IUCNの最近のブログ記事


icon_taguchi.jpg広報・編集部の田口です。

2011年から2020年は、「国連生物多様性の10年」。
世界で協力し生物多様性の保全に取り組もうという国連決議です。この決議は、日本の市民団体や国際自然保護連合日本委員会(IUCN-J)の提案を受け、日本政府が動き、実現しました。
昨年12月には金沢市で、国連生物多様性の10年・キックオフイベントが開かれ、いよいよ世界的な取り組みとして本格始動しました!

20120113CBDweb.jpg
会報『自然保護』1・2月号のニュースハイライトコーナーでは、「今すぐ、あらゆるところで動きはじめ、自らの手で未来を変えよう!」という、ジョグラフ生物多様性条約事務局長からのメッセージを、ご紹介しています。

その記事が、生物多様性条約の事務局(inカナダ)のウェブサイトでもご覧いただけることになりました。会報では限られた誌面のためメッセージの一部をご紹介しましたが、英文ではメッセージ全文が掲載されています。ぜひご覧ください。


生物多様性条約事務局(inカナダ)のウェブサイト
icon_shimura.jpg  広報・編集部 志村です。

NACS-Jは、名前の通り日本の自然保護活動、国内の活動が中心ですが、国際社会の中での日本、という視点も常に持ちながら取り組んでいます。
発足当初から、IUCN(国際自然保護連合)の会員になっており、IUCN日本委員会の事務局も務めていて、海外の研究者やNGOとの情報収集・情報交換も仕事のひとつです。

昨年、愛知で開催された生物多様性条約COP10は、メディアでもずいぶん取り上げられましたが、当然ながらこれは一時のイベントではなく、自然を守る活動の通過点。
COP10で定めた目標を実行・実現させるため、中間点検や現状把握のための会議が、さまざま開催されているのです。
そのひとつがSBSTTA(サブスタ、と発音しています)。COPは政治的判断の場面も多々ありますが、こちらは科学的な側面の強い会議です。

このSBSTTA(サブスタ)に参加してきたNACS-J・道家哲平らが、報告会を開催します。
COP10には、会員の皆さんも大勢参加されていたので、その後が気になっている方も多いはず。
NACS-J事務局の会議室での開催なので、会員の皆さんもお気軽にご参加ください。

参加費無料です。
事前申し込みは不要ですが、資料準備の関係上、ご参加の場合は、下記までご連絡いただけると幸いです。
Eメール:mail@iucn.jp (※スパムメール対策のため、@を全角にしています。半角に変え送信してください。)

++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
IUCN-J セミナー 第3弾 
COP10後の愛知ターゲットを中心とした世界の生物多様性政策の行方

~生物多様性条約・8条j項及び関連する条項に関する第7回作業部会及び生物多様性条約第15回科学技術助言補助機関会合(SBSTTA-15)の参加報告~

日程:12月26日(月)18時~
場所:日本自然保護協会 会議室(東京都中央区新川1-16-10 ミトヨビル2F 地図
内容:
1.生物多様性条約・8条j項及び関連する条項に関する第7回作業部会の参加報告参加者より 
 小林邦彦(IUCN日本委員会)
2.生物多様性条約第15回科学技術助言補助機関会合の参加報告参加者より  
宮崎正浩(跡見女子大学教授)/名取洋司(ConservationInternational)/道家哲平(NACS-J保全研究部)
3.質疑応答、ディスカッション
※セミナーは平成23年度独立行政法人環境再生保全機構地球環境基金の助成を受けて開催されます。
++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

道家のSBSTTA-15参加・現地からのレポートはこちらで読めます。

SBSTTA(科学技術助言補助機関)とは



icon_douke.jpgモントリオールより道家です。ついに最終日を迎えました。

・外来種に関する決議案について

生物多様性条約外の国際条約やルール(具体的に言及されているのは、植物防疫に関するInternational Plant Protection Convention (IPPC)や、国際獣疫事務局the World Organisation for Animal Health (OIE)、WTO協定(衛生植物検疫措置の適用に関する協定。通称SPS協定)などです)との関係が課題です。
そのためタイトルも、ペット、水生生物、陸生生物および生き餌や生鮮食料として持ち込まれる侵略的外来種に関する国際基準間のギャップに対処する手段と方法(Ways and means to address gaps in international standards regarding invasive alien species introduced as pets, aquarium and terrarium species, as live bait and live food)という表現になっています。専門家会合(AHTEG)も開かれておりこちらには日本とスペインが開催を支援しています。

