしたのでしょうか、ウサギの毛が散乱している場所も確認出来ました。(サポーター 青木)
フン フン サンプリング

ムタコ沢ルート

3月11−12日の2日間、私、長浜にとっては半年ぶりの赤谷の日への参加、そして半年ぶりの「テン糞隊」調査です。初日は雨見林道4人とムタコ沢3人に分かれて、2日目はムタコ沢コース1本に絞り、4人で調査を行いました。
 2日間で50を越えるサンプルが集まり、上々の結果でした、去年の総数とあわせ300以上が採集されたことになります。きれいに雪かきが行われている道は、雪解け水で湿っていてフンの発見は困難を極めました、しかし結果的には道わきの1mほどの雪の壁の上にはるかに多くのフンがあり、積雪期の観察ポイントとなるようです、やはり「目立つ所」をチェックすることが大切でした。
 私個人の事を言うと半年のブランクは如何ともし難く、足元のテンふんも見落とすありさまで、かなりショックを受けています。今回は積雪期ということもあり、サンプル採集のほかに雪上の足跡の確認や、この時期餌となるツルウメモドキの観察なども積極的に行いました。つる植物のツルウメモドキは、開けた場所に生える樹木にからむことが多く、テンがフンをする場所と重なっている印象を受けました。今後は、周辺環境を含むテンの生態も考えながら採集を行い、テンふんが語る赤谷の森について、より深い調査にしたいと思います。
 2日目の調査後、多くのサンプルの採集できたムタコ林道旧道にある橋の付近に、2台のセンサーカメラも設置しました。1週間後の19日に回収したので現像が楽しみです。テン糞隊の皆さん2日間の調査おつかれさまでした今後もがんばりましょう。(地域協議会 長浜)


いきもの村ケモノ観察隊

まだまだ雪の残るいきもの村で、センサーカメラの回収設置と、獣のフィールドサインのデータ収集を行いました。NACS-J会報誌『自然保護』5・6月号の取材も兼ねていたため、いきもの村にある様々な”穴”にも注目して歩きました。
フン フン

↑左:下の水場にある洞。 右:洞の中はこんな感じでした。居心地良さそうです。

期待していた足跡は雪が硬くなったたために、ほとんど確認できませんでした。日差しが強く、歩いているだけで目を開けているのが辛くなります。雪の上ではサングラスを携帯しましょう

いきもの村を歩く 生き物の気配がする穴 設置したセンサーカメラ

↑左:いきもの村を歩いて痕跡を探す 中:生き物の気配のする穴 右:穴にセンサーカメラを設置

 いきもの村でセンサーカメラを回収した後、以前に私が川古温泉付近で発見していた”穴”にセンサーカメラを設置しに行きました。穴は一箇所に複数あり、雪の上には、それぞれの穴から出てきたときについたと思われる土がしっかりついていました。

アナグマが顔を出した アナグマが2頭

後日、センサーカメラを回収したところ、この穴の主はアナグマであることがわかりました。(NACS-J 出島)



参加した皆さま、3ヶ月振りの赤谷の日お疲れ様でした。
 夜のミーティングでは、2006年度から運用したいと考えている”サポーター登録制度”について話をさせて頂きました。その後は、AKAYAプロジェクトについての深い議論で明け方まで盛り上がりました。フィールドワークだけでなく、赤谷の森に関する様々な議論をするのも赤谷の日の重要な機能ですね。
来月も、フィールドワークとミーティングに盛り上がりましょう。

写真/文:青木邦夫、川端自人、島内厚実、茅野恒秀、出島誠一、長浜洋介、萩原正朗

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