10月4~11日にアンマンで開催される国際自然保護連合(IUCN)の世界自然保護会議に、海上の森の保全に関する勧告案がとり上げられることが決定しました。この勧告案は、IUCNのNGO会員7団体が提起したもので、博覧会国際事務局(BIE)に対して、愛知万博が環境に配慮した万博となるよう、ひきつづき日本政府にアドバイスすることを求め、また日本政府に対し海上の森の保全策を具体的に講じることを求める内容です。
この勧告案は、すでに本年2月に国内のNGOが提出した決議案を、IUCN決議委員会が、(1)海上の森の住宅・道路事業の中止、(2)市民参加に愛知万博検討会議による海上の森の会場計画の大幅縮小といった、愛知万博に関する日本政府側の保全のための努力とBIEの指導性を評価する内容に修正したものです。その上で、愛知万博に関する一層の環境への配慮を求める内容となっています。
愛知万博検討会議に代表が参加している(財)日本自然保護協会、(財)世界自然保護基金日本委員会、(財)日本野鳥の会の3団体は、この決議を通じ、愛知青少年公園等海上の森以外の会場の環境影響評価や交通アクセスなどの残された検討課題について、今後も市民への情報公開と意志決定への参加を通じ、愛知万博全体が環境に配慮したものとなり、世界の国々に認められるよう、日本政府の一層の努力を求めるものです。
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IUCNは、1948年にフランスで設立され、現在スイスに本部を置く、世界最大の自然保護の連合体(国家会員76、政府機関111、NGO732)です。日本からは、17のNGOと環境庁・日本政府が会員になっています。世界自然保護会議は、IUCN総会をかねて、3年に一度開かれ、国際的な自然保護問題を議論します。今年は10月4-11日にヨルダンの首都アンマンで開催され、会員団体のほか国連環境計画、ユネスコなど世界の自然保護関係者、2000人以上が集まる予定です。このほか、日本に関しては、ヤンバルクイナ・ノグチゲラ・ジュゴンの保護に関する勧告案が審議される予定です。 |
第2回世界自然保護会議 勧告
2000年10月4-11日 ヨルダン・アンマン
CGR.CNV017. 海上の森の保全について
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1997年のBIE総会において、日本政府が「自然の叡知」をテーマとする環境万博とすることを表明して、2005年国際博覧会の開催国と認められたことを想起し、
2005年国際博覧会会場の予定地である愛知県名古屋市近くの海上の森が、1999年に日本国際博覧会協会から発表された環境影響評価書によって、環境庁のレッドリストに含まれる希少種を含む生物多様性のホットスポットであることが、明らかにされたことを認識し、
日本政府が、2005年国際博覧会の会場予定地の海上の森において、危機に瀕した湿地植物群落や絶滅のおそれのあるオオタカの保護のために、3度にわたって会場の位置を変更し、住宅計画・道路計画を中止したことを評価し、
また日本政府が、1994年に策定した環境基本計画や、1995年に策定した生物多様性保全国家戦略において、里地自然における計画的な生物の生息地の確保をめざしていることを評価し、BIEが、2005年日本国際博覧会が、環境に配慮した万博として成功を収めるよう、イニシアチブを発揮していることを歓迎し、
世界自然保護会議は、2000年10月4-11日にヨルダンのアンマンで開かれた第2回大会において、
1.BIEが、2005年に日本国愛知県で開催される国際博覧会が、環境に配慮した万博となるよう、日本政府に対して引き続き適切なアドバイスを行うことを求める
2.日本政府が、海上の森の自然を将来にわたって保全するため、国営里山公園の設置を含む具体的な措置を講じることを求める
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2000年10月4-11日 ヨルダン・アンマン
ジュゴン(Dugong, Dugong dugon)は、国際的にみて絶滅のおそれのある種であり(危急種VU A1cd, IUCN 1996)、日本では過去30年間(1970年以降)、沖縄島の海岸でのみ記録されていることから、沖縄島周辺の地域個体群もまた絶滅のおそれのある種(絶滅危惧種CR D1またはCR C2b,日本哺乳類学会 1997)であることに注目し、
さらに、ジュゴンが周年生息する範囲は、現在では沖縄島の中部および北部の東海岸に限られ、これは沖縄のジュゴンの保全にとってこの範囲はたいへん重要であることを示しており、この孤立した生息場所の面積は小さく生息数もたいへん少ないことに注目し、
アメリカ合衆国海兵隊の軍事空港を建設する計画が、生息域中央部の海域または隣接する陸域において(普天間飛行場の移転先として)、立案されていることを理解し、
この空港建設計画は、実現すれば、ジュゴンの重要な休息場所および採食場所になっている辺野古沿岸のサンゴ礁と海草藻場を消滅させ、小さな地域個体群の生存に対して大きな脅威を与える可能性があることを認識し、
沖縄島北部の山原(やんばる)の亜熱帯林には、ノグチゲラ( Okinawa Wood-pecker, Sapheopipo noguchii )やヤンバルクイナ( Okinawa Rail, Galliralus okinawae )をはじめ、国際的に関心が持たれている多数の固有種、固有亜種が生息し、生物多様性の保全上きわめて重要な地域であることに注目し、
山原(やんばる)では、ダム建設、林道建設、森林伐採、移入種の侵入などによって生息場所が劣化し、多くの固有種、固有亜種の生存が危ぶまれていることに注目し、
民間人の開発行為や立ち入りが禁止されている米軍演習場(米国海兵隊ジャングル戦闘訓練センター)が、野生生物の避難場所の役割を果たしてきたことを想起し、
米軍演習場の半分が、近い将来日本に返還される決定がなされ、森林生態系保護地域および国立公園に指定される可能性があることを歓迎し、
アメリカ合衆国海兵隊の支配下に残された地域における軍用機のヘリパッド7か所とそれらを結ぶ軍用道路の建設が、残されている最も重要な自然林地域において、固有種の生息地の劣化をひきおこす可能性があることに留意し、
さらに、頻繁におこなわれる軍事訓練が、ノグチゲラやヤンバルクイナなどの希少な野生生物種に影響を与え、この地域において絶滅のおそれを高める可能性があることに留意し、
世界自然保護会議は、その第2回会議(2000年10月4-11日、アンマン、ヨルダン)において、
1 日本政府に対し、以下のことを要請する。
a) 沖縄のジュゴンおよびその生息地についての詳細な調査を行い、地域個体群 とその生息地の保全計画を立案すること、また、ジュゴン個体群のさらなる減少をくい止め、その回復をはかるための保全方法をできる限り早急に実行すること。
2 日米両政府に対し、以下のことを要請する。
a) ジュゴン生息場所とその隣接地域における軍事空港建設および演習に関する計画について、上記の科学的な調査の結果にもとづいて十分に検討し、ジュゴン個体群の生存を確実にするための方策を講じること。
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Amman Okinawa 4(原文)
NOTING that Dugong (Dugong dugon) is an internationally endangered species (VU A1 cd, IUCN 1996) and a local population around Okinawa Island is also endangered (CR D1 or CR C2b, The Mammalogical Society of Japan 1997) , for they have been recorded in Japan only along the coast of Okinawa Island in the past 30 years ( since the year 1970 ) ;
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