5ページに及ぶ長い決議案です。以下概要を紹介します。

<全体事項>

外来種が多様なセクターにまたがる問題であることを理解し、COP6の決議である外来種のガイドラインの重要性を強調するとともに、各国においても、上記生物多様性条約以外の国際ルールの運用に際して外来種の課題に対処することを求めました。また、インターネット取引による外来種の導入が問題視され、条約事務局に対して、法律での監視方法や規制手法、外来種に関する全般的な普及啓発手法の情報収集を指示しました。

<国際条約・ルール間のギャップを埋めるための手段と方法>

植物防疫に関する条約(International Plant Protection Convention)に対して、コケ類や藻類まで植物防疫条約の対象を広げることや、菌類が植物防疫条約の対象となるかどうか明確にすることを奨励するなど、個別条約に対してメッセージを出す案で合意しました。

また、事務局に対して、遅くともCOP12までに、国際基準、指針、提言を設定している国際団体と協力して、既存の国際基準、指針、提言の国内適用に関する実務的なツールを開発するとともに、条約のウェブサイトで普及することを指示する文案をまとめました。そのツールには①どのように国際基準を適用するか、②リスク評価のツール、③侵略的外来種に関する国家戦略の効果を高め、国家政策に組込むための情報、④侵略的外来種の可能性のある種の特定手法や侵入経路の評価に関する情報など、ツールに含める事項なども検討されました。

<その他の活動>

外来種全般に関する普及啓発、教育手法をまとめる。外来種に関する決議の進捗状況の評価、外来種の共通の侵入経路(Pathway)のリスト作ることなどが合意されました。


・最終全体会合

サブスタ全体会合
最終日は愛知ターゲットの指標をはじめ、予定された8つのCOP11への提言案を全て採択しました。
午前中に作業部会で、持続可能な利用と極地域についての提言をまとめ、すぐさま全体会合を開催しました。お昼休憩を挟み、ハイピッチで全体会合の議題として残された「愛知ターゲットの指標」「世界分類学イニシアティブ」の案をまとめました。

最終全体会合→




ムロンゴイ氏に拍手
当初ゆっくりすぎた進行と思われましたが、終了予定時刻通りに終わりました。
最終の全体会合では、1993年(条約の発効年)から条約事務局に務め、今回、退職することとなったジョー・ムロンゴイ氏への感謝の言葉で締めくくられました。非常にユニークな方で、冗談を飛ばしながら、事務局としての仕事をこなしていく姿に多くの政府から惜しみない拍手と御礼の言葉がかけられました。

←ムロンゴイ生物多様性条約事務局の長年にわたる貢献に皆で拍手


帰国後、SBSTTAの報告会を行なう予定です。

icon_douke.jpgモントリオールより道家です。

科学技術助言補助機関会合(SBSTTA)では、いくつかのテーマにわたって締約国間の検討を行い、合意事項とりわけ、次の締約国会議で何を決めるべきかをまとめます(COP決議への提言とよびますReccomendation to COP)。
いくつかの大きな決議について紹介をしていきます。

<生態学的復元に関する決議案の紹介>

COP11での検討事項については、
・加盟国に対して、愛知ターゲット14、15だけではなく、改定植物保全戦略の目標4と8(生態学的復元に関連する)にも、しっかり取組むこと、

・加盟国や関係諸機関に対して、生態学的復元の実施を進めるために、①e-learningプログラムの提供や②ケーススタディ、優良事例、生態学的復元事業を評価するための手法などについての情報の編集、③地域トレーニングワークショップの支援、④生態学的復元が及ぼす経済的、社会的、生態学的影響および生態系の劣化がもたらす悪影響を伝えるためのコミュニケーションプログラムの開発と実施、などの検討を求めること

