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北海道・小樽市へ「銭函風力発電建設事業」の問題点と石狩海岸の保全を求める意見書を提出しました

2010.11.24
要望・声明

NACS-Jは、北海道の石狩海岸・砂丘に「銭函風力発電株式会社」(日本風力開発株式会社100%出資の子会社)が計画する「銭函風力発電建設事業」(2000kW /15基/総出力3万kW)に関して、自然環境の保全上から問題点をあげ、北海道知事、小樽市長に対し、石狩海岸の自然と生物多様性の保全が図られるよう、事業の影響回避、立地選定の見直し、市民への合意形成の徹底を、事業者へ指導・助言することを要請しました。また、それに先立ち、事業者の環境影響評価書(案)に対しても意見を提出しました。

意見書を手渡している写真▲北海道環境生活部環境局長に意見書を手渡す(北海道庁にて)


問題点の概略

1.事業計画地の石狩海岸一帯は、広大な砂浜と砂丘に海浜草本群落とカシワ林の海岸植生が発達している豊かな自然の海岸である。「北海道自然環境保全指針」で「保全を図るべき自然地域」に指定され、科学的なデータをもとに検討を重ねた重要な自然地域である。『植物群落レッドデータ・ブック』(NACS-J・WWFジャパン,1996)でも、石狩海岸の砂丘植生は、緊急に保護の必要性が必要な植物群落として評価されている。このように生物多様性保全上も重要な海岸に計画されていることは問題である。

2.海岸植生、野生動物(オジロワシ、ショウドウツバメ繁殖地、エゾアカヤマアリのコロニー)、景観、人と自然のふれあいなど、事業者による自主アセスでは十分に評価されておらず、保全策も不十分であり回避策が徹底されていない。

3.計画の早い段階から、情報を公開し、住民・専門家・自然保護団体との丁寧な合意形成の場が設けられないまま、自主アセスの評価書案まできてしまっている。

4.温暖化対策を免罪符にして、企業利益のために石狩海岸の自然を破壊することはあってはならない。

「銭函風力開発建設事業」に対する意見(PDF/272KB)
北海道知事 高橋はるみ様宛 意見書(PDF/274KB)
小樽市長 山田勝麿様宛 意見書(PDF/274KB)


平成22年11月24日

北海道知事 高橋はるみ 様

財団法人 日本自然保護協会
理事長 田畑 貞寿

「銭函風力開発建設事業」の自然環境保全上の問題点と、石狩海岸の自然・生物多様性保全を求める意見

石狩砂丘に位置する銭函風力開発建設事業実施区域(小樽市銭函4・5丁目)一帯は、「すぐれた自然地域:石狩海岸」として「北海道自然環境保全指針」(平成元年)で「保全を図るべき自然地域」に指定されています。これは、自然は一度破壊されると復元されることが大変難しいため、計画的に自然環境の保全を進めることを目的に、北海道自然環境保全審議会が自然環境の科学的データに基づき検討を重ね重要な自然地域を指定したものです。

特に、石狩川河口から銭函にかけての砂丘・砂浜とそこに生育する海浜草本群落やカシワ林からなる海岸植生は特筆に値する貴重な自然環境であり、そこにはエゾアカヤマアリ等の昆虫類や、オジロワシ、ショウドウツバメ等の鳥類にとっても重要な生息地となっています。

このような保全上重要な自然環境は、現在ある自然をそのまま保全することが最優先されるべきです。「北海道自然環境保全指針」においても開発事業を実施する際には、構想の段階から自然環境への配慮をすることが明記されています。

日本自然保護協会(以下、当協会)が実施した全国の海岸植物群落調査(2008)[*1]では、近年の開発により砂浜や砂丘が全国各地で激減し、そこを生育地とする海岸植物群落が危機に直面していることが明らかになりました。したがって、現存する自然の砂浜・砂丘とその生物多様性の積極的な保全は急務となっています。

銭函風力開発株式会社が計画している「銭函風力開発建設事業」は、北海道のひいてはわが国の自然環境と生物多様性保全上、以下に述べるように多大な問題を抱えています。

北海道におかれましては、「北海道自然環境保全指針」に基づき石狩海岸の自然と生物多様性保全が図られるよう、事業による本地域への環境影響の回避の徹底、立地選定の見直し、市民参加による合意形成の徹底について、事業者に対し指導・助言を行なうよう要請いたします。

*********

石狩海岸の自然環境の重要性と「銭函風力開発建設事業」の自然環境保全上の問題点、事業者及び関係行政機関が保全のために早急にすべきこと

1. 本地域の海岸植生の重要性~最も保護の必要性が高い植物群落

本事業計画地は、我が国の保護上重要な植物群落をリストアップした「植物群落レッドデータ・ブック」[*2]に、「石狩海岸の砂丘植生」として記載されており、砂丘林のカシワ・ミズナラ林とハマニンニク、ハマナス等の群落のほか北限のシバが含まれている。札幌という大都市に近い砂丘植生として最も大規模であり、これらをセットで保護すべきとし、緊急に保護対策が必要な植物群落として、最も保護の必要性が高いランク4と評価されている。

