10月赤谷の日レポート

10月赤谷の日レポート(2005年10月1−2日)

10月赤谷の日です。秋の実りに誘われて、とても多くの方に参加していただきました。今月も各班別に活動を行いました。
10月1日の夕焼けとススキ お昼ね中のムササビ シュレーゲルアオガエル

↑左:夕焼けとススキ、 右上:たくみ小屋の階段裏でお昼寝中のムササビ、 右下:シュレーゲルアオガエル

ツリフネソウ セキヤノアキチョウジ ヤマグリ

↑左:ツリフネソウ、 中:セキヤノアキチョウジ、 右:ヤマグリ


きのこ調査

平井隊員のレポート

 きのこ隊のレポートです。1日目、2日目とも群馬野生きのこ同好会の方々のご案内で小出俣エリアをきのこ調査しました。皆さんほとんどのきのこを見ただけで、名前と特徴を解説いただき、大変勉強になりました。1日目は、まず東京発電の貯水池を過ぎた人工林の中のきのこを調査しました。調査といっても、きのこ隊全員で手前のカラマツ林、奥のスギ林を歩き回り、見つけたきのこを片端から採集していくというものです。種類自体は少なめでしたが、結構たくさんのきのこが生えていました。スギヒラタケやスギエダタケなど白くて良く目立ってました。
目黒隊長のもと打ち合わせ 群馬野生きのこ同好会の方々の解説 スギヒラタケ

↑(左)目黒隊長のもと出発前の打ち合わせ (中)群馬野生きのこ同好会の方々に指導していただきました。 (右)杉林のスギヒラタケ。最近まで普通に食用でしたが、死亡者がでたので、食べられません。いっぱいあったけど。

 出発前から他のサポーターの方たちからの熱い期待(きのこ鍋!!)が向けられているのを密かに感じ取っていた私たちは、食べられるイグチ類を見つけた時は歓喜しました。今回最大の珍奇なきのこ、「スッポンタケ」の幼体(卵のような栄養分の塊の中に入ってる)も見つけました。これは、林道沿いで私が後で地上に出ているのを見つけましたが、すごい数のハエが周りを飛んでました。臭いで虫を誘うのですね。
スッポンタケ スッポンタケ スッポンタケ

↑(左)スッポンタケの幼体、 (中)スッポンタケ、 (右)幼体の中身

きのこの採集サンプルの手順(1) きのこの採集サンプルの手順(2) きのこの採集サンプルの手順(3) きのこの採集サンプルの手順(4)

↑キノコ採集サンプルの作成手順
(左)新聞紙の真ん中にきのこを置き、(中左)つぶさないように丸めます。そして、名前・採集者・発生場所と状況を書いた紙をはさみます。(中右)端っこをひねり、きのこがおちないように。(右)両端をひねったら出来上がり。紙袋などにいれてつぶさないようお持ち帰り。

ビニールシートに広げて同定作業 次に、ブナやミズナラの二次林できのこ採集しました。ここは、やはり針葉樹の人工林とは違い、種類も多く(1時間で数十種類発見)森の豊かさを実感させてくれました。私は、自分で見つけたコタマゴテングタケの薄黄色のかわいい姿が印象的でした。目黒さんがマスタケというきれいなオレンジ色のきのこも見つけました。(これは皆さんで夜の宴会で、油いためにしたのをいただきました。珍味です。)帰ってブルーシートに広げてみると、本当に色や形が様々で驚かされます。ここで、同好会の方と目黒さんは図鑑片手に同定をしていき、名札の紙を回収して終了です。


 2日目はカツラの巨木の周囲の渓畔林を調査しました。やはり同じ広葉樹の森といってもきのこの種類は昨日のエリアとはかなり違っていました。たまたまこの時期なのかもしれませんが、落ち葉や倒木・枯れ木を分解する木材腐朽菌が多いように感じました。なかでも、落ち葉の葉脈の上にならぶ、細長いきのこ、ヒメホウライタケが印象的でした。夢中ですわりながらきのこを採集していると、このまま足から菌糸が生えて、森に一体化してしまうのではないか?でもそれもいいかな?と思ってしまうほど、きのこ観察&採集にのめりこんでしまっている自分に、ふと気づきました。
 今回のような活動が、きのこや森に関する見方を変えさせてくれる貴重な体験になるのではないかと思います。また、今回のみでは時間が短くきのこ調査としては十分とはいえないかもしれません。 これからも継続していけると良いですね。(平井)

