赤谷の日

2005年7月2−3日
7月赤谷の日です。早いもので、いきもの村の整備をはじめて一年が経過しました。今回は、「テン糞隊」、「炭窯づくり隊」、「ロガー設置隊」の3チームに分かれてそれぞれ作業を進めました。梅雨空ではありましたが、作業には最適な天候だったように思います。それぞれのチームの活動状況をお伝えします。


ヒメシジミ ルリテタハ
梅雨です いきもの村 エゾアジサイ
スミナガシ ヒオドシチョウ
(左上)ヒメシジミ、(右上)ルリタテハ、(左下)スミナガシ、(右下)ヒオドシチョウ

炭窯づくり隊

炭窯班は地元の方々を指導役に、荒堀り、平石の調達、窯の形成を行いました。
講師の方々 掘る場所確認 掘ります!
2日の講師は、地元赤谷集落の阿部年男さん、阿部佐太雄さん、桜井安男さん、久保田保雄さん、林元保さんの5人です。

 水はけのよさそうな適地を決めて、荒堀りからはじめます。前回の練習時同様に手堀りで掘り進めます。力まかせにスコップを振り回すだけでなく、板を使って上から下へ土を削り落とす方法を教えていただきました。これだと省力的です。
平石を調達 平石を運ぶ
同じ頃、平石調達班は山へ適当な平石の調達に行きました。講師の先生の持っている杉林です。以前、講師の先生が窯をつくったときにもこの山から石を搬出したそうです。状態のよい平石を軽トラックで4台分搬出しました。
掘ります! 掘ります!
荒堀りも佳境です。週始めの雨の予報を覆して、日差しも照ってきました。


シートを掛ける前の骨組み
 明日窯形成の講師をお願いする笛木さんの指示通り、あらかた掘っておくところまでが今日の作業目標でした。雨で濡れないよう、杭を立ててビニールシートを被せて、初日の作業は終了です。講師のみなさんありがとうございました。
 3日はあいにくの小雨模様でしたが、永井地区から現役で炭を焼いている笛木正幸さんを講師にお招きし、窯形成作業を行いました。
職人技 職人技 職人技
 笛木さんによる窯位置決め、笛木さんは数十分、誰も話しかけられないくらいに集中しておられました。窯の入口と煙の吹き出し口を決め、村民の小林正さんに調達していただいた吹き出し口用の石を設置します。入口は耐火レンガを使うことにしました。
職人技その2 職人技その2 職人技その2 煙の吹き出し口
粘土の作成 平石と粘土を組み合わせてつくる 平石と粘土を組み合わせてつくる 平石と粘土を組み合わせてつくる
 重要なポイントが定まったら、窯の形に合わせて側壁となる部分に粘土と平石を積み重ねていきます。 粘土は5月に村内から調達した粘土に水を入れ、壁に貼り付くように加工します。ここからはサポーターの出番です。以前の作業でコツを掴んだ人が中心に、笛木さんに細かく指導をいただきながら、側壁を積み上げます。細かい技術が必要なところは、笛木さんが職人技を披露していただきました。
上から見た窯 正面から見た窯 お疲れ様でした!

 8時30分に作業を開始して、お昼休みをはさんで、側壁が積み上がったのが14時30分。その後、側壁全体を粘土で覆います。
 15時30分、あとは天井を積み上げればよいところまで、作業が進みました。軽トラック4台分の平石は8割方使い、5月に調達した粘土は2トンほとんどを使い尽くしました。

 たくさんの村の方々に、ご協力とお世話をいただきました。次回の作業は、いよいよ天井張りと雨よけの小屋掛け作業です。

テン糞隊

テン糞隊  第1回目の「テンの糞を対象としたモニタリング調査」を行いました。
 調査では2日間で3ルート、合計15kmを越える距離を歩きながら、テンの糞を中心にサンプリングを行いました。テンの糞回収の為、スローペースでの林道歩きに思いがけない疲労感に襲われつつ、また梅雨の湿気で元気いっぱいのヤマビルの攻撃をかわしながらの、大変過酷な調査となりました。
(少し大げさ)