さらに、「植物群落レッドデータ・ブック」の解析結果から、全国的に海浜草本群落、塩性湿地群落、海岸低木林といった海岸植物群落の多くが危機に瀕していることが明らかとなっている。中でも特にその保全が急がれる砂浜の植物群落について全国調査を実施した結果[*1]、全国1308の調査海岸のうち6種以上の砂浜植物が生育する自然の砂浜はわずか7%にすぎなかった。このことは日本の砂浜のほとんどに人工物が建設されていることを示している。したがって、現存する砂浜で海-汀線-砂浜-砂丘-後背地と連続した自然の砂浜は極めて貴重でそこに成立する海岸植生ごと保全することが求められる。

本地域は、これまで堅牢な人工物が建設されておらず、海浜草本群落が生育する砂浜-砂丘-後背のカシワ林と良好な状態で自然が維持されてきた場所である。当協会の海岸植物群落調査でもウンランやハマエンドウ、ハマナスなど10種以上の砂浜植物が確認されている。当協会の海岸植物群落調査で10種以上の砂浜植物の生育が確認された砂浜はわずか10%だった。このようなことからも本地域は、全国的にみて海岸植生の豊かな貴重な自然の砂浜であり、保全の緊急性、必要性が極めて高い。

2. 本地域の砂浜・砂丘の重要性~全国的に激減する地形環境

当協会の海岸植物群落調査で、砂浜の奥行きの変遷を調べたところ、約40年間で砂浜の奥行きが平均302mから83mと4分の1に大きく減少していることが分かった。海からの侵食により狭まることももちろん見られたが、この40年間の変化は、松林の植栽や道路建設など陸側からの開発によるものが、侵食とは比較にならないほど大規模に砂浜・砂丘を狭めていたことが明らかとなった。

本事業計画地域は、「日本の地形レッドデータブック第1集」(1994)[*3]に掲載され、日本の地形を代表する典型的かつ希少、貴重な地形に準じ、地形学の教育・研究上重要とされ、今後保全を怠り破壊が継続されれば消滅が危惧されるとされている。このレッドデータブックにあげられた地形は、日本の自然特性を代表し、保存することが望ましく、該当する地形を所管する地方公共団体や開発事業者は、そのことを考慮すべきとしている。そして、特に砂浜海岸と砂丘は破壊の恐れが強まっていると警告している。以上のように全国的にみて貴重な本地域の砂丘は改変することなく保全する必要がある。また地形の重要性に加え、4で述べるショウドウツバメの集団繁殖地等、野生生物保護の観点からも砂丘の保全が求められる。

3. 風力発電施設が海岸植生に与える影響

海岸の植物群落は、潮風に含まれる塩分の影響や、風での砂の移動による埋もれや砂の吹きつけ、強い日差しや高温にさらされるなど、海岸の変化の激しい、厳しい環境に適応して生育している。言い換えれば、長い歴史の中で、海岸の厳しい環境に適応する能力を身につけ、海岸にだけその生育立地を確保したのである。しかし、本事業の大規模な風力発電施設が建設されると、これら海岸独自の環境が変化し、特に施設(付帯施設を含む)の周辺では内陸のような穏やかな環境となることが予測される。そうすると、本来なら海岸には生育できない植物や外来植物が入りこんできて、海岸の植物は競争に負けてその生育地が狭められ減少してしまう。

評価書案では、「工事に伴って直接的に約8.7haの植物群落が消失するが、植生回復を行うことから海浜植生への影響は最小限に留められると考えられる」とあるが、直接的な消失だけでなく、施設の存在により、継続的に周辺の海岸特有の環境に変化をもたらし、海岸植物群落への影響を及ぼすことが予測される。

また、海岸植生は海から内陸にかけての海岸環境傾度によって、海岸線と並行に帯状に分布している。本事業では、砂丘地帯に15基の風力発電機が3kmに渡って建設され、砂丘の植物群落の生育帯を潰すことになる。海岸植生という生態系にとって、限られた生育ゾーンを失うことの影響は甚大である。

本地域の重要な海岸植生を保全するためには、砂浜と砂丘への施設建設は回避されなければならない。

4. 野生動物への影響(鳥類、哺乳類、昆虫類)

砂浜・砂丘の海岸植物群落には、そこを生息の場として利用する生物種があり、希少種となるものが含まれ、生物多様性上も重要である。それらの生物にとって、人工構築物=風力発電施設の建設によって、生息環境の消失といった直接的な影響だけではなく、生息空間の分断・遮断や行動の阻害など間接的な影響も考慮しなければならない。