事務局長に対して、①地域トレーニングや専門家会合を開くことや、②生態学的復元に関する実施ツールや実践ガイダンスを開発すること、③生態学的復元に関する包括的なウェブサイトを作ること、④過去の復元に関する決議をまとめること、⑤他の条約等で行なわれている復元に関する諸決議、トレーニングツールをまとめたTEMATEAに「生態学的復元」の項を作ること、⑥国連気候変動枠組条約(UNFCCC)、国連砂漠化対処条約(UNCCD)、ラムサール条約などの多国間条約との共同する機会を見つけること、などを求めること

資金提供機関に対して、資金的な協力を求めること

などが主要なコンテンツになりそうです。4日目午前の全体会合で文案が検討されたものが、最終文書にまとまると思います。

追記:ジオエンジニアリング(地球工学)と生態学的復元に関する情報収集が文案に入っていたのですが、政府間協議で削除することとなりました。

4日は午前全体会合、午後作業部会、夜7時半から11時近くまで全体会合というスケジュールで会議が行なわれました。

参加者一覧が発表されました(事前登録ベースの記録ですので、登録だけで実際来られなかった方も含まれます)。参加者は事務局のぞく477名です。以下、各分野毎の登録者人数。ちなみに、昨年のCOP10は7000人近くでした。

CBD加盟国 290名(うち日本政府は18名)
非加盟国 15名(アメリカ合衆国)
国連機関 24名
政府間機関(他の条約等) 34名
NGO 70名
先住民グループ 12名
企業 6名
教育機関 26名
オブザーバー 10名 (以上 手集計なので数え間違いは、ご容赦ください)
icon_douke.jpg道家です。

3日目は、「持続可能な利用(野生動物の食肉利用)」と「極地域」に関する意見表明、SBSTTAの運営方法の改善に関する意見表明、意見出しの終わった「世界分類学イニシアティブ」について討議用文書(Conference room paper)について検討しました。

18時半からは、外来種と愛知ターゲットの指標に関する個別会合がサイドイベントと同時に開催されました。特に、愛知ターゲットの指標に関する議論の状況を報告します。


<指標に関する個別会合(コンタクトグループ)>


昨夜のポイントとしてSBSTTAが主語(すなわち、すぐに行動するもの)と、COPが主語(すなわち、COP11の決議(2012年9月)後に行動するもの)とに分けられると紹介しました。

個別会合の文案(word)には、「SBSTTAは、事務局に対して、"COP11の決議の前"に、指標に関するキャパシティービルディングに関わる活動と、指標の改善に関する活動の準備(initial work)を行なうよう求める」という案になっていましたが、事務局の負担が多いとして、カナダ・ニュージーランド・オーストラリアなどが削除を求めて、結果削除されることとなりました。元々この文案には、「資金の見込みがあって、可能であれば(やりましょう)」という注釈がついていたので、残しておいても良いのではと思ったのですが残念です。

主要な共通了解事項としては、

・指標はさらに精査が必要。(特に、他の国際条約で使っている指標も活用できるか検討する)

・現行の指標および指標の考え方に対してどう能力開発を進めるかという手法を合意。
①指標に関する技術的なガイダンスをまとめる、②利用可能な指標に地域差がないかどうかまとめる、③技術/情報が少ない途上国向けにシンプルで、あまり資金を必要としない指標セットを作る、④今行なわれているトレーニングワークショップ(日本政府が提供している生物多様性日本基金による成果)で指標について学べる機会を作る

・現行の指標をより良いものに変えていくための手法を合意。
①現行指標に関するより詳細な解説書(解析方法、開発状況、指標の背景にある解説等)、②集中的に検討すべき指標の開発、③全加盟国が採用できるシンプルな指標セットの開発、④林業、農業、漁業に関する機関との連携による指標の開発、⑤指標データベースの改善と維持、⑥指標の解説書


