2008年5月アーカイブ

レポート2で紹介しましたが、今回は25コースのエクスカーションが用意されています。その多くが24日/25日に集中しました。昨日紹介したように、結局土日も議論することになったテーマもあるので、政府関係者の中には泣く泣く、エクスカーションの予約をキャンセルされた方もおられるようです。

エクスカーションは、土曜日の夕方2〜3時間をかけて行われるものから、2日かけてワッデン海の干潟を見に行くコースまで多彩です。全部説明すると長くなるので、ほんの一部紹介します。

私が土曜日に参加したのは、ドイツ自然保護リーグが主催する、両生・は虫類のモニタリングプロジェクト紹介のエクスカーションです。

ドイツは、稲作などは行いませんので、両生類が生活できるような水環境が少なく、そのため両生類の多くが絶滅危惧種のようです。このモニタリングプロジェクトは、自然のため池3つに人口のため池2つの計5つの大小の池に生息するカエルやトカゲのため池間の移動の様子を10年かけて調査しているようです。

このような調査で、「ため池間のカエルの移動を確保するためには、どの程度の距離が必要か」ということが分かり、ビオトープを新しくつくるときの参考になるようです。
今後は、ため池間の遺伝的多様性の調査に取り組むとか。

普通、エクスカーションというと美しい風景のところに行くなど、観光気分のものが多いのですが、まるで研究プロジェクトの紹介で、これぞ、CBDのエクスカーションといえるものでした。

198cbd13.jpg

common toad


199cbd14.jpg

alpine newtの雌雄の識別方法も


200cbd15.jpg

解説資料もグラフです

(保全研究部 道家)

CBD/COP9レポート12 折り返し


5月23日。
やっとCOP9の折り返しの日です。作業部会やコンタクトグループなど様々なところでCOP9での決議案を議論してきました。保護地域、予算、農業と生物多様性(バイオ燃料含む)、ABSなどは、土日も続けて議論することが夕方5時から始まった本会議で報告されました。

ところで、今日の夕方は日本人同士の食事会を催しました。政府の人もNGOの人も参加して、リラックスムードです。おそらく、政府は20〜30名、NGOは15名前後が現在ボンにいます。私の把握している限りでは、さらに15名前後の方が来週ボンにいらっしゃる予定です。

ここまで日本人が参加するのは、CBDの歴史上初めてではないでしょうか。COP10にむけて、実際COPの様子を経験した人が増えるのはよいことです。

197cbd12.jpg

(保全研究部 道家)

5月22日。
皆さん、5月22日は「国際生物多様性の日」です。これは、16年前の今日、この生物多様性条約の本文が、長い長い交渉の末に生まれたことを記念して作られました。

毎年テーマを決めて、生物多様性の重要性などを一斉に普及する機会とされています。例えば昨年は「生物多様性と気候変動」でしたが、今年は「生物多様性と農業」です。

なぜ、農業なのか?それについてはいろいろな理由があるのですが、一つには今年は国連が定めた「国際ジャガイモ年」だからです。大航海時代にヨーロッパに伝わったジャガイモは、比較的容易に栽培でき、炭水化物として貴重な栄養源であり、貧困問題の解決に取り組む国際社会で改めてその価値を再確認しようというのがこの「国際ジャガイモ年」の趣旨です。

なぜここまでくどく説明するかというと2010年が、「国際生物多様性年」だからです。つまり、ジャガイモ年だから生物多様性条約事務局が農業と生物多様性というテーマを定めたように、2010年にはあらゆる国連機関や団体が「生物多様性」をそれぞれの活動を通じて盛り上げていくことになるのです。

国際生物多様性年の一連の普及啓発活動は1月1日から始まります。そして毎日どこかで、様々な主体によって、生物多様性保全に対する認識を高められていき、そして、日本で開催されるCOP10を迎えるというのが、CBDの戦略の一つなのです。

(保全研究部 道家)

5月21日。
気候変動枠組条約の会議では、NGOが「化石賞」という賞を作って、政府へのプレッシャーをかけるPRイベントが有名です。簡潔に言えば、温暖化防止のための様々な交渉過程で、最も後ろ向きの政府を名指しして批判するというものです。2007年の12月にインドネシアのバリで行われた第13回気候変動枠組条約会議では、日本が化石賞1位から3位までを独占したと報道されたのは記憶に新しいところです。

生物多様性条約のある分野で、同様の活動が行われています。それが、「バイオパイラシー」という領域です。バイオパイラシーとは、生物資源に対する略奪行為といったような言葉で(パイレーツ=海賊)、生物多様性条約は、遺伝資源は「(共有財産ではなく)原産国に主権がある」ことを明記しています。

