HOME > 参加型プロジェクト > 伝えよう日本の自然TOP > 第2話 原画のふるさと「絵物語」

岩手県・猊鼻渓

文:加藤 碵一(産業技術総合研究所フェロー研究員)  画:門馬朝久

岩手県・猊鼻渓

かの宮澤賢治がイーハトーブと呼んだ岩手県は、数億年前から現在に至るさまざまな岩石・地層が複雑に分布し、まさに自然の地質博物館ともいえよう。また、それらが長い年月かけて削られ溶かされ、見事な地形を形づくっていることも魅力のひとつである。JR大船渡線の猊鼻渓駅のほど近くにある「猊鼻渓」は日本百景のひとつで、大正14年(1925年)に国の名勝に指定された絶景である。

北上川の支流砂鉄川沿いに高さ数十mから百mを超す石灰岩の絶壁が2㎞ほど続き、薄紫色の藤や緑色の松をはじめ、紅葉する落葉樹などの植生と相まって、季節ごとに彩りつくり上げるさまは圧巻である。

舟下りの手漕ぎ遊覧船に乗ると、船頭が歌ってくれる「げいび追分」前歌に

  清きながれの砂鉄の川に
  舟を浮かべてさおさせば
  曇り勝ちなる心の空もネ
  晴らしてくれます獅子ヶ鼻

とある。砂鉄川は、まさにその名の通り川底に黒い砂鉄が波紋を描いて堆積している。これは失恋して獅子ヶ鼻から身を投げた娘の色黒だった肌から洗い落ちたもの、という悲恋の言い伝えがある。

●今月の原画
日本中数々の舟下りがありますが、猊鼻渓は船頭一人の力で竹竿で押して上って下る珍しい舟下りです。水の流れがほとんどなく、ゆったりと風情あふれる景色、静寂を堪能できました。光と陰のコントラストを強調して描きましょう
(門馬朝久:イラストレーター兼画家。2006年より「大人の塗り絵」シリーズの風景編を手がける。)

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