 コタマゴテングタケ  クヌギタケ  ヒトヨタケ  集合写真

↑(左)コタマゴテングタケ、 (中左)クヌギタケ、 (中右)ヒトヨタケ、 (右)テン糞隊とキノコ調査隊で集合写真

目黒隊長のレポート

↓調査地点(1)スギ林

(1)スギ林 季節は秋、いよいよきのこシーズンが到来しました。普段はおいしい食材として食卓に上るきのこ達ですが、実は森の中で非常に重要な役割を果たしているのです。それらきのこ達にスポットを当てるべく、赤谷の森で行っている様々な自然誌の蓄積の一環として、きのこ調査がスタートしました。同定の講師には「群馬野生きのこ同好会」の中林さん、今村さん、国友さんに御協力をいただきました。調査地は、「環境教育の教材研究と実践」を目指す小出俣エリア。ここには様々な状態の森林があります。きのこ達は樹木と非常に深い関係を持ちながら生活しているので、植生が変わると出てくるきのこもがらりと変わります。そのことをふまえて、(1)スギ林、(2)カラマツ林、(3)ブナ、ミズナラの二次林、(4)渓畔林の4タイプの森で調査を行いました。 特に(1)と(2)は今後間伐や漸伐といった施行が行われる予定箇所です。環境が変わることによって、きのこの発生がどのように変化していくのかをモニタリング調査する、最初のデータ集めです。調査方法は人海戦術。集合時間と場所を決めてフィールドに散った隊員達は、目に付くきのこを片っ端から採取します。始めは目をこらさないと見つけられなかったのが、時間が経ち、きのこの気持ちに同化しはじめると、発生しやすい場所が何となくわかってきます。


それでは結果報告。
(1)スギ林
 ここで発生が確認されたきのこは11種でした。目立ったのは去年死亡例が確認されて大騒ぎとなったスギヒラタケ、そして針葉樹の枯枝から発生するスギエダタケです。スギ人工林の暗い林床に、まるで花が咲くように真っ白なスギヒラタケとスギエダタケがあちこち出ているのはなかなか見応えがありました。ちなみにスギエダタケは傘の部分が食用になります。地元の方は全く食べないようですが。

↓左:調査地点(2)カラマツ林、 右:調査地点(3)ブナ、ミズナラの二次林

(2)カラマツ林 (3)ブナ、ミズナラの二次林 (2)カラマツ林
 発生が確認されたきのこは11種で、うち外生菌根菌が7種でした。ここではカラマツと特異的に共生関係を結ぶ、シロヌメリイグチとハナイグチが確認されました。どちらも私の故郷北海道では「落葉きのこ」の名で親しまれています。つるんとした食感と風味がたまらない、汁物に最適なきのこです。今晩のおかずにいただきます☆これで他の隊員の熱い期待(→きのこ鍋)に応えられると、とりあえず胸をなで下ろしました。

(3)ブナ、ミズナラの二次林
 ここではわずか1時間の調査で52種のきのこが確認されました。うち外生菌根菌は23種、特にテングタケ属とベニタケ属が多かったです。どちらも大きく色が鮮やかなものが多いので、見つけたときの達成感はひとしお。目をこらせばこらすほど、次々と新しいきのこが見つかります。時間をもっとかければ、おそらく80種位は確認できたはず。しかし秋の陽はつるべ落とし。後ろ髪引かれながら1日目の調査は終了となりました。

