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各方面から環境保全対策の不備を指摘されたにもかかわらず辺野古の埋め立てを承認。

2014.02.28
活動報告

 
昨年12月27日に、沖縄県知事仲井眞弘多氏により、米軍普天間飛行場移設基地移転のため名護市辺野古への埋め立て承認が出され、昨年3月から行われてきた公有水面埋立手続きに幕が下ろされました。

 
本事業は、NACS-Jがこれまでに何度も指摘してきたように自然環境保全上大きな問題があるものです。2012年2月に環境影響評価書に対して、仲井眞沖縄県知事は「評価書で示された環境保全措置などでは、事業実施区域の生活環境および自然環境の保全を図ることは不可能と考える」と公表しました。

県知事自身がそう断言するほど環境に対する評価や保全措置は不備があるものでした。その後、評価書は補正されましたが、本計画が持つ根本的な問題は解決されず、次に行われた公有水面埋立の手続きでも、新たな問題が次々と発覚し続けました。

 
例えば、沖縄島北部を通る土砂運搬船のルートがジュゴンの移動ルートと重なること、ジュゴンの餌場である海草藻場に影響がある場所からの海砂採取が予定されていること、建設される護岸の規模が補正評価書時の1.5倍の大きさであることが判明するなど、いずれも環境影響評価のときに公表されるべき情報が、この段階で公表されました。

また1700万㎥にのぼる埋め立て土砂の調達予定地もこの段階になり示されました。ただし各地点での調達先の分量などの詳細は示されていません。昨年末になり、調達予定地のひとつである山口県などの埋め立て土砂に、アルゼンチンアリが混入しているという大きな問題が判明しました。

アルゼンチンアリは世界の侵略的外来種ワースト100(IUCN, 2000)に入り、日本の特定外来生物に指定されるほど、環境に悪影響をもたらす生物です。辺野古の埋め立て予定地は、世界自然遺産の候補地である沖縄島北部地域からも20㎞しか離れていません。ここに問題のある埋め立て土砂を持ってくることは大きな問題をもたらすと考えられます。

環境保全にかかわる対策が不十分であるにも関わらず、公有水面埋立法4条の環境保全策の承認基準を「適」と判断し、その理由を「現段階で取り得ると考えられる工法、保全措置が講じられて、十分配慮されている」と説明し、沖縄県は埋め立てを承認しました。

「留意事項」を付けて環境は保全するとしていますが、記載されていることでは環境は保全できません。また国土利用の基準については、辺野古が沖縄県自然環境の保全に関する指針にて評価ランクⅠ(自然環境の厳正な保護を図る区域)に指定されている保護すべき重要な海域であることが問題になっていましたが、同じくランクⅠの泡瀬干潟を埋め立てているという前例があるので行政手続き上は問題がないとの判断がなされました。

NACS-Jでは、辺野古だけではなく日本全国の環境問題にも大きくかかわる、環境影響評価法や公有水面埋立法、外来生物法などの改正を求めていきます。

(保護・研究部 安部真理子)

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