<解説>*以下解説は、報告者によるものであり、組織を代表してのものではない。

IUCNのサイドイベントのアイデアも含めて、この成果をどう市民活動に活かすかということに触れたいと思います。ここからは、多分に個人的な解説です。
非常にかみ砕いていうと、今回「世界共通の質問方法(又は愛知ターゲットの説明方法)」が決まりました。

まず、国、地方自治体、企業、もちろんNGOが、愛知ターゲットの全体目標(ミッション)に向けて行動しているかどうかを確認するには、こう聞くことになりました。

「あなたは、生物多様性の損失を止めるために、2020年までに効果的で、緊急の行動をとろうとしていますか(又は従来の行動を変えていますか)?」

COP11では、あらゆる関係者が、この質問への「答え」を持ってこなければなりません。

愛知ターゲットを理解してもらうために、4つの質問(その答えとなる個別目標との関係)が共有されました。

1.生物多様性の変化は、今、どういう状況でしょうか?

戦略目標C、個別目標の11、12、13 に関係

2.なぜ、私たちは生物多様性を失うのでしょうか

戦略目標B 個別目標5、6、7、8、9、10 および

戦略目標A 個別目標1、2、3、4 に関係

3.生物多様性の損失は何を意味するのでしょうか、あるいは、守ることは社会に何をもたらすのでしょうか

戦略目標D 個別目標14、15、16 に関係

4.それに対して、私たちは何をしなければならないのでしょうか

戦略目標E 個別目標17、18、19、20 に関係

どうでしょう? 分かりやすくなったでしょうか。にじゅうまるプロジェクトでも、この考え方をベースにした愛知ターゲットの解説書などを作れると良いなと思いました(一緒にやってみたいというかた募集します)。

icon_douke.jpg道家です。

11月8日、第15回科学技術助言補助機関会合(SBSTTA-15)の2日目は、午前中に、愛知ターゲットへのコメントの続きを行い、その後2つの作業部会に別れて個別議題を検討しました。作業部会1では、侵略的外来種(Invasive Alien Species)、作業部会2では内陸水(Inland water)のテーマについて意見表明を行ないました。

SBSTTAコンタクトグループ夜は、愛知ターゲットが達成されたかどうかを測る指標、各目標の解説(Technical Rationale)について、その詳細を議論するコンタクトグループが開催されました。

コンタクトグループの様子→







SBSSTAでのNOO法人田んぼの岩淵氏今回は、政府だけではなく、NGOも多く参加しています。サイドイベント「CHALLENGES AND HOPES FROM ECOSYSTEM RESTORATION」では、NPO法人田んぼの岩渕さんが、3月11日に起きた東日本大震災後の生態系の変化を市民調査でしらべていること、田んぼの復元活動の事例を紹介されて、大きな拍手がありました。

サイドイベントで紹介する岩渕さん(NPO法人田んぼ)→



<愛知ターゲットや、指標に関する議論の経過(11/8まで)>


SBSTTAでは、愛知ターゲットの解説文と、指標について最初の意見表明を終えました。愛知ターゲット解説文については、おおむね分かりやすく良いガイダンスであるという主張が多く、細かい文言を修正するような議論はやめようという雰囲気があります。

IUCNはこの解説文を各国の言語に訳し、もっと、愛知ターゲットの理解を広めていくために活用しようと提案しています。 ちなみに、IUCN-Jのにじゅうまるプロジェクトの各目標の解説文はこの解説文(2010年12月段階の事務局案)をベースに作成されています。

意見が多いのは、指標についてです。

専門家会合から提案された利用可能と考えられる指標は90近くあり、既に情報が十分ある(カテゴリーA)、世界レベルで使う指標として必要だが、情報が不十分、優先的に開発する(カテゴリーB)、地域レベルでの活用の可能性がある(カテゴリーC)と分類しています。その上で、12のヘッドライン が専門家会合から提起されました。