 さて、わずか数時間の調査でも、スギやカラマツの人工林に比べ、ブナ・ミズナラの広葉樹林に発生するきのこが、いかに多様であるかがわかります。これは樹木ときのこに深い関係があることを示しています。植物の大半は地中の根の部分で菌類と共生関係を結んでいます。この共生する菌のことを「菌根菌」と呼びます。植物が菌根菌に光合成産物を渡す代わりに、菌根菌は地中に広く張り巡らした菌糸で集めた水や養分を、宿主である樹木に提供します。またその他にも、菌根菌は植物の根に対し他の病原菌が入ってくるのを防いだり、菌糸で植物同士を結びつけ、植物間での養分のやりとりを仲介したりもしているのです。
 ところが、広葉樹の多く(ブナ科、カバノキ科、ヤナギ科等)や、マツ科の樹木はきのこを作るタイプの菌根菌(外生菌根菌)と共生関係を結ぶのに対し、スギやヒノキはきのこを作らないタイプの菌根菌(AM菌)と共生関係を結ぶのです。 この外生菌根菌との共生は宿主特異性が高く、また一個体の樹木にたいてい複数の種類の外生菌根菌が共生関係を結びます。結果、広葉樹林には非常に多様なきのこが発生する事になるのです。
マスタケ チョウジハツ オキナクサハツ

↑ブナ、ミズナラの二次林で確認したキノコ (左)マスタケ、 (中)チョウジハツ、 (右)オキナクサハツ

 2日目は大カツラのある千曲平の渓畔林を目指しました。
(4)渓畔林
 トチノキやサワグルミが生息するこの場所では、約1時間半の調査で、昨日のブナ・ミズナラ二次林とほぼ同数の、50種のきのこが確認されました。折ると赤い血のような汁を出すアカチシオタケや、画鋲の形をしたモエギビョウタケ、発生してからわずか1日でどろどろに溶けてしまうヒトヨタケ等、個性的な面々揃いです。 しかし、全50種のうち、外生菌根菌はわずか6種。対して木材やリター(落葉、落枝)を分解する腐生菌は41種と、構成するきのこのタイプは全く異なりました。同じ広葉樹林でも樹種や湿度、倒木の有無等で、発生するきのこの顔ぶれはがらりと変わるのです。
カワラタケ エリマキツチグリ ナラタケ

↑渓畔林で確認したキノコ (左)カワラタケ、 (中)エリマキツチグリ、 (右)ナラタケ

 二日間の調査で確認できたきのこは105種になりました。限られた時間の中でしたが、隊員の皆様、きのことの対話は楽しめましたか?それぞれのきのこの個性を覚えると、この子は何でこんなところに出ているのかと色々推理してみるのが楽しくなってきます。かという私もまだまだ修行中ですが。今後もきのこ調査は継続して行いたいと考えています。来月には今回とはまた違う顔ぶれに出会えるはずです。ご協力くださった群馬野生きのこ同好会の講師の御三方、大変ありがとうございました。(目黒)


エンカウンタースペースづくり

↓キツツキハウスをたくみ小屋の前に移動しました

たくみ小屋から観察できる位置に設置 キツツキハウス

前回作業の手直し

 今月は3回目の作業です。まずは、先月取り付けたエンカウンタースペースの改善作業を行いました。
 燃料庫跡をリフォームした「テンハウス」では、下段スペース内の気温ができるだけ一定になるよう、上段(屋根裏)との行き来用にあけておいた穴をテンがぎりぎり通れるくらいまでぐっと小さくし、床板の隙間をすべてシリコンで埋めました。そして、下段スペースを観察する際に中をぼんやり照らせるよう、壁面の隅にひよこ電球を取り付けるための小さな穴を開けました。また、建物の南側の外壁に立てかけておいた丸太を北側に付け直し、テンなどは上がれてもヘビは上がれないよう形状に直しました。
 続いて、前回上の水場の斜面に取り付けた「フクロウハウス」と「キツツキハウス」のうち、「キツツキハウス」をたくみ小屋の勝手口のすぐそばの樹に付け替えました。これで、たくみ小屋2階の東側の窓を開けるだけで、「キツツキハウス」の中がバッチリ見えるようになりました。キツツキハウスの出入り穴が、センサーカメラでアオゲラが撮影された通気口とちょうど同じ向きになる形で取り付けることができたので、作成班としては使ってくれるのではないかと期待に胸をふくらませています。


フクロウのハンティングサイト

 それに加えて今回は、「フクロウのハンティングサイト」と、2つ目の「フクロウハウス」、「小鳥の水飲み場」を作りました。 これは、たくみ小屋に居ながらフクロウが観察できるようにしようという仕掛けです。仕掛けの構造はいたってシンプルで、フクロウの好物のネズミがエサを食べにやってくる場所をつくり、そのそばにフクロウのとまり木を用意しておくというもの。