特に、当地でも確認されているオジロワシ(種の保存法国内希少種指定、絶滅危惧IB類)は北海道の風力発電施設での衝突死がすでに多くあり、個体数の限られた局所集団へのインパクトは軽視すべきではない。衝突死がおきてから保全策を講じるのでは遅く、予防原則に基づき回避策を検討すべきである。

砂浜と砂丘で形成される地形環境を繁殖地利用するショウドウツバメは、当地の生態系を評価するうえ欠かせないにもかかわらず、調査結果では確認個体数と営巣数のみが報告され、生態系注目種「典型性」として評価がされていない。春季と夏季で巣穴の確認地域が異なるという記載にとどまらず、営巣地としての砂丘環境の利用条件などできるだけ明らかにすべきである。

巨大コロニーを形成しているエゾアカヤマアリは、調査結果から海浜植生部が主な生息環境であることを記載しており、このような本来の生息環境の保全を積極的に行わなければならない。にもかかわらず、道路の舗装境界など人為的な環境で多くの巣が確認されたことをもって、影響は少ないとしている。砂浜・砂丘環境を利用するこのような生物に対して、工事の際の振動や土壌改良(閉め固め)、運用時の風車の振動などの影響予測も十分に行われていない。

本事業は当初の配置計画では20基としていたが、現地調査結果により「貴重な動植物等の生息・生息確認位置及び猛禽類の飛翔頻度が高い場所への影響等を鑑み、影響の少ない設置計画(二次案)に変更した」としている。評価書案にある貴重種の分布図、猛禽類の飛翔図などをみる限り、この配置計画を縮小した場所に海岸浸食が進むということ以外に動植物の分布や猛禽類の行動に特異性があるように考えられず、その影響を考慮したのであれば、その解析と根拠を科学的に示すべきである。

5. 景観への影響

海岸線など見通しのよい場所に立地する風力発電施設は、自然景観を一変させる。見通しのきく海岸は景観上特に配慮を求められる地域であり、そこへの大規模な構造物の設置は回避すべきである。

評価書案では、自然景観を見通せる予測地点として大浜海岸と石狩浜の各1地点、1方向からのフォトモンタージュのみで予測しており、最も影響が懸念される事業計画地近隣の浜では実施していない。しかも大浜海岸では20基の風車のうち建設をとりやめた5基の側からの写真のみで検討しており、肝心な15基の風車設置予定箇所がほとんど視界に入らない角度で撮った写真のみで予測しているのは問題である。

NEDOの環境影響評価マニュアル[*4]では、景観への環境影響について、設置基数が少なく、単機の出力規模が小さいほど景観上のインパクトは小さくなる、1~2基の小事業規模ほど影響は小さいとしている。本事業の2000kw、15基の大規模事業では影響は甚大と予測されるため、影響の回避を検討すべきである。

また、景観は、人々の受け止め方が重要であり、その把握の方法も視覚だけではなく、聴覚等五感を通してとらえるものである。フォトモンタージュだけで予測するのでなく、近隣の住民や事業所の人たち、海岸を訪れ利用する人たちからの聞きとり調査に基づく影響予測を行い、合意形成を図ることが不可欠である。

6. 人と自然とのふれあい活動の場への影響

評価書案では、人と自然とのふれあい活動の場への影響予測について、事業計画地に隣接する海岸2箇所と周辺の公園6箇所で実施しているが、人々のふれあい活動の場が事業計画地と重なる石狩海岸でのふれあい活動への影響について、特に重点をおいて詳細な調査に基づく影響予測と評価を行なうべきである。

環境影響評価における「人と自然とのふれあい」項目は、単にその場所へのアクセスやふれあい施設の利用者数の変化を予測するものではなく、その場所の自然に対する地域の人たちの思いや、ふれあい活動とその場所の自然環境保全との関係を把握し、それへの影響を予測する必要がある。

評価書案では、石狩海岸には自然観察や釣り、海水浴、石狩浜海浜植物保護センターの利用等さまざまな不特定多数の利用があり、影響予測については、事業を実施しても浜への出入りができるので影響はないとしている。

しかし、これらふれあい活動の内容をみると、そこに生息・生育する生き物や自然を直接対象とした五感を使った深いふれあい活動であり、音・振動等の物理環境や地形、動植物の生息・生育、景観等すべての自然環境構成要素と密接に関係して成り立っている。

また、自然観察や石狩浜海浜植物保護センターの活動を行なっている市民は、この地域の自然に愛着を持ち、日頃から本地域の保全活動に関心をもち、実践している。このような人たちからの聞きとり調査は不可欠であり、彼らの本地域における自然とのふれあいに対する思いを尊重し、事業計画に反映する必要がある。

