活動報告|沖縄・泡瀬干潟の保全

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沖縄・泡瀬干潟の保全

泡瀬干潟で続々見つかる希少種

市民団体や研究者の調査で、これまで知られてきたクビレミドロ(藻類)やトカゲハゼ、ヒメウミヒルモ(海草類)などに加え、新種や日本新産種を含む、海草類(ホソウミヒルモ、ウミヒルモの一種)、貝類(ニライカナイゴウナ、オボロヅキ、スイショウガイ)、甲殻類(オキナワヤワラガニ)、海藻類(リュウキュウズタ)など希少種の生息・生育が次々と確認され、その保全措置を検討するため、現在工事は中断されています。泡瀬干潟は、日本の中でも特筆すべき保護上重要な生物多様性が高い場所となっていることが明らかになりつつあるのです。

ハボウキガイ(撮影:小橋川共男)NACS-Jは2003年7月に泡瀬干潟自然環境調査委員会をつくり、地元市民団体や研究グループと協力して泡瀬干潟の総合的な調査を行なっています。泡瀬干潟の自然環境の現況を明らかにし、科学的な評価を行なうことが調査の目的です。泡瀬干潟のどこにどのような環境があり、どんな生物が生息しているのか、水質や海水の流れはどのようになっているのかを明らかにし、保全策を提言していこうと考えています。事業者は、泡瀬の自然環境の実態を十分に把握することなく、海草の移植や人工干潟で保全するとしていますが、これではアセス書に明記されている保全目標の干潟・藻場生態系の保全は図れません。NACS-Jの調査では、ジュゴンの生息地として重要な海草藻場、シギ・チドリなど渡り鳥の中継地として、国際的視野の中でも泡瀬の自然環境を評価する必要があると考えています。

写真:沖縄県レッドデータブックで準絶滅危倶種のハボウキガイ(撮影/小橋川共男)


(2004年1月 保護研究部 開発法子/会報『自然保護』No.477より転載)

客観的な評価がなされない時代遅れのアセスメント

1999~2000年に実施された泡瀬干潟の埋め立て事業の環境影響評価(以下アセス)における最大の問題点は、泡瀬干潟の自然の特徴である干潟と海草藻場の生態系が適切に評価されなかったことです。例えば海草藻場に生息する多様な貝類や甲殻類などを多種見落としており、事後調査では貝類は5倍以上の種が確認されました。海草も現在は13種の生育が分かっていますが、アセスでは8種しか確認されていませんでした。最近では、沖合いの護岸工事が進むにつれ、潮の流れが変わり、砂洲の形が変わるなど地形変化が生じていますが、アセスでは、何の影響予測もされていませんでした。

泡瀬干潟の埋め立て工事また事業者が「必要な措置を講ずる」と明記された環境保全策についても、埋め立てにより消失する干潟や藻場に対し、人工干潟をつくり海草は移植するという代償措置が持ち出されました。代替案や次善策を検討しない、工事ありきの形式的なアセスでした。
アセスが事業者の独断で進まないよう、その手続きの過程で市民や地方公共団体の長である県知事等からの意見を聞き、客観的な評価がなされるのがアセス本来の姿です。意見がついた場合、事業者はそれを受け止め、異なる意見はオープンに議論、調整して合意形成を図る必要があります。

しかし泡瀬のアセスでは、準備書の縦覧(公開)や意見募集などの初期の段階から情報が行き届かず、十分な市民参加がなされませんでした。
評価書段階では、不十分な評価と影響予測に対して「海草の移植については移植先での海草の生育が可能であることを確認した上で行うこと」など多数の県知事意見が付けられましたが、結局はその結果を待たずに、事後調査で対応するという見切り発車での事業着手が認められてしまいました。不確実性が大きいからという理由で生態系のアセスを十分に行わず、事後調査にゆだねるやり方はアセス運用上、大きな問題です。
また、事後調査を監視する環境監視委員会がつくられ、NACS-Jも委員となりましたが、多くの委員から問題点が指摘されているにもかかわらず、委員の意見や助言を無視し、科学的根拠に基づいた影響予測・保全策をとろうとしません。事業者独自の判断で「モニタリングをしながら工事を進める」「ほかの場所にも生育・生息しているから特段の対応はしない」と事業を進めています。
(2008年11月1日 保全研究部 開発法子/会報『自然保護』No.506より転載)

 

(財)日本自然保護協会
(NACS‐J)

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