三国山地/赤谷川・生物多様性復元計画
「AKAYA(赤谷)プロジェクト」・総合企画書(2004年4月)

もくじ

1.目的
2.名称
3.目標
4.会議の経過 → 活動記録(2003年度)をご覧下さい
5.プロジェクトの基礎
6.運営体制

1.目的

 国土レベル及び地域レベルの「生物多様性保全」及び「持続的な地域社会づくり」。これは現在の「自然保護」における国際的テーマであり、各種の試行錯誤が世界各地で続いている。その中での日本の役割は、単にこの状況に追随することではなく、状況作りへの具体的貢献と考えられる。このような自然保護のテーマとその活動における状況変化は、日本でも「対立から協働へ」等のコピーで表現されているが、現実には協働といわれることの枠組みが曖昧なため、国土レベル・地域レベル双方の発想や要求を生物多様性保全の観点から整合させるという仕組みを持った環境管理の事例は、未だ生まれていない。そのような中、群馬県・三国山地一帯の地域は、このモデルとなりうる諸要素を備えると共に、これまでの地域活動の経緯から新たな観点による自然環境保全の必要性が生じているという、段階の変化を生み出すべき状況にある。
 本プロジェクトは、このような自然・社会状況にある三国山地一帯の地域において、生態系の保全管理のための新時代の協働の枠組み構築、生物多様性保全に資する科学的な地域環境管理計画の実現、そして高い持続性をもつ地域社会づくりの3点を整合的に行うことに関する、日本におけるモデルを構築することを目的とする。

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2.名称

1.の目的及び、下記3.の各項を目標とすることから、プロジェクトの正式名称は「三国山地/赤谷川・生物多様性復元計画」とする。略称は、赤谷川上流域で展開されるプロジェクトであることから、「AKAYA(赤谷)プロジェクト」とする。

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3.目標


(1)地域自然環境の確実かつ科学的な保全の実現

 赤谷川流域を中心とする三国山地一帯は、希少種であると共に地域自然のアンブレラ種でもあるツキノワグマ・イヌワシ・クマタカなどの重要な生息地になっている。これらの種を含む現在の自然環境を、調査研究を通じて総合的に把握し、確実な保全を目指す。また、生物多様性保全と生態系機能のさらなる向上・復元を計画し、複数の保全制度(緑の回廊・保護林・保安林+国立公園+鳥獣保護区等)を駆使した保全モデルの構築を目指す(緑の回廊の拡大、保護林設定、人工林の自然林への復元等を含む、科学的根拠に基づく積極的な保全策の検討と実行)。


(2)地域生態系の非消耗型活用

 本地域は、地域の水源・温泉源としての生活の場であり、地域社会の精神性をも支える自然環境の元本としての機能を持つ地域でもある。そのため、Tで計画する保全モデルに沿ったローインパクトな自然利用、高品質な自然体験、地域社会にノウハウが蓄積されていく形での環境教育利用等、環境の保全管理を伴った自然活用の実践モデルとしても機能させる必要がある。これらを、NACS-Jの環境教育のホームグラウンドとしての試行を手始めに構築してゆくことを目指す。


(3)地域と地域自然に関係する諸団体の、行為を伴う連携(パートナーシップ)

 このような協働・連携のためには、通常の官民の連携のみならず、地域スケールと全国スケール双方に官官・民民の協力関係を織り込むことが必要である。このような多くの組織の参画を促し有効に組み立てる際の鍵は、仲介役となる中核的な組織の働き方にあるといえる。本プロジェクトでは、地域と地域自然に関係する諸団体が確実な連携を組めるよう、運営面における官民による中核組織内の協働・連携を強化し、この中核組織から常に何かが共同提案されていくというような、実践のモデルとなりうる協働・連携の構築を目指す。

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4.会議の経過

活動記録をご覧下さい。


5.プロジェクトの基礎


(1)国有林の取り扱いにかかる協定の締結

 本プロジェクトの実施にあたっては、当該国有林の取り扱いについて、長期にわたって森林生態系の生態学的な保護管理を行いうる形態をとるため、中核組織の間で協定を結ぶ。


(2)持続的な地域社会づくりへの具体的貢献

 自然活用モデルの研究と実践を通じて、プロジェクトエリアに隣接する三国猿ヶ京温泉郷を中心とした観光施設の活用にとどまらず、地域社会に対して社会・人材育成/教育面などからも貢献し、地域づくりの具体的なビジョンの一形態を提案することを目標とする。


(3)より広く社会と会話する地域環境管理計画

 これまでの大規模開発事業を争点とした問題対応型の自然保護活動の形態から、地域環境の持続性の向上に資する活動形態への移行を進め、中核組織の連携を基盤として、より広く社会に開かれた情報発信型の活動形態を目標とする。

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6.運営体制


(1)運営体制図



(2)定例会議


【企画運営会議】
 年2回(8月、2月)開催し、中核組織となる赤谷プロジェクト地域協議会、関東森林管理局、NACS-Jで構成する会議とする。プロジェクトの大局的な方向付けの機会とするとともに、受委託関係をもって行われるものをも含む、プロジェクトにおける各主体の事業(プログラム)を調整する場とする。


【調整会議】
 企画運営会議を補う時期に年2回(4月、11月)開催し、諸連絡事項のやりとりや、短期的に解決・調整を必要とする問題の処理を行う。


(3)中核組織の担当部局と連絡体制

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