7. 騒音・低周波音による影響

環境省による既存の風力発電所の実態調査結果[*5]によると、風力発電所の近隣で地域住民が騒音・低周波音の苦情を訴える問題が生じ、それが調査数の16%を占め、環境影響評価のおける予測結果よりも、建設後の実際の騒音レベルの方が大きい事例が見られた。評価書案では、騒音、低周波音の調査日は年間を通して平均的な1日として、騒音は3,6,11月の1日、低周波音は6月の1日に調査を行っているが、風向や風速の違いによってその予測値は大きく異なるものであるから、年間で騒音、低周波音が最大値となる風況、時期を設定して調査を行ない予測すべきである。

8. 振動が地表及び地中の生物に与える影響

評価書案では、振動についての項目が調査されていないが、工事中及び供用による振動が地表及び地中に生息する動物への影響が懸念される。特に、砂丘に営巣しているショウドウツバメの繁殖への影響について調査・予測・評価をすべきである。

9. 市民参加による合意形成の場の設置の必要性

本事業計画地は、これまで述べてきたようにわが国において極めて重要な自然地域であることが、事業の構想、計画段階から明らかであり、早い段階から事業計画についての情報を公開し、住民・専門家・地元自治体、自然保護団体等で情報を共有し、丁寧な合意形成プロセスを踏むことが必要不可欠であった。しかし、現時点では本事業計画地の自然環境と事業の必要性について、地元住民をはじめ関係者でその情報が共有されておらず、必要な合意形成の場が設けられていない状況である。にもかかわらず、事業計画が策定され、評価書案が作成される段階にまできてしまっている。今から、早急に情報共有と意見交換の場を設け、合意形成を図る必要がある。このような合意形成プロセスを踏むことなく、事業者による環境影響評価手続きだけで事業を一方的に進めるべきではない。

10. 事業の必要性と複数案による立地選定についての説明責任を果たすこと

現時点において、なぜ自然環境の重要性が極めて高いこの石狩海岸に、出力2000kw級の風力発電機15基を建設しなければならないか、事業の必要性について全く説明されていない。評価書案には事業の目的として「(前略)環境負荷の少ない風力発電所の設置を推進し、得られたクリーンエネルギーを売電することを目的とする」とあるだけである。これでは、事業者が利益を得るために重要な自然を破壊して発電施設を作ることにしかならない。地域の人にとって、この風力発電施設建設が重要な自然に影響を与えることと引き換えに必要とされる意義は何なのかを説明する必要がある。

風力発電施設の立地選定にあたっては、風況等発電に必要な環境条件のほか、保護上重要な自然環境、生物多様性、住民の意見、環境影響等さまざまな要因を重ね合わせて、複数の候補地を挙げ、科学的、合理的に検討し、合意形成プロセスを踏んで選定されなければならない。

しかし、現時点ではこのようなプロセスを踏むことなく、事業者が独自に立地を定めている。早急に事業の必要性と立地選定について説明責任を果たすべきである。

【まとめ 1】影響の回避を徹底すること。環境影響評価書案の「環境の保全のための措置」では保全は図れない

これまで述べてきたように、本事業計画地は全国レベルで、また北海道でも保護すべき重要な自然地域である。本地域での風力開発建設事業実施にあたっては、環境への影響が予測される場合は、回避することが優先的になされなければならない。

しかし、評価書案では、土地の掘削や改変、構造物の存在と供用により、動植物の生息・生育地の減少や生息環境の悪化を招くなどその影響があるとしながらも、「重要な動植物は必要に応じて移植等を行なう」「掘削範囲を最小限にとどめる」「植生回復を行なう」「鳥類のモニタリングを行なう」ので「影響は最小限に留められるものと考えられる」としている。モニタリング調査については適宜実施するとして具体的には記載されていない。影響の最小化、低減を検討する前段階での回避策が全く検討されていないのは問題である。早急に影響の回避を徹底的に検討し、事業計画を修正する必要がある。

また、移植や植生回復を環境保全措置としているが、海岸の植物は海岸特有の環境条件下でなければ生育できない。しかし、本事業では生育環境の悪化を招くとしており、移植や種苗の植え付けでは失われる海岸植生とその生態系を保全することはできない。植生回復には地域性の高い種苗を用いるとしているが、種苗の入手方法によっては現在の海岸植生に悪影響を与える可能性もある。種苗の入手方法も含め、実効性が明らかな具体的な復元手法を明記すべきである。

さらに「ススキ群落については、かつて見られたハマナス等の優占する群落への移行を誘導できるようススキの刈り取り等の対策を検討する」とあるが、ススキは内陸植物であり、ハマナス群落にするには現在の内陸的な環境から海岸特有の環境を取り戻さないと誘導はできない。検討するだけでは保全は図れないことに加え、ススキの刈り取りによるハマナス群落の復元の実証例を示す必要がある。

