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東北の海辺を守ろう。品川で、防潮堤問題を考えるイベント”防潮堤まつり”を開催

2013.10.31
活動報告

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9月1日に、「防潮堤まつりin東京 東日本大震災と防潮堤計画『未来の海辺になにを残すか』」を、NPO法人 森は海の恋人との共催で開催しました。

猛暑にもかかわらず、立ち見が出る大盛況。ご来場いただいた皆様ありがとうございました。

防潮堤計画は5年以内の完成を目指していますが、被災地域はようやく生活再建の目途がつき始めたところ。防潮堤の問題にもやっと目が向いてきたばかりです。

ほかの地域ではさらに知られていない問題のため、「防潮堤の大きさを東京で実感しよう!」と、アウトドアメーカーのモンベルにご協力いただき、計画されている最大クラスの防潮堤14.7mをモンベル品川店で表現してみました。

森は海の恋人のメンバーが現地の砂浜で防潮堤の高さに大漁旗を掲げてみた“防潮堤まつり”と同じように、屋上で目印に大漁旗を振ってみました(写真左)。下から見上げると首が痛くなる高さです。

「粘り強い構造」として堤の勾配は1:2(高さ:幅)と緩くなり、底幅は90m前後(写真下の赤線が防潮堤の想定断面サイズ)。砂浜を覆い尽くす規模であることも示しました。

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第一部は、スペシャル対談。森は海の恋人 理事長・畠山重篤さんと、海の生物の研究者・広島大学大学院准教授・長沼 毅さんにご登壇いただきました。

森の栄養が海へとつながり命の循環を生み出していること、そして、海とともに暮らしを立て直そうとしているところに現れた防潮堤計画へと話が広がったところで、第二部・清野聡子さん(NACS-J沿岸保全管理検討委員)の防潮堤徹底講座へバトンタッチ。

清野さんは、「みなさん、会場へは品川駅から緩い坂道を上がって来られましたね。ここは、海に面した大地のはしっこに位置します。蒸気機関車の煙をさけて埋め立てて鉄道がつくられた、海岸の埋め立ての歴史的な地域です」そんなお話から会報534号の特集でも紹介された話題をていねいに解説されました。

海岸を狭い「線」として死守しようとする日本の沿岸管理の問題点。砂浜の自然の防災効果を忘れて、波打ち際ぎりぎりまで利用したために被害が増大したこと、多様性や津々浦々の違いなどのややこしい要素は含めずに巨大防潮堤で海岸を囲む選択をしていること。各地の沿岸管理の突破口となった事例を集めて、「海岸線」ではなく海岸を「面」の管理へ変えていこうと話されました。

第三部は、これから防潮堤計画と向き合って暮らす世代が登壇。宮城県気仙沼市の畠山 信さん(重篤さんの息子さん)、三浦友幸さん、NACS-Jから保全研究部・朱宮が、現地の住民の思いや海や自然の状況などをお話しました。

この“防潮堤まつり”は、新聞などでも紹介され、防潮堤問題の講演依頼もいただくなど反響を得ています。

しかし、まだ多くの方がご存じない状況です。ぜひお知り合いの方にご紹介ください。

当日の中継はUstreamでご覧いただけます(http://goo.gl/APoE1f)。

会報534号・防潮堤特集の一部はこちらで公開しています。ご活用ください。

(保護・研究部 志村智子)

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