多くの国はこれを暫定的な指標と認めつつ、各国で指標をどう作り、いつまでにどのように報告し、生物多様性条約事務局からどのような支援があれば実現できるかを検討しています。このために作られた生物多様性条約のウェブサイトについても歓迎する発言がありました。

途上国の多くは、科学的データベースもない中で、指標を作り上げるのは難しいとして、キャパシティービルディング(能力開発)の必要性や、指標の最小セットを作ってはどうかなどの意見が出ました。他には、指標は、解説文でも言及するようにしようというアイデア、国家戦略とのリンクの重要性を指摘する意見も多数を占めていました。

市民団体からは、指標についてはあらゆるレベルで市民参加が重要であることが指摘され、SBSTTAで常にこの指標の向上と状況評価をするべきという提案をしました。

IUCNは、国内目標について、各国が愛知ターゲットをベースに目標を上乗せ(add up)しないと世界目標の達成は出来ないとして、COP10の盛り上がりを維持し続けようと訴えました。

状況としては、政府間で深い対立がある訳ではなく、どう指標を現実に活用し、フォローしていくかというアプローチで意見の食い違いがあるようです。 二日目の夜に開かれたコンタクトグループでは、各国の意見表明をまとめた文書に対する全般的な意見が出されました。

まだ、交渉というレベルの議論ではなく、理解を図るためのエクササイズという状況です。それでも幾つか論点が見えてきました。

1. 文章をSBSTTAを主語にした文書とCOPを主語にした文書に切り分けることになりそうです。すなわち、COP11までの間にやるべきことと、COP11後(2012年9月以降)にやるべきことを整理するという論点。

2. 指標が確立していない目標(目標1,2,3,7,13,16,17,20)をどうするか。

3. 目標と指標の相関(例えば、「生物多様性という言葉を知っている人の割合」という指標があったとして、その数値を持って目標1の成否を判断してよいのか、それとも複数の指標の達成状況を組み合わせたヘッドライン指標を作って判断するのかといった議論)

4. 解説文の取り扱い(愛知ターゲットの解説文は、COP10前の第14回のSBSTTA後に修正し、COP10の成果を踏まえて修正し、指標に関する専門家会議を踏まえて修正してきました。いくつかの国が現状の解釈について意見があるようで、この取り扱いをどうするかという議論がありました)
 

<生態学的復元について>

にわかに注目を集め、特に、愛知ターゲットの14、15に関係があるとして、国際生態学的復元協会(International Society of Ecological Restoration)が大きく協力する形で、今回のSBSTTAで議論の対象となりました。

COP11では、生態学的復元を進める手法、または、ガイダンスの採択をめざすこととなっています。

用語については、言葉が乱立している感があり、degradation(劣化)や、restorationとrehabilitationの違い、サイドイベントでは、restorationの一環として、野生生物のreestablishment(再定着?)という言葉も出て、整理と定義付けが課題となりそうです。

土地利用計画などの大枠の中で復元を考えないと長期的には復元は達成しないという意見(コロンビア)や、自然災害の緩和(タイ)、貧困改善や生活の質向上の文脈における生態学的復元の重要性(南アフリカ)、気候変動という文脈での重要性などが指摘されました。上流域/下流域との連携を考えないと意味がないため国際協力を入れたい(バングラデシュ)といった意見なども出ました。

フィリピンは、生態学的復元という名で行なわれている事業の多くが、植林それも単一樹種の植林だったりすることがあり、特に熱帯雨林における事業では、注意が必要という大事な指摘をしました。さらに、「海洋も含めた、構成生物学によるBiomedicationに懸念を抱いている」という発言をしました。おそらく、「ハブ退治のためにマングースを放つ」に近い生物を人工的に生態系に投入することで環境改善を図ろうという動きがあるのかもしれません。このようなよく分からない事業は、とかく途上国が実験場のようにされることが多いのです。

IUCNは、生態学的復元そのものの重要性に大きく賛同し、保護地域における生態学的復元の優良事例をまとめたガイドラインを2012年に発行することを紹介しました。一方で、「生態系悪化のそもそもの原因に取組んだ上で、生態学的復元に取組むという順序を決して忘れてはいけない」という釘止しもしっかりしました。
 