【まとめ 2】温暖化対策を免罪符にして、企業の利益のため、石狩海岸の自然と生物多様性を破壊することは、あってはならない

風力開発建設事業においては、温暖化対策の大義名分のもと事業推進を主張する場面がしばしば見られる。しかし、もともと温暖化対策と生物多様性保全は密接な関係にあり、地球環境保全のためにも両者は両立されなければならない。
風力発電事業によって、事業地の自然環境と生物多様性に悪影響が出れば、それは温暖化対策にも逆行するものである。

引用文献
*1 日本自然保護協会,植物群落から見た海岸白書,2008
*2 日本自然保護協会・WWFジャパン,植物群落レッドデータ・ブック,1996
*3 小泉武栄・青木賢人編,日本の地形レッドデータブック第1集,日本の地形レッドデータブック作成委員会,1994
*4 新エネルギー・産業技術総合開発機構,風力発電のための環境影響評価マニュアル(第2版),2006
*5 環境省総合環境政策局環境影響評価課,風力発電所に係る主な環境影響の概要,2010


平成22年11月24日

小樽市長 山田勝麿 様

財団法人 日本自然保護協会
理事長 田畑 貞寿

「銭函風力開発建設事業」の自然環境保全上の問題点と、石狩海岸の自然・生物多様性保全を求める意見

石狩砂丘に位置する銭函風力開発建設事業実施区域(小樽市銭函4・5丁目)一帯は、「すぐれた自然地域:石狩海岸」として「北海道自然環境保全指針」(平成元年)で「保全を図るべき自然地域」に指定されています。これは、自然は一度破壊されると復元されることが大変難しいため、計画的に自然環境の保全を進めることを目的に、北海道自然環境保全審議会が自然環境の科学的データに基づき検討を重ね重要な自然地域を指定したものです。

特に、石狩川河口から銭函にかけての砂丘・砂浜とそこに生育する海浜草本群落やカシワ林からなる海岸植生は特筆に値する貴重な自然環境であり、そこにはエゾアカヤマアリ等の昆虫類や、オジロワシ、ショウドウツバメ等の鳥類にとっても重要な生息地となっています。

このような保全上重要な自然環境は、現在ある自然をそのまま保全することが最優先されるべきです。「北海道自然環境保全指針」においても開発事業を実施する際には、構想の段階から自然環境への配慮をすることが明記されています。

日本自然保護協会(以下、当協会)が実施した全国の海岸植物群落調査(2008)[*1]では、近年の開発により砂浜や砂丘が全国各地で激減し、そこを生育地とする海岸植物群落が危機に直面していることが明らかになりました。したがって、現存する自然の砂浜・砂丘とその生物多様性の積極的な保全は急務となっています。

銭函風力開発株式会社が計画している「銭函風力開発建設事業」は、小樽市、ひいては北海道、さらにわが国の自然環境と生物多様性保全上、以下に述べるように多大な問題を抱えています。

小樽市におかれましては、小樽市の財産であり市民が自然とふれあう重要な銭函海岸の自然と生物多様性保全が図られるよう、事業による本地域への環境影響の回避の徹底、立地選定の見直し、市民参加による合意形成の徹底について、事業者に対し指導・助言を行うよう要請いたします。

*********

>石狩海岸の自然環境の重要性と「銭函風力開発建設事業」の自然環境保全上の問題点、事業者及び関係行政機関が保全のために早急にすべきこと

1. 本地域の海岸植生の重要性~最も保護の必要性が高い植物群落

本事業計画地は、我が国の保護上重要な植物群落をリストアップした「植物群落レッドデータ・ブック」[*2]に、「石狩海岸の砂丘植生」として記載されており、砂丘林のカシワ・ミズナラ林とハマニンニク、ハマナス等の群落のほか北限のシバが含まれている。札幌という大都市に近い砂丘植生として最も大規模であり、これらをセットで保護すべきとし、緊急に保護対策が必要な植物群落として、最も保護の必要性が高いランク4と評価されている。

さらに、「植物群落レッドデータ・ブック」の解析結果から、全国的に海浜草本群落、塩性湿地群落、海岸低木林といった海岸植物群落の多くが危機に瀕していることが明らかとなっている。中でも特にその保全が急がれる砂浜の植物群落について全国調査を実施した結果[*1]、全国1308の調査海岸のうち6種以上の砂浜植物が生育する自然の砂浜はわずか7%にすぎなかった。このことは日本の砂浜のほとんどに人工物が建設されていることを示している。したがって、現存する砂浜で海-汀線-砂浜-砂丘-後背地と連続した自然の砂浜は極めて貴重でそこに成立する海岸植生ごと保全することが求められる。

