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7月27、28日で宮城県南三陸町波伝谷地区にて、東日本海岸調査のふれあい調査を行いました

2012.08.06
要望・声明

宮城県南三陸町の波伝谷地区は、志津川湾の南側の地区で、モニタリングサイト1000の調査サイトとして、地域の方々が里地の動植物や人為的インパクトについて調査を行ってくださっている地区です。

今回の東日本海岸調査は、鬼頭秀一さん(環境倫理学・東京大学)、富田涼都さん(環境倫理学・静岡大学)、久田浩司さん(地域づくり・NPO法人共存の森ネットワーク)とNACS-J保全研究部の小此木の東日本海岸調査の委員会メンバーと、編集室の鶴田でお邪魔しました。


波伝谷地区でも震災で16人の方々が命を奪われ、被災後1年半たった今も、草むらの中に土台のみを残した宅地や壊れたままの学校があり、港にはがれき置き場が設置され、大型ダンプの往来が続いています。

冬に予備調査に伺ったときには、地盤が下がり一部湿地となり、冬鳥などがいた入り江は埋め立てられ、がれきの焼却施設を3年時限で建設するための工事が始まっていました。

波伝谷地区の仮設住宅は、地元の方が高台の梅畑を提供され、避難所を転々として最後まで仮設住宅に入れなかった方々20戸ほどが、まとまって入居でき、かろうじて地域のコミュニティが残されたそうです。

この集落の皆さんに暮らしと自然のかかわりのお話をうかがう「ふれあい調査」にご協力いただくことになりました。

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27日の夜は、モニタリングサイト1000里地調査でもお世話になっている、南三陸ふるさと研究会の後藤さんや鈴木さんらにお集まりいただきました。

かつて波伝谷では養蚕が盛んで、小さな田畑や入会の山と、小規模な漁など複合的に自然を活かした生業を営み、子どもたちも蚕の世話や浜でのおかず取りに活躍していたそうです。

 
集落の歴史や祭りなどの文化、ウニやタコ、アワビやカニなど志津川湾の豊かな海のめぐみに支えられた暮らし、震災前後の海のイメージの変化、これから復興を進めていく中で大切にしていきたい想いなど、たくさんのお話を伺いました。

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28日は、養殖業を共同作業で再開されている海辺の作業場に、お邪魔させていただきました。強い日差しを避けたブルーシートの下で20人ほどの漁師さんと御家族が共同でカキ養殖の稚貝を採取するために、ホタテの貝殻をつなぎあわせる作業をされていました。

農水省の復興支援の「がんばる養殖復興支援事業」などを利用し、津波で流されてしまったフォークリフトなどの重機も共同で利用できるようになり、ようやく養殖業を共同方式で再開できるようになったそうです。

作業をお手伝いしながら、対面でお一人ずつお話を伺いその後、仮設住宅に戻り、漁を引退されたお母さん方のお話も伺いました。

地区の方々からは、以前は志津川湾にすき間なく入っていたカキやホヤ、ワカメ、ギンザケの養殖いかだが、震災でだいぶ減り、収量は減ってしまったが、その分海はきれいになって、質のいいものが取れるようになったことや、他の地方に出ていた若者も親元を心配し郷里に戻ったり、これからも海の仕事を続けていきたいという声も聞かれました。

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2日間を通じて、海とのかかわりのお話から、今、計画されている大規模な防潮堤についてやはり話しが及びました。

そんなに大きな堤防つくったら、海がみえなくなり困る。」「漁師は海がみえないと、朝、漁に出るかどうかも決められない。」「津波から逃げるのだって遅れる可能性がある。」「人は自然の許容範囲でしか生きられないことを今回の震災で思い知らされた。防潮堤で津波を防げるとは思わない。逃げる避難をいかにできるかに知恵を注いで欲しい。」などの声が聞かれた一方で、「一部の集落が高い防潮堤をいらないということで、他の地域の迷惑になってもいけないという気持ちもあり、復旧復興の雰囲気の中で反対しづらい。」との複雑な想いも語られました。

ふれあい調査」では海辺の自然に寄り添う暮らしをされてきた方々の想いを、これからの地域の再興つなげるためにどんな形にしていくか、地区の皆さんとともに考えていきます。波伝谷地区のふれあい調査は引き続き10月に行う予定です。

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写真:移動中の北上町十三浜に設置されていた河口の防潮堤の建設予定の枠。国や県主導で計画されている防潮堤は、海岸から河口部も含め、裾野が広い形の設計となっている(紅白のバーの形)。これまであったものより、かなり高く、東北沿岸全域で、6~8mほどの計画が多い。(近くにいる人の背丈を参照)

(保全研究部・小此木/広報編集部・鶴田)

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