フクロウハンティングサイト

↓左:穴掘り 右:止まり木を作製

ハンティングサイトの穴ほり 止まり木の作製

フクロウハンティングサイト→

 まずは、たくみ小屋の玄関前の草はらに、4人がかりで穴を掘りました。しばらくぶりの汗だく作業です。でも、泥まみれになって身体を動かすのは気持ちがいいものですね。
 穴の大きさは、2m四方で深さ1mほど。これは、ウサギやタヌキなら穴に入っても自力で出られるけれど、ネズミはいったん穴に入ったらはい上がることができず、困ってチューチュー鳴いて、フクロウがその声を聞きつけてやって来るという状況を想定したサイズになっています。そして、穴に向かって真横にのびている枝の葉を払い、立ち枯れ枝に見立てました。さらに、ほどよい枝ぶりの樹を1本伐り出してきて、一切の葉を落として立ち枯れ木のようにし、穴のそばに植えました。これでひとまず完成です。
 さっそくネズミの好物の落花生を穴の中にまき、ネズミとフクロウがやって来るのを待つことにしました。後日の確認によると、落花生は何者かにあっという間に食べられてなくなってしまったそうな。さっそく改善要!!です。

2つ目の「フクロウハウス」

 フクロウハウスを作製  フクロウハウスを取り付けます  フクロウハウス
 「フクロウハウス」をもう一つ作り、小屋から下っていった鉄塔近くの観察路脇のオニグルミの幹に取り付けました。これで、フクロウのエンカウンタースペースを「上の水場」「たくみ小屋そば」「鉄塔脇の観察路」とほどよい間隔で3ヶ所設けることができました。余談ですが、「ハウス」を何mもの高さの幹に取り付ける際に使っている「はしご」が林業専用の特殊な形をしているのですが、じつに機能的に出来ていて、はしごに上って作業している赤谷センターの皆さんはまさに職人でかっこいいのです。

 さらに、たくみ小屋の玄関の脇に、小さな甕(たしか美味しい日本酒が入っていた甕のはず)とペットボトルを利用して小鳥の水飲み場をつくりました。(芝小路)



テン糞拾い隊

↓出発前の準備中

出発準備のテン糞隊

今月はサンプル数の少なさに様子を見にきた足立先生を迎えての調査になりました。1日目は二人ずつ3班に分かれて、各ルートを調査。私(青木)は初参加の田中さんと赤谷上流ルートを担当する事となった。

 小出俣に向かうきのこ調査隊を見送り、先月までの様子を田中さんに話ながらスタート地点に急いだ。今回は調査を開始してすぐに、雨でかなり流出しているが1サンプルを発見!しかし、ここで失敗が・・・違う地図を持って来てしまっていた。たくみ小屋で、キットの準備にバタバタしていたせいである。いつもキットの準備はセンターの山本さんにお任せ状態だったからなぁ・・・反省。
 位置情報はGPSで取って、いきもの村に戻ってから地図に落とす事にしましたが、赤谷の日以外でも何回か歩いたせいか、メモを取って置くくらいで位置はわかるようになっていました。少しは私も成長したのだろうか??

↓小出俣ルートで採集中

小出俣ルートでサンプリング  ひとつ見つかったおかげで気は楽になったものの、欲は出てくるもので、田中さんと「これぞ、糞!」と言えるようなサンプルを見つけたいですねと先へ進んだ。集合時間を考えると、そろそろ引き返さないとならないと考え出したころ、田中さんが溜糞状態の2サンプルを発見、お見事でした!!赤谷奥ルートは計3サンプル。

 まずまずの成果と思いながら、いきもの村へ帰還したのですが、そこには凄い事実が待っていた。ムタゴルート、38サンプル。「えっ、ウソ!」と思いましたが、袋から溢れんばかりのサンプルが・・・今回、このルートを調査されたのは、足立先生の班。今までの成果を考えると、屈辱的と言って良い程の数。経験が違うとはいえ、かなりショックでした。
 そんな気分を癒してくれたのは、階段下のねぐらで爆睡中のムササビの姿でありました。