糞 糞
当日は雨模様ということもあり、湿った地面の色と同化してしまう糞の採集には困難が予想されましたが、テン糞隊(※調査隊名称については、今後もう少しスマートで聞きざわりのよいものを考えましょう)隊員各氏の努力と視力により、初めての調査にしてはまずまずのサンプル回収(合計サンプル数15)ができたのではないかと思います。
キレイな幼虫 ツルアリドオシ ↑(左)キレイな幼虫です。モリモリ食べています(右)ツルアリドオシ
テンが糞をしそうな石の上をきれいにしてみました→
テン糞隊
テン糞隊
↑糞を持って笑顔のテン糞隊
糞 糞
 回収した宝物のようなテンの糞は、はるか九州大分の地で内容物の同定が行われます。そしてこれらサンプルデータの蓄積により、テンから見た赤谷の森の環境が明らかになります。
 今後行われるであろう、赤谷の森での自然探求の1ページです。これからテン糞隊の仲間たちと野外での様々な経験を積み上げ、いっぱしの「自然人」?になりたいと思います!!
 調査にご協力くださったテン糞隊隊員に、改めて感謝です。


ロガー設置隊

プロジェクトエリアの主要な沢に、ロガー(数時間ごとに自動で水温を計測する機器)を設置しました。調査研究活動の基礎的な情報としてとても重要です。

↓パソコンで計測開始時間、インターバルなどを設定します。
ロガーを設定 ロガーを設定
新たに見つかった湿地は、いきもの村から1時間半ほどのところにあります。ロガー設置の前に、まず一周してみました。→
湿地
クロサンショウウオ モリアオガエル(親) モリアオガエルの卵塊
↑水面が開けている場所の上にはモリアオガエルの卵塊がありました。親の姿が見れたのはこの一瞬だけでした。鳴き声だけはとてもよく聞こえるのですが。。。

←水の溜まっている場所にはクロサンショウウオの幼生がいっぱいです。カワイイです。
↓(左)みんなクロサンショウウオの幼生に夢中です。
↓(右)湿地の大部分はヨシ群落です。ヨシの中をかきわけながら歩きます。
クロサンショウウオの幼生に夢中です 中央部はヨシです
横山さんのフィールドノートです。一周歩き終わったときには湿地帯の全体像がしっかり記録されています。素晴らしい。→
この湿地にもみんなで名前をつけましょう!!
フィールドノート
ロガー設置中 ロガーは、1日目に8箇所、2日目は2箇所、合計10箇所に設置しました。
←台風の時でも、雪どけの時でも、ロガーが流されないように設置しなければいけません。岩の陰を選んだり、岩を組んでみたりいろいろ工夫はしましたが、ちゃんと持ち堪えてくれるでしょうか。。。

カジカガエル雌 カジカガエル雄
↑赤谷川橋でみつけたカジカガエルの雌雄です。プロポーションが明らかに違います。
↓(左)アズマヒキガエルは耳腺に毒液があるので食べるとき(?)には気をつけましょう。
↓(右)水温が低い場所にいるためでしょうか、カジカガエルはあまり動きません。
アズマヒキガエル カジカガエル雄
確認のために、いきもの村の水場に設置したロガーのデータを回収してみました。しっかり2時間毎に測っています。(最初の3回は設置前に車の中で計測してしまった為です)水場の水温が昼も夜もほぼ15℃で一定であることがわかります。→
いきもの村の水場の水温

7月「赤谷の日」記念撮影

参加されたみなさんお疲れ様でした。汗をかいた後の温泉がとても気持ちよかったですね。
炭窯づくりも佳境をむかえています。テン糞隊のサンプリング活動も開始しました。今回から本格的にチーム別の活動がはじまり、赤谷の日が学習の場として整いつつある事を感じています。さあ、8月はどのチームで活動しましょうか?


写真:平井希一、赤谷森林環境保全ふれあいセンター、NACS-J
文:平井希一、長浜陽介、茅野恒秀、出島誠一

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