

●景観美:美しい景色を楽しむ。観光・登山・キャンプ など
●熱資源:熱資源を利用する。温泉旅行・湯治・地熱発電 など
●鉱物資源:有用金属などを採取する。
●特殊な生物の生息環境の提供
●地下水の貯水:すき間の多い山体に大量の地下水を蓄える。
●大地の形成:溶岩はなだらかな大地を、火山灰は肥沃な土壌をつくる。
●文化的資源:神話や伝説といった伝統文化をつむぎ、自然への畏敬の念をはぐくむ。

磐梯山は70万年ほど前から火山活動を始め、溶岩や軽石、火山灰を繰り返し噴出してきた。9万年前、5万年前には火砕流による堆積物が川をせき止め、猪苗代湖の原型をつくった。8万年前からは約2万年おきに、大規模な山体崩壊を起こしている。806年の噴火では、それまでの富士山型の山が崩れ4峰が並立する山に変化した。そして1888(明治21)年の大噴火に至る。この年の7月15日、大規模な水蒸気爆発により山体の北側が大きく崩壊し、爆発カルデラ※が生じた。この時に発生した岩なだれによって長瀬川とその支流がせき止められたため、桧原湖をはじめとする、裏磐梯の湖沼群が生まれた。また、北麓の5村11集落が埋没、死者477人という、明治日本にとって最初の大災害となった。噴火の跡地は現在、裏磐梯の観光地に生まれ変わっている。(小泉)
(※爆発カルデラ:小規模な噴火や水蒸気爆発が引き金となって、山体の一部が崩壊してできた凹地。)

火山国・日本には活火山が110余りある。中には浅間山や桜島のようにいつも煙を上げている火山もあり、ほかの火山にしてもいつ噴火するか分からない。現在でも日本列島を見渡せば、1年に1カ所くらいは新しく噴火している。ただ火山の噴火は、磐梯山の噴火のように一時的に大きな災害をもたらすが、そのあとには美しい風景やさまざまな資源を残してくれることが多い。自然はときに恐ろしい力を露わにする「荒ぶる神」だが、普段は多くの恵みを与えてくれるありがたい存在でもあるのだ。私たちはこのことを常に念頭に置いて暮らす必要がある。同じことは、地震や津波、山崩れ、洪水など、ほかの自然災害についてもいえる。今回の震災で亡くなられた方々を追悼するとともに、被災された方々が早く自然の恵みとともに暮らせる日常を取り戻せるよう、私たちもささやかながら力を尽くしていきたい。(小泉)



1888年の噴火により磐梯山の北側は一面の裸地になった。現在は森が戻っているが、よく見ると、高さ30mを超すアカマツ林がある一方で、高さ20cmほどのシラタマノキ(写真4)が群落をつくる場所(写真5)や、カラマツ低木がまばらに生えるだけの場所(写真6)もあり、さまざまである。
これはどうしてなのだろうか。
1888年の崩壊後、山麓から徐々にアカマツの侵入が進み、現在のアカマツの高木林をつくりあげた。一方、カルデラの内部では1954年にカルデラ壁が新たに大きく崩れ、カルデラ内はその崩壊物に広く覆われた。ここが現在シラタマノキ群落になっているのである。また、カルデラ壁の所々に生じた沢筋からは今も土石の供給が盛んで,ごく最近土石が堆積した所は無植生になっている。堆積して少したつと植物が侵入するが、ゴロゴロした礫が堆積した所はアカマツとカラマツの低木林となり、砂質の所はカラマツの低木林となっている。
八方台から山頂に向かう登山道沿いでは、本来の植生であるブナ林があり、沼の平付近には湿原植物や高山植物も生育している。磐梯山で見られる多様な植生は、1888年の噴火に加え、1954年のカルデラ内の崩壊や現在の土砂生産などに対応してでき上がっているといえる。
これほどいろいろな植生が見られる山は珍しい。(小泉)
磐梯山の一帯は2011年9月に「日本ジオパーク」に認定された。ジオパークとは、優れた地形・地質遺産を持ち、大地に親しみながら、その成り立ちを学ぶことができる場所。現在は観光産業からの期待が高まっているが、世界的にみても複雑で多様性に富んだ日本の地形・地質を保全するしくみとしてさらなる活用が望まれる。
写真提供 2:蓮岡真(磐梯山ジオパーク協議会事務局)、1,3~6:小泉武栄
日本自然保護協会の火山地域を守る活動
●地熱発電事業の課題

再生可能エネルギーへの転換が求められる現在、地熱発電への期待は大きくなっています。日本自然保護協会は原子力発電から再生可能エネルギーへの転換は急務であり、支持をしていますが、地熱発電の開発は周辺の自然環境に対する問題を含む場合も多く、より慎重な環境影響評価を実施する必要性があると考えています。
開発に伴う影響は、不確実性を含め慎重に検討していくことが、次世代に豊かで恵み多き自然を引き継ぐために欠かせません。日本自然保護協会では長期的な視野に基づいて、科学的な調査データや研究を基に、開発に伴う評価検討体制について提言しています。
NACS-Jでは、JustGiving Japanのしくみを通じて「自然の海辺を守る活動」へのご寄付を受け付けています。