本地域は、これまで堅牢な人工物が建設されておらず、海浜草本群落が生育する砂浜-砂丘-後背のカシワ林と良好な状態で自然が維持されてきた場所である。当協会の海岸植物群落調査でもウンランやハマエンドウ、ハマナスなど10種以上の砂浜植物が確認されている。当協会の海岸植物群落調査で10種以上の砂浜植物の生育が確認された砂浜はわずか10%だった。このようなことからも本地域は、全国的にみて海岸植生の豊かな貴重な自然の砂浜であり、保全の緊急性、必要性が極めて高い。

2. 本地域の砂浜・砂丘の重要性~全国的に激減する地形環境

当協会の海岸植物群落調査で、砂浜の奥行きの変遷を調べたところ、約40年間で砂浜の奥行きが平均302mから83mと4分の1に大きく減少していることが分かった。海からの侵食により狭まることももちろん見られたが、この40年間の変化は、松林の植栽や道路建設など陸側からの開発によるものが、侵食とは比較にならないほど大規模に砂浜・砂丘を狭めていたことが明らかとなった。

本事業計画地域は、「日本の地形レッドデータブック第1集」(1994)[*3]に掲載され、日本の地形を代表する典型的かつ希少、貴重な地形に準じ、地形学の教育・研究上重要とされ、今後保全を怠り破壊が継続されれば消滅が危惧されるとされている。このレッドデータブックにあげられた地形は、日本の自然特性を代表し、保存することが望ましく、該当する地形を所管する地方公共団体や開発事業者は、そのことを考慮すべきとしている。そして、特に砂浜海岸と砂丘は破壊の恐れが強まっていると警告している。以上のように全国的にみて貴重な本地域の砂丘は改変することなく保全する必要がある。また地形の重要性に加え、4で述べるショウドウツバメの集団繁殖地等、野生生物保護の観点からも砂丘の保全が求められる。

3. 風力発電施設が海岸植生に与える影響

海岸の植物群落は、潮風に含まれる塩分の影響や、風での砂の移動による埋もれや砂の吹きつけ、強い日差しや高温にさらされるなど、海岸の変化の激しい、厳しい環境に適応して生育している。言い換えれば、長い歴史の中で、海岸の厳しい環境に適応する能力を身につけ、海岸にだけその生育立地を確保したのである。しかし、本事業の大規模な風力発電施設が建設されると、これら海岸独自の環境が変化し、特に施設(付帯施設を含む)の周辺では内陸のような穏やかな環境となることが予測される。そうすると、本来なら海岸には生育できない植物や外来植物が入りこんできて、海岸の植物は競争に負けてその生育地が狭められ減少してしまう。

評価書案では、「工事に伴って直接的に約8.7haの植物群落が消失するが、植生回復を行うことから海浜植生への影響は最小限に留められると考えられる」とあるが、直接的な消失だけでなく、施設の存在により、継続的に周辺の海岸特有の環境に変化をもたらし、海岸植物群落への影響を及ぼすことが予測される。

また、海岸植生は海から内陸にかけての海岸環境傾度によって、海岸線と並行に帯状に分布している。本事業では、砂丘地帯に15基の風力発電機が3kmに渡って建設され、砂丘の植物群落の生育帯を潰すことになる。海岸植生という生態系にとって、限られた生育ゾーンを失うことの影響は甚大である。
本地域の重要な海岸植生を保全するためには、砂浜と砂丘への施設建設は回避されなければならない。

4. 野生動物への影響(鳥類、哺乳類、昆虫類)

砂浜・砂丘の海岸植物群落には、そこを生息の場として利用する生物種があり、希少種となるものが含まれ、生物多様性上も重要である。それらの生物にとって、人工構築物=風力発電施設の建設によって、生息環境の消失といった直接的な影響だけではなく、生息空間の分断・遮断や行動の阻害など間接的な影響も考慮しなければならない。

特に、当地でも確認されているオジロワシ(種の保存法国内希少種指定、絶滅危惧IB類)は北海道の風力発電施設での衝突死がすでに多くあり、個体数の限られた局所集団へのインパクトは軽視すべきではない。衝突死がおきてから保全策を講じるのでは遅く、予防原則に基づき回避策を検討すべきである。

砂浜と砂丘で形成される地形環境を繁殖地利用するショウドウツバメは、当地の生態系を評価するうえ欠かせないにもかかわらず、調査結果では確認個体数と営巣数のみが報告され、生態系注目種「典型性」として評価がされていない。春季と夏季で巣穴の確認地域が異なるという記載にとどまらず、営巣地としての砂丘環境の利用条件などできるだけ明らかにすべきである。

巨大コロニーを形成しているエゾアカヤマアリは、調査結果から海浜植生部が主な生息環境であることを記載しており、このような本来の生息環境の保全を積極的に行わなければならない。にもかかわらず、道路の舗装境界など人為的な環境で多くの巣が確認されたことをもって、影響は少ないとしている。砂浜・砂丘環境を利用するこのような生物に対して、工事の際の振動や土壌改良(閉め固め)、運用時の風車の振動などの影響予測も十分に行われていない。