例えば、ある製薬会社が、生物種の多様な発展途上国からサンプルを持ち出して、その遺伝子情報や科学成分から医薬品を開発し利益を独占するというのは、生物多様性条約の趣旨に反するものとされています。これが、条約の3つの目的のうちの一つ「遺伝資源から得られる利益の衡平公正な配分」というものに深く関わってくるのです。

写真は、海賊に扮したNGOが、マリティムホテルロビーで生物資源の略奪行為をしている多国籍企業を批判しているところで、これが、COPの恒例のイベントとなりつつあるようです。もちろん大変深刻な問題ですが、「(噂の)キャプレンフックにあえた!」と感激して写真を撮る方も多くいました。

196CBD10.jpg

キャプテンフックの仮装をするNGO

(保全研究部 道家)

20日(火)。初日に行われた共同議長選出や議題の採択を受け、二つの分科会に分かれて、多くの議題を取り扱っていきます。しかし、会議の最初は、各国の一般意見表明(general remark)が多いのが現状です。しかし、バイオ燃料も扱う農業生物多様性や、遺伝子組み換え樹木が焦点となっている森林生物多様性などは、多くの国から意見表明があって、翌日に持ち越されました。

サイドイベントも会場以外でも多く行われています。私が印象的だったのは、地球の友のドイツのパートナー団体であるBUNDの活動紹介です。紹介されたプロジェクト名は「グリーンベルト」。グリーンベルトは、東西対立の象徴であり「鉄のカーテン」あるいは「デスライン」と呼ばれた地域を緑地帯やビオトープにかえるという事業で、2005年に始まりました。ドイツの人にとっては、特に思い入れの強いプロジェクトのようです。

ベルリンの壁を巡る悲劇は、年配の方には忘れがたく、さりながら、忘れたい、いや忘れてはいけないという複雑な記憶です。ドイツを真っ二つに引き裂いた地帯が、ドイツの文化的な景観や野生動物の生命線として生まれ変わるというのは、日本人の私には想像もつかないほど、大きな出来事のようです。

194cbd9.jpg

グリーンベルトを紹介するパワーポイント


195cbd9.jpg

BUNDのもう一つのコリドー計画[wild cat]の主役の野生のネコ

(保全研究部 道家)

19日。ボン市は晴天となり、2週間に及ぶCOP9の会議初日を迎えました。

NGOも本格的に活動を開始しています。会場周辺では、様々なブースも展開し、記者会見も開かれています。土日に集中して作り上げた市民団体のCOP9への要望書も発表されました。

マリティムホテルの本会議場で、開会のセレモニーや議題の採択などが行われました。
グリーンピースキッズや若者がまとめた意見書(若者グループ、ユースは事前会議であるBiodiversity on the Edgeを開催して文書を用意しました)なども発表され、バイオ燃料のモラトリアム(一時利用停止)を提言すると会場からはひときわ大きい拍手が送られました。

今回の会議は、2010年目標のためのプロセスの決定や、農業生物多様性、森林生物多様性などが議論される予定です。

191cbd8.jpg

ユースからの発表(A SEED Japanからきた日本の青年も舞台に上がりました)


192cbd8.jpg

本会議オープニングセレモニー COP9のテーマソング
I'm part of it(私たちも自然の一部)の演奏風景


193cbd8.jpg

夜(こちらは10時くらいまで明るいです)の歓迎式典

(保全研究部 道家)

先日のカルタヘナ議定書会議の結末です。どうやら、最終日に入り、NGOのチラシの効果もあったのか、日本政府の態度も軟化し、「責任と救済」に関する法的拘束力を持った国際体制を構築することが合意されました。2010年の構築をめざし、今後2年回にわたって数回交渉を重ねていくことが決まり、日本政府もその会議に資金提供をすること約束しました。そのことはおおむね好意的に受け取られたようです。

他方、NGOとしてはNGO側の圧力が日本の態度軟化という成果を出せてよかったと思う反面、数日で態度をひっくり返すなど、日本政府が結局何をしたかったのかよく分からないという意見もあります。
 
さて、日曜日は、COP9前日ということもあり少しずつイベントが始まりだしました。(ですが私はNGOの戦略会議を中心に出ています)

ナチュラスロン(自然・ネイチャーとトライアスロンを一緒にした造語)という、10kmのマラソン大会が開かれました。セレモニーに出席したジョグラフ事務局長に声をかけられ、「日本でも(COP10のときに)やってみてはどうか」と言われました。ちなみに、ドイツでは、ナチュラスロンが実は今回4回目にあたり、COP9が決まった2006年より前からの蓄積があるイベントです。

