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沖縄県が独自に実施するジュゴン調査に対して要望書を出しました。

2016.01.19
要望・声明

沖縄県が独自に実施するジュゴン調査に対する要望書(PDF/119KB)


2016年1月18日

沖縄県知事  翁長 雄志 様

北限のジュゴン調査チーム・ザン
代表 鈴木 雅子
ジュゴンネットワーク沖縄
事務局長 細川 太郎
沖縄・生物多様性市民ネットワーク
共同代表 吉川 秀樹
共同代表 河村 雅美
公益財団法人 日本自然保護協会
理事長 亀山 章

 

沖縄県が独自に実施するジュゴン調査に対する要望書

辺野古・大浦湾の環境保全に沖縄県がご尽力いただいていることに感謝しております。絶滅危惧種(環境省絶滅危惧ⅠA類、IUCN VUランク)であり、日本の天然記念物であり、沖縄の文化的アイコンであるジュゴンの保護/保全は、緊急の課題であり、国内外からも大きな注目を集めています。それゆえ今回、沖縄県が独自に、ジュゴンの保全策検討に活かすため、2016年度より2年間に辺野古沖周辺など沖縄本島東海岸を中心とした4海域について、ジュゴンの生息状況の実態調査を新規に始めることを(沖縄タイムス2016年1月6日)私たちは心強く思っています。同時に、調査には細心の注意が払われ、そして調査が確実にジュゴンの保護/保全に繋がることを私たちは強く要望します。

沖縄のジュゴンは現在の生息個体数が非常に少なく、海岸線の開発等による生息地の減少や、漁網での混獲等、そして辺野古・大浦湾における新基地建設により、危機的な状況が続いています。また音などのストレスに敏感な生き物であり、調査の実施自体が調査圧となる可能性が高いと言えます。既存の資料を精査・検証し、重複する調査作業を避ける必要があります。またその生息数の少なさは緊急度の高さを示していることから、短期間で最も有効な調査方法を取る必要があります。さらには、これまで提案、実施されてきたジュゴン保護/保全策の評価も視野に入れた調査が必要です。そして本件については、社会的関心が高いので、調査についての市民への情報公開や市民からのフィードバックも必要です。

特に、専門家の確保にあたっては、専門家の氏名や所属の公表が必要であり、また海外の専門家も視野に入れることが大切だと考えます。既存資料の精査・検証にあたっては、沖縄防衛局や環境省が行ってきた調査はもちろんのこと、環境団体が行ってきた調査の方法や結果についても精査・検討し、計画に反映させることが必要だと考えます。

また、ジュゴンの保護/保全の基盤となる生息数を評価するHEP(生息域評価)と個体群存続可能性分析(PVA)の導入を要望致します。米軍普天間飛行場代替施設建設事業の環境影響評価では、HEPは行われず、PVAについては解析の前提となる条件に誤りがありました。予測・評価を正確に行うにはこれらの解析が必要であると思います。

以上のことから、次の8点を要望いたします。

  1. 調査計画の内容と目的を公表すること、特に保全策検討に活かすためであることを明確にすること
  2. 本計画の結果を元に、沖縄防衛局が持つデータや環境保全策等(例:環境監視等委員会議事など)に対し意見を述べること
  3. 予算を公表すること
  4. 指導を受ける専門家の氏名や所属を公表すること、また専門家の確保にあたっては海外の専門家も視野に入れること
  5. 既存のデータを持つ市民団体や研究者と意見交換の場をもち、協力しながら進めること
  6. 議事録や資料等を公表して、市民が経過を見えるようにすること
  7. 計画の中にHEPとPVAを含めること
  8. ジュゴンの餌場である海草藻場の面積や種構成についても調査対象とすること

 


20131130jugong.jpg▲ジュゴンの親子(写真:東恩納琢磨)

 

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