カマキリは主に肉食で、他の昆虫に比べて個体数が少ないため、環境の変化による影響を受けやすいものと考えられます。今回得られた情報をもとに年ごとの変化を追っていけば、環境指標としての役割を担うことができるでしょう。もしもある時からカマキリの姿を見かけなくなったら、それが環境悪化のサインになるはずです。自宅の庭などごく身近な場所でじっくり観察できるので、毎年続けて注意深く観察してみましょう。
カマキリは、海岸の草地、街中の植え込みから山間の林地までさまざまな環境で見られます。おそらく、餌となる小さな昆虫が生息していれば、植生や環境にはあまり左右されない生きものなのでしょう。
上の円グラフに、市街地、山・丘陵、草地、水田・湿地・河川敷、林地の5つの環境で見られたカマキリの種類とその割合を示しました。そのうち、市街地と山・丘陵という対比的な環境を比べてみると、一見あまり大きな差は見られません。ただし、市街地では山・丘陵よりハラビロカマキリの割合が増えています。
ハラビロカマキリは樹上性のため、この結果はちょっと意外に思いますが、おそらく山・丘陵では発見するのが難しかったのでしょう。一方、山・丘陵では市街地より「その他のカマキリ」の割合が増えています。これは、山・丘陵は市街地に比べて環境が多様なため、くらしぶりが異なる複数のカマキリが生息できることを表しているのでしょう。
また、草地ではコカマキリ、水田などの水辺ではチョウセンカマキリ、林地ではハラビロカマキリやヒメカマキリ(「その他」の多くを占めている)と、環境ごとに見られる頻度が高い種類が異なっています。これらのことから、オオカマキリはどの環境にも割合高く生息し、これに次ぐ種類が環境のタイプによって変わり、自然度が高くなると種類が増えるだけでなく、一角を占める勢力になることがわかました。
なお、今回の調査では山・丘陵や林地、水田・湿地・河川敷での観察情報が少なく、自宅や庭・公園など市街地からの報告が総観察数の約2/3を占めました。それが、実際に山・丘陵などでは生息数が少ないのか、あるいはカマキリの姿を見つけにくかったからなのかは定かではありません。自宅や庭・公園以外からの報告がもう少しあってもよさそうだと思われるので、それらの発見数を増やすためには、調査のしかたを改良する必要がありそうです。
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