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更新日:2000.10.09
アンマン・レポート 6 沖縄の勧告案は日米で合意、海上の森の勧告案は「捕鯨」が絡み採択延期(2000.10.9)
レポート:NACS-J常務理事・吉田正人
今日は月曜日。ホテルから国立競技場に向うタクシーは、渋滞に巻き込まれて、いつもの倍の時間がかかった。運転手に聞いたら、ヨルダンでは、金曜日と土曜日が休日。そのほか、日曜日も休日のところがあるので、仕事はじめの月曜日は道が込むのだそうだ。  

8時から、本会議場では、5日と7日のインタラクティブセッションの報告がはじまった。第1分科会、第7分科会については、すでにご報告したが、第10分科会の「バイオダイバーシティビジネス」は興味深かった。コンサベーションインターナショナルなどの米国の自然保護団体は、熱帯雨林を守るために、地元の人々が森林を伐採したり密猟したりせずに、熱帯林からの産物を使った産業で生計が立てられるようにするプログラムをすすめている。この分科会では、民間企業が寄付のような形で自然保護に貢献するだけではなく、企業活動そのものを通じて、生物多様性が保全されるという次の段階を目指した議論が行われていた。  

9時30分からは、いよいよ沖縄と海上の森の勧告案の審議がはじまる。沖縄については、WWFの花輪さんがコメントを用意していたが、決議・勧告委員会の委員長が「本件は、沖縄のジュゴンとヤンバルクイナ・ノグチゲラの2つの勧告案を1つにまとめたものですが、文章については一部検討中なので明日にまわします」の一言で終わってしまった。  

海上の森の勧告案の審議に入り、議長からコメントを求められた。まず私から「日本のNGO7団体を代表してこの勧告を支持します。最初の勧告案は2月15日に提出され、BIEからのアドバイスもあって、住宅計画・道路計画が中止され、愛知万博検討会議を設置して、市民をまじえた検討が行われた。私たちはこの決断を歓迎する。しかし、愛知万博の民主的なプロセスは、いまだ検討会議の中に限られており、海上の森の法的な保全措置もまだであることから、現状に合わせて書き換えられたこの勧告を引き続き審議していただくことになった。この勧告を採択してくださるよう、会員の皆さんにお願いします」とコメント。次に外務省の高橋課長が、「日本政府は、自然の叡智をテーマに、2005年国際博覧会を準備してきた。環境に配慮し、検討会議を通じて、会場を大幅に縮小した上で、9月にBIEへの申請を行った」と、日本政府の立場を説明。  

コンセンサスで採択されるかに見えたところで、思わぬところからとんだ横槍が入った。アメリカの野生生物防衛基金、ブラジルの法律家協会が、「海上の森の保全には賛成する。しかし、IWCの約束を破り調査捕鯨の枠を拡大する日本で、環境に関するイベントを成功させる決議を出すことには反対する」というのである。続いて水産庁が、「捕鯨の問題は、資源保全の問題であって、自然保護の問題ではない」と発言し、江戸の仇を長崎で討つような具合になってきた。議長が、「この件については、関係者で話し合い、明日審議します」と発言し、採択は延期された。  

会議後、アメリカの野生生物防衛基金、ブラジルの法律家協会と話し、「海上の森の問題は、捕鯨とはまったく関係がないではないか。ここで調査捕鯨の問題を持ち出すのはフェアではない」と主張したが、議論は物別れに終わった。明日も彼らが、コンセンサスによる採択に反対すれば、投票による採択に持ち込むしかないだろう。  

4時からは、沖縄の勧告案について、米国代表が本国からの返事をもらい、それをもとに最終的な話し合いに入った。ジュゴンについては、「日本が環境アセスメントを実施し、米国も求めがあれば協力して実施する。環境アセスメントの結果をもとにして、ジュゴンの生存を確実にするための適切な措置をとることを日米両政府に求める」という文案で、日米両政府もNGOも異論がなかった。ヤンバルについては、環境影響評価法の対象にはならないので、誰が調査しどう保全するのかが明確でなかったが、「(日本政府のヤンバル地域の)調査に基づき、軍事施設と演習計画による環境への影響を評価し、これにもとづいてノグチゲラ、ヤンバルクイナの生存を確実にするために適切な措置をとることを日米両政府に求める」という文に落ち着いた。最後になって、米国側が英語としてもわかりやすい積極的な文案を出してきたことで、4回にわたる交渉を続けてきた沖縄の勧告案は関係者の間では合意ができた。あとは明日の審議を待つばかりである。
IUCN日本委員会

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