 2日目は、1日目の調査者と新たな希望者数名で、前日大量にサンプリングできたムタゴ沢ルートを足立先生と再調査。前日のサンプリングでリセットされた状態なので、新しいサンプルが見つかれば、糞の径や含まれている物によって個体識別ができる可能性があるとの事でしたが、残念ながらリセット後の新しいサンプルは1つのみだったので、10月2日に一個体がいた事は確認出来ましたが、個体識別のステップへは進めませんでした。
小出俣ルート 小出俣ルート 赤谷上流ルート 赤谷上流ルート

↑左の2つ:小出俣ルートのサンプル、 右の2つ:赤谷上流ルートのサンプル

 新しいサンプル以外にもいくつか見つかり、ムタゴの総数は40以上。先月までと何が一体違うのか?10サンプルが1カ所で見つかった岩も、以前から確かにあの位置にあった。今までもムタゴの橋のところは裏切らないと言われて来たけれど、この数の差はなんだろう。昆虫食の場合の糞は雨で簡単に崩れてしまうそうなので、雨も多かったしそのせいなのだろうか?
 すっかり自信を喪失してしまったので、時間まで小出俣林道に行って、足立先生から捜すポイントなどをもう一度教えて頂いた。それによると、あまり見当違いの調査をしていたとも思えない。赤谷特有の事情があるかもしれないとの事でした。沢の林縁に移動している事も考えられるので、来年は沢沿いの調査も加わるかも知れません。(青木)


小出俣テン糞拾い隊&センサーカメラ設置 他

 初日の小出俣林道のテン糞拾い隊&センサーカメラ設置班です。リアルネイチャー・キャンプの下見も兼ね、小出俣エリアをゆっくり歩きました。テンの糞は2つ発見。ひとつにはサルナシかマタタビの実と思われるものが入っていました。ヤマグリが落ちていたり、花はツリフネソウからセキヤノアキチョウジへと移りかわっています。対岸の森も少しずつ紅葉がはじまっていて、秋を感じました。少し秋を長く感じすぎたのか、センサーカメラを設置したい、渓畔林の奥まで到達せず、時間の関係で、カメラ設置は翌日に持ち越しとしました。カメラは翌日、鈴木班が設置する事となりました。
テンの糞隊の目線は下向き! 水のない東京発電貯水池 キイロスズメバチの巣

↑左:テン糞拾い隊の目線は下向きです。 中:東京発電貯水池の赤谷川本流からの導水路出口付近から下流は、渋沢のように石が赤くなっていました。
 右:ブナの大径木の横枝にキイロスズメバチの巣がありました。まだ活動しているようです。

三国峠付近の踏査

2日目は三国峠付近を踏査しました。登山道入口に行く途中、オオコノハズクと思われるロードキルを発見しました。
事故現場 食べるのは。。。 広げてみると形が良くわかります
旧三国街道に通ずる登山道は、国道からごく近いところでも、ブナやミズナラの巨木が見られます。赤谷の森のなかで、もっとも手軽に巨木の森に到達できるルートです。ここでもカエデの仲間たち少しずつ紅葉・黄葉が進んでいます。30分ほどのきつい登りを終えると、旧三国街道の本道に到達します。急登の途中からササが現れ、だんだん亜高山帯に近づいていることを感じさせます。旧街道の沢沿いで、川端さんが鱒茸を発見、果敢にも採取に挑戦し成功しました。いい研究材料になりそうです。青い実が特徴のサワフタギは、赤谷の森では今のところ、三国峠付近でしか見られません。
三国峠で昼食 三国峠で昼食 マスタケ サワフタギ

↑左2枚:三国峠で昼食中のサポーターとリアルネイチャーキャンプスタッフ、 中右:マスタケ、 右:サワフタギ

峠につくころには、ガスが三国山頂を覆い始めました。サポーターに「いきもの村」とは違う、赤谷の森の別の面を発見してもらえたと思います。(茅野)