本事業は当初の配置計画では20基としていたが、現地調査結果により「貴重な動植物等の生息・生息確認位置及び猛禽類の飛翔頻度が高い場所への影響等を鑑み、影響の少ない設置計画(二次案)に変更した」としている。評価書案にある貴重種の分布図、猛禽類の飛翔図などをみる限り、この配置計画を縮小した場所に海岸浸食が進むということ以外に動植物の分布や猛禽類の行動に特異性があるように考えられず、その影響を考慮したのであれば、その解析と根拠を科学的に示すべきである。

5. 景観への影響

海岸線など見通しのよい場所に立地する風力発電施設は、自然景観を一変させる。見通しのきく海岸は景観上特に配慮を求められる地域であり、そこへの大規模な構造物の設置は回避すべきである。

評価書案では、自然景観を見通せる予測地点として大浜海岸と石狩浜の各1地点、1方向からのフォトモンタージュのみで予測しており、最も影響が懸念される事業計画地近隣の浜では実施していない。しかも大浜海岸では20基の風車のうち建設をとりやめた5基の側からの写真のみで検討しており、肝心な15基の風車設置予定箇所がほとんど視界に入らない角度で撮った写真のみで予測しているのは問題である。

NEDOの環境影響評価マニュアル[*4]では、景観への環境影響について、設置基数が少なく、単機の出力規模が小さいほど景観上のインパクトは小さくなる、1~2基の小事業規模ほど影響は小さいとしている。本事業の2000kw、15基の大規模事業では影響は甚大と予測されるため、影響の回避を検討すべきである。

また、景観は、人々の受け止め方が重要であり、その把握の方法も視覚だけではなく、聴覚等五感を通してとらえるものである。フォトモンタージュだけで予測するのでなく、近隣の住民や事業所の人たち、海岸を訪れ利用する人たちからの聞きとり調査に基づく影響予測を行い、合意形成を図ることが不可欠である。

6. 人と自然とのふれあい活動の場への影響

評価書案では、人と自然とのふれあい活動の場への影響予測について、事業計画地に隣接する海岸2箇所と周辺の公園6箇所で実施しているが、人々のふれあい活動の場が事業計画地と重なる石狩海岸でのふれあい活動への影響について、特に重点をおいて詳細な調査に基づく影響予測と評価を行なうべきである。

環境影響評価における「人と自然とのふれあい」項目は、単にその場所へのアクセスやふれあい施設の利用者数の変化を予測するものではなく、その場所の自然に対する地域の人たちの思いや、ふれあい活動とその場所の自然環境保全との関係を把握し、それへの影響を予測する必要がある。

評価書案では、石狩海岸には自然観察や釣り、海水浴、石狩浜海浜植物保護センターの利用等さまざまな不特定多数の利用があり、影響予測については、事業を実施しても浜への出入りができるので影響はないとしている。

しかし、これらふれあい活動の内容をみると、そこに生息・生育する生き物や自然を直接対象とした五感を使った深いふれあい活動であり、音・振動等の物理環境や地形、動植物の生息・生育、景観等すべての自然環境構成要素と密接に関係して成り立っている。

また、自然観察や石狩浜海浜植物保護センターの活動を行なっている市民は、この地域の自然に愛着を持ち、日頃から本地域の保全活動に関心をもち、実践している。このような人たちからの聞きとり調査は不可欠であり、彼らの本地域における自然とのふれあいに対する思いを尊重し、事業計画に反映する必要がある。

7. 騒音・低周波音による影響

環境省による既存の風力発電所の実態調査結果[*5]によると、風力発電所の近隣で地域住民が騒音・低周波音の苦情を訴える問題が生じ、それが調査数の16%を占め、環境影響評価のおける予測結果よりも、建設後の実際の騒音レベルの方が大きい事例が見られた。評価書案では、騒音、低周波音の調査日は年間を通して平均的な1日として、騒音は3,6,11月の1日、低周波音は6月の1日に調査を行なっているが、風向や風速の違いによってその予測値は大きく異なるものであるから、年間で騒音、低周波音が最大値となる風況、時期を設定して調査を行ない予測すべきである。

8. 振動が地表及び地中の生物に与える影響

評価書案では、振動についての項目が調査されていないが、工事中及び供用による振動が地表及び地中に生息する動物への影響が懸念される。特に、砂丘に営巣しているショウドウツバメの繁殖への影響について調査・予測・評価をすべきである。

