八方尾根の自然観察ガイド作成のための調査Reserch by Nature Conservation Educator's in Happoone
著者名Authors
自然観察指導員長野県連絡会 Nature Conservation Educator's network in Nagano pref.
小川朱実Akemi Ogawa・ 小山泰弘Yasuhiro Koyama・ 大畠春代Haruyo Ohata・ 石川一朗Ichirou Ishikawa・ 斎川祐子Yuuko Saikawa・ 高見澤信之Nobuyuki Takamisawa・ 村上さよ子Sayoko Murakami・ 望月明子Akiko Mochiduki・ 山中扶吉子Fukiko Yamanaka
1. 目的
従来の自然観察ガイドは、自然だけを取り上げてその名前などを簡潔に述べたものが主であった。自然観察指導員の自然観察会における役割は個々の名前を言うだけではないと言われていたが、ガイドブックにおいては実現されていない。そこで、自然保護を目標とした自然観察を進めるために必要な自然観察ガイドとは何かを考えながら、自然保護に結びつく観察の視点を獲得し、ガイドブック作成の手がかりとなる調査を行い、必要な情報をとりまとめることを目標とした。
2. 方法
長野冬季五輪において話題となった長野県白馬村の八方尾根を舞台とし、県内の自然観察指導員が専門家の支援も受けながら定期的に観察して、人との関わりで生まれた自然の状況を読みとれる技術を研究した。
3. 結果
季節を変えた継続観察により、自然観察指導員が必要となる観察の視点として、自然を知るという基礎的な情報だけでなく、次の3点を注目することが重要であると判断できた。
1) 地域の自然保護を取り巻く情勢の把握
高山植生の破壊に及ぼす影響として、人の踏みつけなどの直接的影響と、スキーシーズンの利用による間接的な影響が考えられた。実際、スキー場の維持による間接的影響を及ぼす因子はいくつか見つかった。一方、歩道を歩く最盛期でも歩道の利用者が意外に少ない上ロープで守られていた。それでも、シーズンオフには道を外れた人が認められた。
2) 地域住民の意識調査
地域に見られた看板には、法規制への理解や環境保全への配慮に対して、疑問となるものが見られ、地域への普及啓発の必要性を痛感した。
3) 利用者のマナー
高標高にも関わらず装備が不十分と思われる利用者や、明らかに国立公園内で蝶を採取しようと入り込んだ人など、マナーに欠ける人間を多く観察した。自然を紹介する以前に、自然への接し方そのものに対する指導が必要になることを感じた。
4. まとめ
このように自然だけを見るのではなく、地域で見えるものすべてに目を向けながら「人との関わり」をきっちり押さえて、長いスパンで地元の自然を見ることのでき、地元の意識を変えていく指導員が必要であることを提示することが出来た。
付記

写真1. 積雪期の断面調査

写真2. 残雪期の環境調査

写真3. 最盛期の歩道利用状況調査