<外来種に関して>

主として、生物多様性条約外の国際条約やルールに関して、いかに生物多様性条約が役割を果たすかという論点があります。

いずれも名目上は「施設内利用」すなわち野外に放逐しないことを想定したルールではありますが、外来種の侵入経路として大きな問題となっています。また、これらの国際ルールには生物多様性条約が大事にしている基本原則の一つ「予防原則」が必ずしも明記されていないことも課題の一つです。

また、愛知ターゲットの9に基づき外来種の侵入経路の特定をどのように進めるかという論点もあります。特に島嶼国の関心が非常に高く、これまで発言のほとんどなかったセントルシアや、東ティモールなども発言をしています。

icon_douke.jpgモントリオールより、保全研究部の道家です。

これから何回かに分けて生物多様性条約第15回科学技術助言補助機関会合(SBSTTA-15)の報告をします。

11月7日、COP11までに2回ある内の1回目のSBSTTA-15が始まりました。会合の全体会議は朝10時からですが、NGOを始め、多くの参加者は各地域・セクターごとの会合に参加をするために、朝9時には会場に入り、自己紹介とこのNGO会議の位置付け、CBDアライアンスやECOの紹介、初日のステイトメントについて共有しました。

全体会議の午前のセッションでは、オープニング、地球規模分類学イニシアチブ(略してGTI)の素案に対するコメントを受け付け、午後はその続きと愛知ターゲットに対する意見を受け付けました。

今回のSBSTTA-15の議長は、ボスニア・ヘルツェゴビナ出身の女性の方で、初めてSBSTTAで女性の議長が選出され、大きな歓声が出ておりました。オープニングでは、UNEPのディレクターのカルロス氏やドイツの環境大臣、ジョグラフ事務局長がステイトメントやビデオレターを紹介しました。

この3氏の発表で共通していることは、愛知ターゲットの重要性の強調です。ジョグラフ事務局長は、"愛知ターゲットは、生物多様性条約の戦略計画ではなく、20にわたる生物多様性に関する戦略計画です"と話し、生物多様性の損失に歯止めを掛けるために全世界で動かなければならないことを強調されていました。

また、"現段階で8各国が愛知ターゲットに基づいて生物多様性国家戦略の改定を行なった。COP11ではもっと多くの国が国家戦略の改定を報告してほしい。また、既に、戦略計画を合意してから、1年が経っています。計画や行動などを先送りにすることは許されない"、と各締約国に行動を促しました。

GTIに関しては多くの国が、キャパシティービルディング(能力開発)が必要なことを提案ました。途上国を中心に、そのための経済的な支援が必要、という発言も多く聞かれました。

icon_douke.jpgこんにちは。モントリオールで生物多様性条約の会合に出席中の保全研究部の道家です。

生物多様性条約のSBSTTA(科学技術助言補助機関)の会合開催を控え、8条(j)の会議よりも多くのNGOがモントリオールに駆けつけているようです。11月6日の日曜日も休みではなく、生物多様性条約における市民セクターのとりまとめ役であるCBDアライアンスの運営会議(Board meeting)とNGOの戦略会議が開かれました。モントリオールは朝晩とても冷えていますが、NGOの議論はとても熱いです!

<CBDアライアンス運営会議>
午前はCBDアライアンスの運営会議でした。

CBDアライアンスは、COP6(2002年、オランダのデンハークで開催)で、アライアンスの設立に向けた動きが始まり、もうすぐ10年を迎えます。その運営会議は、各地域(北アメリカ、アフリカ、アジアと言った地域区分)から1~2名の運営委員(Board member)と前後のCOP開催国(現在は、日本とインド)から代表がでて、市民社会が生物多様性条約の交渉プロセスで効果的に影響を及ぼし、発言できるようにするための方針などを検討します。