9. 市民参加による合意形成の場の設置の必要性

本事業計画地は、これまで述べてきたようにわが国において極めて重要な自然地域であることが、事業の構想、計画段階から明らかであり、早い段階から事業計画についての情報を公開し、住民・専門家・地元自治体、自然保護団体等で情報を共有し、丁寧な合意形成プロセスを踏むことが必要不可欠であった。しかし、現時点では本事業計画地の自然環境と事業の必要性について、地元住民をはじめ関係者でその情報が共有されておらず、必要な合意形成の場が設けられていない状況である。にもかかわらず、事業計画が策定され、評価書案が作成される段階にまできてしまっている。今から、早急に情報共有と意見交換の場を設け、合意形成を図る必要がある。このような合意形成プロセスを踏むことなく、事業者による環境影響評価手続きだけで事業を一方的に進めるべきではない。

10.  事業の必要性と複数案による立地選定についての説明責任を果たすこと

現時点において、なぜ自然環境の重要性が極めて高いこの石狩海岸に、出力2000kw級の風力発電機15基を建設しなければならないか、事業の必要性について全く説明されていない。評価書案には事業の目的として「(前略)環境負荷の少ない風力発電所の設置を推進し、得られたクリーンエネルギーを売電することを目的とする」とあるだけである。これでは、事業者が利益を得るために重要な自然を破壊して発電施設を作ることにしかならない。地域の人にとって、この風力発電施設建設が重要な自然に影響を与えることと引き換えに必要とされる意義は何なのかを説明する必要がある。

風力発電施設の立地選定にあたっては、風況等発電に必要な環境条件のほか、保護上重要な自然環境、生物多様性、住民の意見、環境影響等さまざまな要因を重ね合わせて、複数の候補地を挙げ、科学的、合理的に検討し、合意形成プロセスを踏んで選定されなければならない。

しかし、現時点ではこのようなプロセスを踏むことなく、事業者が独自に立地を定めている。早急に事業の必要性と立地選定について説明責任を果たすべきである。

【まとめ 1】影響の回避を徹底すること。環境影響評価書案の「環境の保全のための措置」では保全は図れない

これまで述べてきたように、本事業計画地は全国レベルで、また北海道でも保護すべき重要な自然地域である。本地域での風力開発建設事業実施にあたっては、環境への影響が予測される場合は、回避することが優先的になされなければならない。

しかし、評価書案では、土地の掘削や改変、構造物の存在と供用により、動植物の生息・生育地の減少や生息環境の悪化を招くなどその影響があるとしながらも、「重要な動植物は必要に応じて移植等を行なう」「掘削範囲を最小限にとどめる」「植生回復を行なう」「鳥類のモニタリングを行なう」ので「影響は最小限に留められるものと考えられる」としている。モニタリング調査については適宜実施するとして具体的には記載されていない。影響の最小化、低減を検討する前段階での回避策が全く検討されていないのは問題である。早急に影響の回避を徹底的に検討し、事業計画を修正する必要がある。

また、移植や植生回復を環境保全措置としているが、海岸の植物は海岸特有の環境条件下でなければ生育できない。しかし、本事業では生育環境の悪化を招くとしており、移植や種苗の植え付けでは失われる海岸植生とその生態系を保全することはできない。植生回復には地域性の高い種苗を用いるとしているが、種苗の入手方法によっては現在の海岸植生に悪影響を与える可能性もある。種苗の入手方法も含め、実効性が明らかな具体的な復元手法を明記すべきである。

さらに「ススキ群落については、かつて見られたハマナス等の優占する群落への移行を誘導できるようススキの刈り取り等の対策を検討する」とあるが、ススキは内陸植物であり、ハマナス群落にするには現在の内陸的な環境から海岸特有の環境を取り戻さないと誘導はできない。検討するだけでは保全は図れないことに加え、ススキの刈り取りによるハマナス群落の復元の実証例を示す必要がある。

【まとめ 2】温暖化対策を免罪符にして、企業の利益のため、石狩海岸の自然と生物多様性を破壊することは、あってはならない

風力開発建設事業においては、温暖化対策の大義名分のもと事業推進を主張する場面がしばしば見られる。しかし、もともと温暖化対策と生物多様性保全は密接な関係にあり、地球環境保全のためにも両者は両立されなければならない。
風力発電事業によって、事業地の自然環境と生物多様性に悪影響が出れば、それは温暖化対策にも逆行するものである。

引用文献
*1 日本自然保護協会,植物群落から見た海岸白書,2008
*2 日本自然保護協会・WWFジャパン,植物群落レッドデータ・ブック,1996
*3 小泉武栄・青木賢人編,日本の地形レッドデータブック第1集,日本の地形レッドデータブック作成委員会,1994
*4 新エネルギー・産業技術総合開発機構,風力発電のための環境影響評価マニュアル(第2版),2006
*5 環境省総合環境政策局環境影響評価課,風力発電所に係る主な環境影響の概要,2010

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