文:小泉武栄(東京学芸大学人文社会科学系人文科学講座教授) 画:門馬朝久

磐梯山と聞いて、まず頭に浮かぶのは民謡の会津磐梯山だろう。「エンヤー 会津磐梯山は宝の山よ 笹に黄金が エーまたなり下がる」ののびやかな旋律は、民謡の代表格だし、続きの「小原庄助さん 何で身上潰した 朝寝朝酒朝湯が大好きで それで身上潰した ハー もっともだー もっともだ」もどこかで聞いたことのある文句だろう。会津磐梯山は、少々間が抜けているが憎めない小原庄助さんとともに、日本民謡の中でもっともよく知られた名前といえよう。
磐梯山は福島県会津盆地の入口にそびえる会津の名山である。この山は北の吾妻山、東の安達太良山、西の猫摩ケ岳、南の那須岳などとともに奥羽脊梁山脈の一部をつくる。南の猪苗代湖の方から見た姿は、富士山型でよく整い、会津富士の名にふさわしい。もちろん日本百名山のひとつである。元々は「いわはしやま」と読み、「天にかかる岩の梯子」を意味していた。
古くから信仰の山としても知られており、南西麓にあった慧日寺(現在の恵日寺)はその中心であった。磐梯山は猪苗代湖とともに、現在も会津地方の観光の中心となっており、桧原湖などを擁する裏磐梯はその中核といえる。




