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クロマグロは資源管理ができているので大丈夫?!

2014.11.18
活動報告

icon_douke.jpg保護。研究部の道家です。

 
IUCNレッドリストの更新で太平洋クロマグロやアメリカウナギが絶滅危惧種に指定された、
という報道を昨夜から今朝にかけて見かけられた方も多いと思います。
 

 


20141118maguro.jpg
 
太平洋クロマグロについて、水産庁が「資源管理できているというので大丈夫」
というのをそのまま引用しているメディアを多く見ました(全部見ている訳ではないですが)。
 
しかし、勝川俊雄先生(三重大学 生物資源学部 准教授)のブログにある通り、
「幼魚だけを制限する」というのが水産庁のいう「資源管理」だとすると、私は疑問が残ります。
http://blogos.com/article/98229/
 
幼魚の漁獲は確かに問題で、それはIUCNレッドリストでも指摘されているのですが、
絶滅危惧種なのに、幼魚だけ規制すればいいのか、すぐに産卵できる成魚をもっと残せば
資源回復は早いのではないかという素朴な疑問(真っ当な疑問と思うのですが)と、
1魚種の中である特定の年齢層だけを漁獲することに問題はないのかという疑問が湧いてきます。
 
 
水産庁のプレスリリースの中で、下記の資料が読めます。
http://www.jfa.maff.go.jp/j/press/sigen/140516.html
●太平洋クロマグロ産卵場調査結果について
http://www.jfa.maff.go.jp/j/press/sigen/pdf/tenpfail140514.pdf
 
地図を見ると日本近海が主要なクロマグロの産卵場です。
 
…ということは、日本近海のクロマグロは、時期にもよるでしょうが、
これから卵を産みますよとか、産むための栄養ためてますよという、
クロマグロの可能性が高いのです。
 
今回のIUCNのプレスリリースの中で、重要な指摘があります。
 
Existing marine protected areas do not provide sufficient protection for the species. The expansion of marine protected areas, within 200 miles of the coast and incorporating breeding areas, could help conserve the species, according to IUCN experts. 
 
(仮訳:既存の海洋保護区は、十分な保護策であるとはいえません。
IUCNの専門家によると、海岸から200マイル(訳注:排他的経済水域)の中に、繁殖地を含める形で、海洋保護区を拡大することが、種の保全に役立つ。)
 
持続可能性を考えたら、ますます海洋保護区や漁獲制限など、いろいろな保護手法を講じて、
マグロたちの繁殖を支えなければならないでしょう。
 
 
既に、大西洋クロマグロ(EN)、ミナミマグロ(CR)、メバチマグロ(VU) が絶滅危惧種になっているので、
太平洋クロマグロ(VU)のリスト入りでマグロ類はこれで4種が危惧種になってしまいました。
 
 
日本の本気度でマグロの未来は全く変わるのではないでしょうか。
 

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