188cbd7.jpg

ECのブースで遊ぶ地元の子供


189cbd7.jpg

ナチュラスロンのセレモニーで話すジョグラフ事務局長


190cbd7.jpg

出発の合図を待つナチュラスロン参加者

(保全研究部 道家)

さて、土曜日となりました。ローマの休日ならぬ、ボンの休日を紹介したいと思いますが、実は、COPともなると事前の勉強会や戦略会議が休みなく行われます。エクスカーションやボン市の視察(?)は別のスタッフに任せて、私は土曜日もNGO準備会合に出席しました。

まずは、参加者の自己紹介と関心事項や訴えたい事柄の紹介から始まります(写真)。メディア向けの戦略会議や、各テーマごとに集まって、会議資料の分析や主張すべきポイントなどの吟味を行いました。
この作業は1日で終わるものでもなく、論点整理→文章化→文案の再調整(日曜日)→プレゼンターの指名およびロビー活動役割分担(日曜日)など、長い時間をかけます。

185cbd6.jpg

186cbd6.jpg


国際会議ともなると、セッションごとで、ファシリテータ役を買って出る人、書記などがどんどん決まり、意見集約のためのいろいろな議論の技術が肌で体感できますので、それだけでも刺激となります。


187cbd6.jpg

休日の風景が何もないのはいけませんので一つ。
ドイツの季節の風物詩ホワイトアスパラガス・オランダ風ソースです。(ドイツ語では、シュパーゲルといいます)

(保全研究部 道家)

CBD/COP9レポート5  CBD CBD

生物多様性条約は、内容も多岐にわたる条約で、締約国会議には世界中から人々が集まってくる会議です。当然といえばそうですが、回を重ねるにつれ内容もどんどん専門的になって、初めて会議に来る人の多くは戸惑ってしまうことが多い現状にあります。

そこで、ホスト国のドイツのNGO(詳しくは、欧州CBDレポートをご覧ください)は、COP9の開催前日である16日(金曜日)にCOP初心者のためにガイダンスを提供することにしました。

そのイベントのタイトルが、このレポートのタイトルであるCBD CBD(Convention on Biological Diversity Capacity Building Day)です。

ここでは、生物多様性条約とはどんな条約かNGOはどんな役割を持っているか、どうやって条約の交渉に働きかけていくかということを、これまでCOPに参加したNGOの実体験を通して参加者に理解してもらうということが1日かけて行われました。NGO参加者のためのこういったイベントが開かれるのは、COPの歴史を通じてはじめてのことです。

参加者の反応は上々。どうやら、日本でCOP10が開催する際にも、同じようなイベントを行うことが期待されているようです。

183cbd5.jpg

COPにおける自分の体験を話すジェシカさん


184cbd5.jpg

参加者も必死に質問

(保全研究部 道家)

カルタヘナ議定書会議の様子について、少し前後関係がわかりましたので、報告します。

今回のカルタヘナ議定書会議は、liability and redress(責任と救済)について成果を出す会議でした。「責任と救済」とは、遺伝子組み換え生物の規制について必要なPrevention:防止、precaution:予防と並ぶ、3本柱のひとつです。

もう少し説明をします。遺伝子組み換え生物(GMO)の利用は何らかの形で、危険を伴うものです。そこで、まずはその危険を減らすなどpreventionが行われ、危機が予測できない場合は使わない、あるいは強い規制をかけるなどのprecaution、どうしても、被害が起きた場合は、組み替え技術の提供者が生態系の復元や賠償などを提供するなどの責任を果たすliabilityというのが、GMOを巡る枠組みです。

さて、国際交渉では、非合理的な発言をし、かつ主張を変えないというのが最も非難される態度です。国益などの合理性があれば、知恵を出しあってなんとか合意の道を探るというものですが、今回、日本はGMOについて有数の輸入を行っている国であるのに、輸出する側の責任をできる限り弱めることに終始し、主張を変えないというのが批難の点です。

例えば、「国内法で承認されたGMOについては、提供者の責任を問うべきではない」というのが日本の主張です。しかし、法制度で承認されていても予期せぬ被害が起きるのが、GMOをめぐる問題なので、それはおかしいとNGOは主張しています。また、GMの被害国の多くが発展途上国ですので、発展途上国のおおくがカルタヘナ体制の強化を主張してますから、そこからも日本の態度は批難が出ています。

カルタヘナ議定書は主に経産省が担当となって進めてきました。

もちろん、COP10のホストになることを主張しているのに、合意に向けた努力を少しも見せようとしないことも輪をかけて問題視される理由となっているようです。

(保全研究部 道家)

意気揚々と出かけた出張初日。本来であれば、来週からの本会議はこんなに盛り上がっていますという報告をしたかったのですが、そんな悠長なことはしていられない状況にありました。

