絞り込み検索

nacsj

沖縄県知事と北部土木事務所に「嘉陽海岸住民参加型エコ・コースト事業」に対する意見書を提出しました。

2012.12.10
要望・声明

沖縄「嘉陽海岸住民参加型エコ・コースト事業」に対する意見書(PDF/169KB)

 


2012年12月10日

沖縄県知事 仲井眞弘多 殿
沖縄県北部土木事務所長 神村美州 殿

沖縄「嘉陽海岸住民参加型エコ・コースト事業」に対する意見書

公益財団法人 日本自然保護協会
理事長 亀山 章

沖縄島・東海岸に位置する嘉陽海岸は、現在の沖縄に残る数少ない自然海岸です。護岸の設置は、人間の生命を守る重要な役割が期待できる一方、設計や工法によっては、海と陸の間の生物や砂の移動を妨げ、エコトーンを維持できなくなり、海岸付近の生態系やその連続性が破壊されることが懸念されます。嘉陽海岸の生態系は、ジュゴン(天然記念物、環境省レッドリスト絶滅危惧ⅠA類)やウミガメ類をはじめとする多くの生物や豊かな景観をはぐくんでおり、地域社会にとって欠かせない貴重な財産です。生物多様性と人命を守ることが両立できる護岸の導入を希望しています。

嘉陽海岸住民参加型エコ・コースト事業について、当協会は2011年6月3日に意見書を提出しました。それに基づいて以下の意見を述べます。

当協会をはじめとする市民団体等からの要望に応じ、嘉陽区民との意見交換やアンケートと住民説明会を実施し、また嘉陽区以外の市民との意見交換にも柔軟に応じ、嘉陽海岸エコ・コースト協議会(以下、協議会)の傍聴も許可するなどによって、課題や意見が明確になり、多くの智恵を集めることが出来ました。

また、当初は予定になかった海岸保全区域が拡大されたことにより、自然環境により配慮した方法を取ることが可能となりました。これは丁寧に関係者との対話を重ねてきた貴事務所の努力の賜物です。

さらに、当協会の意見書での指摘事項「5.環境調査・予測評価を徹底する」を受け、モニタリング項目に地下水や生態系が加えられたことは大きな前進です。

周囲の環境に与える負荷が小さいセットバック方式を部分的に導入したことも、高く評価しています。

以上のことから、貴事務所の真摯な姿勢、取り組みを高く評価しています。
ただし、沖縄という地域の自然に合った事業にするために、いま一歩の前進が必要であると考え、当協会は次の6点を強く要望します。

1. 高波、越波や飛砂の原因の究明

高波、越波、飛砂、海岸侵食、保安林や海浜植物の減少などの現象の原因が十分に究明されていないうえに、中長期的な海浜の侵食、堆積の検証も十分ではありません。協議会においても、防風林(保安林)の減少や地先で行われる海砂採取との関係などが指摘されています。引き続き原因究明を要望します。

2.予測評価の実施

事業が事業実施範囲及び周辺に及ぼす影響を予測するべきです。

3. 工事中の調査回数の増加、工事後の事後調査の実施

工事中の調査の回数を全体的に増やすこと。特に事業による環境改変に敏感に反応するであろう底質や水質については頻度を上げること。そして事業実施中に環境に変化が生じた場合は、事業を停止し、検討すること。さらには事業完了後には事後調査を、少なくとも数年に渡り実施し、事業が環境に与える影響を記録すること。

4.調査結果の公開

当協会や北限のジュゴンを見守る会チーム・ザンは同海域にて海草調査や湧水などの調査を行ってきました。これらの調査結果と併せて分析ができるよう、事業者による調査結果の公開を望みます。

5.ジュゴンの専門家の意見聴取

当協会が前回指摘した「4.より広い範囲の専門家の意見を導入すること」に関して、当協会から推薦したジュゴンの専門家からの意見の聴取がなかったのが残念です。ジュゴン及びジュゴンが棲む環境について幅広い意見を聴くことを望みます。

6.沖縄の自然に合った公共工事の導入

沖縄県は戦後60年間、本土と同じ標準断面を使って沖縄の沿岸の改変工事を行ってきました。しかし、沖縄の島々は、島の基盤がサンゴ礁で構成されているなど、自然をとりまく諸条件が本土とは異なります。沖縄の風土に合う沖縄型の工事方法を導入するべきです。

以上

添付:沖縄「嘉陽海岸住民参加型エコ・コースト事業」に対する意見書(2011年6月)
https://www.nacsj.or.jp/archive/2011/06/406/

前のページに戻る

あなたの支援が必要です!

×

NACS-J(ナックスジェイ・日本自然保護協会)は、寄付に基づく支援により活動している団体です。

継続寄付

寄付をする
(今回のみ支援)

月々1000円のご支援で、自然保護に関する普及啓発を広げることができます。

寄付する