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ラムサール条約事務局長とアジア・オセアニア担当官が中池見湿地を視察されました

2014.04.28
活動報告
ラムサール条約事務局長のクリストファー・ブリッグス氏とアジア・オセアニア担当官のリュー・ヤン氏が4月8日から敦賀に来られ、4月9日本日は市民団体の案内のもと中池見湿地を実際に見て回りました。
敦賀市、環境省はもちろんのこと、福井県、鉄道運輸機構、国土交通省の新幹線担当官、メディアの方も多く参加されていました。

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ブリッグス事務局長は植物が好きで、センターに入る前から
山道のトキワイカリソウやシュンランなどを興味深く観察していました。
地元市民団体の説明の後、湿地ではミツガシワ、カワモズク、アオサギ、メダカ、タイコウチ等の生き物を観察し、湧き水、ため池、水路、水田、池(湿地に残土を入れたことで沈んでできた)などの多様な水環境や外来種駆除などの保全活動地などを見て回られました。


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保全・活用の面で事務局長から指摘があったのは、全体として今後どういう湿地環境を目指しているのかいうことでした。
中池見湿地は、昔は地元集落の方が全面田んぼとして利用してきましたが今は敦賀市の土地でラムサール条約の登録湿地です。
ラムサール条約湿地としてどういう保全・活用がふさわしいのか、来月からはじまる保全・活用計画策定委員会で日本自然保護協会も参加して本日いただいたご意見を参考に話し合っていこうと思います。

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新幹線計画に関しては、私や地元の市民団体の方が2002年に提出のあった環境アセスメント調査時のルートと2012年に変更されたルートを図面を見せながら条約事務局長に計画路線の場所を確認しました。
計画ルートとなっている「うしろ谷」の静かな谷の上をつぶしてトンネルが入り、湿地の水源となる山を貫くということ、そして「うしろ谷」は唯一の水の出口であり、湿地と外とをつなぐ生き物の通り道であることを伝えました。

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視察後、集まった報道機関の方々に対してブリッグス事務局長は「中池見湿地は豊かな水環境の多様性をもち、さらに生き物の多様性ももっている。今のクオリティーを保ってもらいたい。
新幹線はできれば、当初の計画にして谷の外側にしてもらいたい。
開発にあたっては自然を損なうことのよう十分に対応して、様々な議論を重ねてよりよい最善策を導き出してほしい。
日本政府はラムサール条約で中池見湿地を守って行く姿勢を示しており、持続可能な形でつなげていくように期待している。」と話されました。
また、ワイズユースの解釈について、インフラ整備のようなものについても、ワイズユースと考えるのかという質問については、「日本は十分にインフラが整備された国であり、開発というよりは自然が守られるのが望ましいのではないか。少なくともこの美しい谷を壊さないように、後ろ谷を避けたルートに変更してほしい」と締めくくられました。
明日は東京で条約事務局長来日記念シンポジウムが開催され、日本自然保護協会のスタッフも参加します。
明日のシンポジウムが中池見湿地の問題に限らず、国内の湿地を保全するうえで参考となる国際的な知見が得られ、今後の全国の湿地保全活動に役立つことを期待しています。

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●4月11日追記

視察の様子は、下記のケーブルテレビサイトや新聞でも報道されました。

【つるがチャンネル】ラムサール条約事務局長 中池見 新幹線ルート変更を (3分20秒~)

http://live0.rcn.ne.jp/dbctube//d/10002945

【中日新聞】敦賀・中池見湿地を視察 ラムサール条約事務局長

http://www.chunichi.co.jp/kenmin-fukui/article/kenmin-news/CK2014041002000212.html

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