なんと「日本:敵対的ホスト国」「(COP10を開催するなら)名古屋以外ならどこでもいいよ」というチラシをNGOが配っているのです。(写真)

生物多様性条約の締約国会議は本会議(2週間)の前に、かならず、カルタヘナ議定書会議を1週間行います。カルタヘナ議定書とは、生物多様性条約のもとで作られた、遺伝子組み換え生物(Genetically modified organism:GMO)の取引規制に関する国際協定です。

話を聞くと、このカルタヘナ議定書会議の会合で、日本政府がことごとく議定書の強化につながる提案を邪魔しているというのです。NGOの主張はきわめて厳しいものとなっています。配布されている声明文を見ると

「締約国のホストになるということは(中略)すべての声を聞き、共通の土台に向けて人々を導いていくことが求められる。日本はその力がないことを完全に証明した。最初の日からあらゆる要素の交渉を妨害(ブロック)した。日本は、強いカルタヘナ議定書には興味がないらしい。逆に、弱体化させることに積極的に働いている」

といった具合で大変厳しいものです。これまでずっとカルタヘナ議定書会議に参加してきたNGOも「こんな日本の態度は初めて見た」と怒りを露にしていました。CBD加盟国や研究者、NGOなど、この議定書会議に参加したすべての人々が、日本への不信感をもっているようです。

こちらより「生物安全保障のリーダーシップに関する声明」詳細(ワードファイル)をダウンロードできます

182cbd3.jpg

(保全研究部 道家)

まもなく5月22日!

5月22日は何の日がご存知ですか?
『国際生物多様性の日』なのです。
1992年に生物多様性条約が採択されたその日を記念して、のちに国連で定めた記念日です。
この日は、世界各地で生物多様性の大切さを広める取り組みをしています。
教育普及部でも、この日をきっかけに、生物多様性の大切さを広めてもらおうと、シートを作りました。
会員専用ページからダウンロードできます。
みなさんに活用していただけたらうれしいです。

5月22日、生物多様性のことをちょっと考えてみませんか?

181_5_22.jpg

(教育普及部・本間)

長いフライトの末、無事にボン市に到着しました。サマータイムを入れると日本との時差−7時間のここボン市は、COP9の開催によって街全体が、COP9一色となっています。

さて、まずは簡単に、今回の会議の概要を紹介します。会議の正式名称は生物多様性条約第9回締約国会議といい、英語の頭文字をとってCBD/COP9と略します。
有名な気候変動枠組条約(温暖化防止条約と呼ぶ人もいます)と一緒に、地球サミットで生まれた条約です。現在は2年に1度、条約加盟国による会議が開催されており、その第9回目にあたります。

*条約について詳しく知りたい方は、指導員徒然草特別号生物多様性条約編(会員専用ページ)をご覧ください。

さて、どの程度の規模の会議なのかを想像してもらうため、いくつか数字をご紹介します。
会議三週間前の段階での登録者数ですが、4355名となっており、メディアが25カ国から493名、閣僚(大臣)参加者が101名、首相3名が参加することが報告されています。

公式ガイドブックによると、多種多彩なイベントが開催されることになっています。
その数、公式イベントは32、展示イベントは12、エクスカーション25コース。

数字だけ見ても大規模な会議、当然、全部に参加することは不可能ですから、ポイントを絞った報告をしていきたいと思います。

180cbd2.jpg

インターネットで、ドイツにいる道家とNACS-J事務所(東京)にいるスタッフが、
顔を見ながら会話できる時代になりました

(保全研究部 道家)

国際担当の道家です。
毎度突然ですが、今日からドイツのボン市で開催される生物多様性条約第九回締約国会議に出席するため、現在成田空港にいます。
会議は来週月曜日から月末まで続き、事務局日誌でも何度も取り上げた第十回締約国会議COP10の日本開催が正式に決まる予定です。
今日から会議や海外NGOの活動の様子をレポートしていきたいと思います。
それではみなさん、行ってきます。 (5/14)

178cbd1.jpg

(保全研究部 道家哲平 )

昨年に引き続き、今年も、新宿御苑でのみどりフェスタ(環境省主唱・4/29)にて、ネイチュア・フィーリングをすすめる会のみなさんといっしょに、ネイチュア・フィーリング観察会を実施しました。
今年は天気もよく、大勢の方が参加してくださいました。
春の半日をゆっくり、じっくり、自然観察をして楽しみました。

176NF1.jpg

177NF2.jpg

今年のネイチャーフィーリング観察会には、例年より多い約80名もの人が参加してくれました。


178NACOT.jpg

午後は、東京連絡会(NACOT)の観察会にも参加しました。
御苑は、アマナとハンカチノキが見頃です。

(教育普及部 本間)

Twitter