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「新住事業のとりやめ、現行計画の根本的変更と 国営里山公園の設置を」

2000.02.15
要望・声明

IUCN総会へ決議案提出


 

海上の森の保全を求める
第2回世界自然保護会議決議案の提出について

2月15日正午、日本自然保護協会、世界自然保護基金日本委員会、日本野鳥の会は、国際自然保護連合(IUCN:本部スイス・グラン)のマリッタ・コクベイザー事務局長あてに、2005年に愛知県瀬戸市他で開催が予定されている国際博覧会に関して、海上の森(かいしょのもり)の保全を求める第2回世界自然保護会議決議案を提出しました。

3団体は、2月4日に愛知県知事あてに、新住宅市街地開発事業・都市計画道路を縮小ではなく中止し、将来にわたって海上の森を保全するため国営公園化を検討することを求めた要望書を提出しました。その際に、根本的な見直しが行われない場合には、第2回世界自然保護会議に決議案を提出することを伝えました。

本日(2月15日)午前、通産大臣、愛知県知事が相次いで会見を行い、(BIE総会における登録時期の延期、住宅計画の縮小を含む見直しが行われていることが明らかとなりましたが、3団体が求める根本的な見直しにはほど遠いものであることから)、IUCNに対して予定どおり決議案を提出することにしたものです。

なおこの決議案の提案団体には、上記の3団体のほか、エルザ自然保護の会、野生動物救護獣医師協会も加わり5団体となりました。今後、国内外のNGOにも呼びかけさらに賛同する団体を増やしてゆく予定です。IUCNは世界自然保護会議の90日前までに、決議案に関係する問題の国内での解決を求めており、7月6日までに解決しない場合には、世界自然保護会議において決議案の採択を議論することになります。

*IUCN

1948年にフランスで設立され、現在スイスに本部を置く、世界最大の自然保護の連合体(国家会員74、政府機関105、NGO700以上)です。日本からは、上記の5団体を含む17のNGOと環境庁・日本政府が会員になっています。世界自然保護会議は、IUCN総会をかねて、3年に一度開かれ、国際的な自然保護問題を議論します。今年は10月4-11日にヨルダンの首都アンマンで開催され、会員団体のほか国連環境計画、ユネスコなど世界の自然保護関係者、2000人以上が集まる予定です。


第2回世界自然保護会議決議案

 

【決議案本文(日本語訳)】

2000年10月4-11日 ヨルダン・アンマン


海上の森の保全について

1997年のBIE総会において、日本政府が「自然の叡知」をテーマとする環境万博とすることを表明して、2005年国際博覧会の開催国と認められたことを想起し、

2005年国際博覧会会場の予定地である愛知県名古屋市近くの海上の森が、環境庁のレッドリストに含まれる希少種を含む生物多様性のホットスポットであることが、1999年に日本国際博覧会協会から発表された環境影響評価書によって明らかにされたことを認識し、

日本政府が、2005年国際博覧会の会場予定地の海上の森においても、危機に貧した湿地植物群落や絶滅のおそれのあるオオタカの保護のために、2度にわたって会場の位置を変更したことを評価し、

また日本政府が、1994年に策定した環境基本計画や、1995年に策定した生物多様性保全国家戦略において、里地自然における計画的な生物の生息地の確保をめざしていることを評価し、

BIEが、2005年日本国際博覧会が、環境万博として成功を収めるよう、イニシアチブを発揮していることを歓迎し、

世界自然保護会議は、2000年10月4-11日にヨルダンのアンマンで開かれた第2回大会において、

  1. BIEが、2005年に日本国愛知県で開催される国際博覧会が、環境万博ととなるよう、日本政府に対して引き続き適切なアドバイスを行うことを求める
  2. 日本政府が、国際博覧会の精神とは相容れない、この地域での住宅市街地開発事業および道路建設をとりやめることにより、現行計画を根本的に変更し、海上の森の自然を将来にわたって保全するため、国営里山公園の設置を含む具体的な措置を講じることを求める

決議案提出団体

(財)日本自然保護協会
(財)世界自然保護基金日本委員会
(財)日本野鳥の会
エルザ自然保護の会
野生動物救護獣医師協会

 


【決議案本文】

Draft Resolution for the Second World Conservation Congress
Amman, Jordan, 14-11 October 2000

Conservation of the Kaisho Forest, Japan

AWARE that at the 1997 General Assembly of Bureau International des Expositions (BIE), the Government of Japan proposed an environmentally conscious exposition with a theme of “Beyond Development – Rediscovering Nature’s Wisdom” and Japan was chosen as the host nation of the 2005 World Exposition;

RECOGNIZING that the Kaisho Forest near Nagoya City in Aichi, proposed site for the Exposition, is revealed by the environmental impact assessment published in 1999 by Japan Association for the 2005 World Exposition to be a hotspot of biodiversity inclusive of endangered species listed in Red Data Books published by Environment Agency of Japan;

ACKNOWLEDGING the efforts by the Government of Japan to take conservation measures to change the Exposition site locations twice for the purpose of protecting the threatened wetland vegetation and endangered goshawk in the Kaisho Forest;

ACKNOWLEDGING ALSO the Government of Japan’s commitment to secure
habitat of plants and animals in countryside ecosystem as stipulated in the Basic Environment Plan of 1994 and the National Strategy for Biodiversity Conservation in 1995;

WELCOMING the Bureau International des Expositions to take an initiative to lead the 2005 World Exposition results in the best outcome as an environmentally conscious exposition;

The World Conservation Congress at its second session in Amman, Jordan, 4 – 11 October 2000:

CALLS UPON the Bureau International des Expositions to continue to provide pertinent advice to the Government of Japan so that the 2005 World Exposition to be held in Aichi Prefecture in Japan exhibits success as an environmentally conscious exposition;

URGES the Government of Japan to drastically revise the plan by ceasing the urban development project and road constructions in this area, which are inconsistent with the spirit of World Exposition, and by taking concrete actions including set up of a National Countryside Park so that the Kaisho Forest is conserved for the future.

Sponsored by:

The Nature Conservation Society of Japan (NACS-J)
World Wide Fund for Nature – Japan
Wild Bird Society of Japan
Elsa Nature Conservancy
Wildlife Rescue Veterinarian Association of Japan

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