小出俣渓畔林調査隊

センサーカメラを設置  昨日設置できなかったセンサーカメラを設置するため、小出俣へ。この日もテンの糞拾い隊との兼務でしたが、テンの糞は発見できませんでした。
 小出俣へのカメラの設置は、1台は昨日きのこ調査隊が発見したブナ2次林内のニホンカモシカ又はニホンイノシシのヌタバらしき場所に設置しました。目黒さんからブナの2次林内なので「行けば分かる」とのことでしたが少し迷いました。次は「行けば分かる」ように林道(作業道)のわき道にスギの棒杭を立てておきました。もう1台は、”はじまりの谷”(カツラステーション下流の渓畔林内)のニホンカモシカ又はニホンイノシシシのヌタバに設置しました。

 その後、小出俣渓畔林調査となりました。はじまりの谷周辺の渓畔林は、トチノキ、サワグルミ、カツラ、イタヤカエデ、ブナ等の大径木を中心にフサザクラ、チドリノキ等がありとても気持ちのよい林です。トチノキ等には樹洞があり、ムササビの食痕もありました。イワナ、ヤマメの産卵場所になるであろうと思われる小沢も見つかりました。(鈴木)
センサーカメラを設置 センサーカメラを設置 センサーカメラを設置

↑左:小出俣の支流、 中:ヤマメ、 右:イワナ


コウモリ調査

 コウモリが活発に活動する時間ではないのですが、21:45分からいきもの村の県道付近、県道上部の水場付近、たくみ小屋周辺のコナラ林で行いました。天気は良かったのですが各周波数帯での音声は、全くありませんでした。コウモリ調査終了後、満点の星を堪能しました。コウモリ調査が全滅でもいきもの村では何かしら楽しめるものがあるものですね。その後、村の家通称「鈴木ハウス」?、たくみ小屋で2次会が行われました。(鈴木)


木の実の豊凶調査班

調達した資材↓

調達した資材  豊凶調査班は、残念ながら経験者がいなかったため、シードトラップの写真をもとに、資材を調達し、トラップ作りから始めました。ホームセンターの中を、皆で右往左往しながら、支柱、ネット、円形の口金として使えそうなものを探し、何とかそれらしき物を購入。ただし、口金はちょうど良いものが無いため諦め、代案を検討することに。
 早速、川古温泉の奥の段丘状の林に、トラップをセットしに行きました。対象木はコナラ、ミズナラ、ブナです。トラップの形状は、工作が簡単になるように、3本の支柱をかがり火の台状に結び、ネットの口を先端に掛けて、三角口にしました。有効面積が小さい、面積を一定にしにくい、面積の計算が大変など少々気になりますが、ともかくこれでやってみることにします。6箇所セットし、コナラ(4)、ブナ(1)、クリ(1)でした。残念ながらミズナラは見つかりませんでした。

 翌日は、いきもの村周辺へのトラップ設置なので、朝飯前の応援団を募って実施しました。そこにテン糞班隊長の足立先生も参加。トラップ上部の写真を撮っておくこと、面積が一定のトラップにすることなど、いろいろノウハウを教えていただきました。いきもの村の下部では、大きなコナラ5箇所、小さなコナラ1箇所にセットしました。

↑左:打合せ中、 中:いきもの村に設置したトラップ、 右:トラップの上部

1カ月後にトラップの働きを確認し、赤谷プロジェクト特製トラップとして改善していくことにします。いきもの村周辺の、小動物の食料事情の基礎データとして、今後10年間はコツコツと継続していく調査です。調査班の皆さん、お手伝い頂いた皆さん、お疲れさまでした。(川端)



 みなさんお疲れ様でした。紹介しきれませんでしたが、ヒミズやハタネズミと思われる死骸、シマヘビやアオダイショウなど、さまざまな発見がありました。参加する方が多いと、その分だけ発見も多いように思います。
 来月は、きっと紅葉が見頃です。1ヶ月でこんなに様変わりするのです。楽しみです!!

↓(左)2005年10月2日撮影 、(右)2004年11月7日撮影

2005年10月 2004年11月


写真/文:青木邦夫、石坂忠、川端自人、神林弘之、坂西成人、芝小路晴子、島内厚実、鈴木誠樹、茅野恒秀、出島誠一、平井希一、目黒美紗子

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