今回は従来行ってきた条約関連の会議(締約国会議や今回のSBSTTAなど)だけではなく、RIO+20や名古屋議定書に関する政府間会合などでも、ニュースレターの『ECO』を作ってNGOからの意見のインプットを行うといった事業方針をまとめました。経済危機による助成金の減少とその有効活用について、支援先(Swedbioという団体)からの助成事業評価なども受ける予定です。

<NGO戦略会議>
午後はCBDアライアンス主催のNGO戦略会議でした。

NGO戦略会議は、生物多様性条約事務局のニール・プラット氏(NGO窓口)を招いての意見交換や、SBSTTAで議論される議題の注目ポイント(保全を進める上で大事な点、NGOとして注意や主張をしなければならない点、政府間での対立の大きそうな論点/争点)を皆で共有するためのものです。

大きな議題である戦略計画(愛知ターゲット)については、道家から解説を行ないました。

今回は、愛知ターゲットの解釈(テクニカルレショナーレ)、指標などを検討する予定です。注目ポイントとしては、世界共通の解釈をちゃんと作れるか(かつ、より意欲的な文言の解釈を採用できるか)、多様な指標を合意できるか(たとえば、目標3の生物多様性に悪影響を及ぼす補助金の削除につながる指標を合意できるか)などが大事なところだと思います。

指標を定めたとして、それをどの数字まで伸ばしていくかということも大事です。例えば、普及啓発に関して「生物多様性という言葉を聞いたことがある人の割合」という指標を作用したとして、それを2020年までに5割とするのか10割とするのかといった議論です。
それについては、今回のSBSTTAと次回のSBSTTAおよび条約の実施とレビューに関する作業部会(WGRI)でまとめ、COP11にて正式に決定する予定です。

その他、生態学的復元(restoration)、外来種などのテーマについて注目点を共有しました。


icon_douke.jpg再び、モントリオールより保全研究部の道家です。

3日木曜日の午前は、生物多様性条約事務局のデビット、オスカー、アン、林美沙樹さんたち
国連生物多様性の10年(UNDB)チームと会合を持ちました。

私から、にじゅうまるプロジェクトやCEPAジャパンの活動を紹介しました。
愛知ターゲットを活動に置き換えていくということの難しさは、モントリオールにある生物多様性条約事務局でも実感されているそうです。
NGOの現場の活動を通じて、愛知ターゲットを行動に翻訳して活動宣言するという「にじゅうまるプロジェクト」のアプローチについては大変よいアイデア、という評価を貰いました。

CEPAジャパンが進めているCEPA Toolkitの翻訳などについても、英語版の写真を提供するというコメントです。
そして、どんどん日本の優良事例を追加していってほしいというアドバイスも頂きました。

条約事務局の国連生物多様性の10年チームには、現在、日本から林さんという学生さんがインターンとして活動しています。
林さんからは、国連生物多様10年のロゴの活用やパートナーシップへの登録に関心がある方をどんどん手伝って、参加を勧めたいということでした。



icon_douke.jpgこんにちは。保全研究部の道家です。

日本自然保護協会が事務局を務める国際自然保護連合(IUCN)日本委員会のプロジェクトである「にじゅうまるプロジェクト」。
その、にじゅうまるプロジェクトの活動のひとつに、国際連携事業があります。

この事業は、
1.世界のNGOなどに愛知ターゲットを忘れさせない、重要性を意識してもらうための活動、
2.海外動向の恒常的把握のための情報収集活動、
3.にじゅうまる的な活動を世界中で進めるための提言活動
などを目指したものです。

今回はその一環で、カナダ・モントリオールで開催されている
「生物多様性条約の伝統的知識に関する作業部会」
(関連する条文から、通称 8(J)作業部会と呼ばれます)と、
「第15回科学技術助言補助機関会合」(SBSTTAサブスタと呼ばれます)
に参加し、
会議の成果や条約事務局との会合やNGOとの情報共有などを報告したいと思います。

カナダと日本の時差はマイナス13時間。
(今週日曜日から、サマータイムが終わるので、マイナス14時間)
なので、報告が少し前後するかもしれませんが、どうぞよろしくお願いします。

1  2  3  4  5  6  7

Twitter