2007年9月アーカイブ

会議のプログラムでは最終日の9月14日はエクスカーション(視察旅行)の日とされています。
9月2日にカトマンズ市内で爆弾テロ事件があったことから、現地の治安情勢をにらみながら、カトマンズより東に35キロほどいったナガルコットというヒマラヤ山系を360度一望できる丘とバクタプル(3日目の夜にネパールの地域の踊りを見せてくれた旧王宮。文化遺産)を訪れました。
あいにく当日は曇りで、ナガルコットからは何も見えなかったので、バクタプルを中心に報告します。


男性のための女性のお祭り「ティージ」

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まずは写真をご覧ください。紅い華やかな民族衣装を着た人が大勢詰め掛けているのが分かります。この日(14日)は「ティージ」と呼ばれる女性の祭りの日でした。この日は女性のみお休みの日となっていて、シバ神を祭る寺院に紅いサリー・紅い装飾品を見に着けて参詣に行くことになっています。しかしながら、この日は絶食(水も基本的に駄目だそうです)し、既婚者であれば夫の健康と繁栄を、独身であればボーイフレンドや未来の夫の健康や繁栄を祈るそうです。ネパールの男性は幸せですね。


文化遺産:バクタプル 文化の違いを考える

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このバクタプルという場所は、旧王朝があったところで、都市として開けたのが900年前後で、13世紀建築物から18世紀建築物が立ち並ぶ地域です。カトマンズは、このバクタプルをはじめ7つの寺院・宗教建造物を含む「カトマンズ盆地」という名称で世界遺産(文化遺産)となっており、かつ、危機遺産にも指定されているところです。数百年も前に建築された建物のなかで当たり前のように人が生活を営んでいるのですから、生活から切り離された観光地が多い日本の文化遺産都と比較して考えてみると驚きを隠せません。

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(保全研究部・道家)

 日本の場合だと、最初に挨拶や会の趣旨説明、次に基調講演があり、その後2つ3つ事例発表(あるいは、パネルディスカッション)が行われ、最後に質疑応答があるというのが典型的な会議ではないでしょうか。時間がおして、質疑応答の時間がなくなってしまうという経験をされる方もあるでしょう。

違いその1.質疑応答の時間が長い 
 国際会議では、時には、発表時間15分、質疑応答15分という時間配分もよくあります。フロアーから質問を受け付けると同時に意見・コメントも受け付けます。フロアー同士での議論が始まることもあります。これは大事なポイントを示唆しているのですが、一方通行のコミュニケーションで解決する問題(例:温暖化防止のために、省エネしましょう)と、双方向のコミュニケーションで解決する問題(例:21世紀の自然保護とは何かを模索する)は、はっきり分けなければならないということなのです。
 これから、皆さんが勉強会などを企画する際には、「問題の質」にあわせて質問や意見の時間を工夫してみてはどうでしょうか。

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違いその2.休憩時間が長い
 20分から30分のお茶の時間をとります。このティータイムは、人のネットワークを作る時間になります。なにせ、何時間もかけて世界中から集まるのです。旧交を温めることも重要ですし、新しい人々との会話が重要な意味を持ってきます。
 会議の後の懇親会もよいですが、食べることもしなければいけないので、意外に話せる範囲が限られているのです。

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違いその3.ワークショップはKJ法だけではない
 日本でワークショップというと要点を紙に書いてはりつけていくKJ法がよく使われますが、セッション6ではカルーセル(回転式)という手法が行われました。これは広い会場に複数のテーブルを作り、参加者が順繰りに移動して、テーブルごとに設定されたテーマを議論していきます。移動するたびに、これまでのグループが何を話したか、それについて追加や反論、補足があるかと意見を積み重ねていくのです。
 また、そのテーブルに常駐するスタッフには、テーマに直接深く関る仕事をする人材が配置され、ワークショップの結果が明日からの自身の仕事に役立つようになっています。

(保全研究部 道家)

国際会議に参加する人間が感謝を忘れてはいけないことのひとつに、地元開催国や団体の「ホスピタリティー」(もてなしの心)があります。世界各国から人々が集まるとあっては、よい思い出を持って帰っていただきたいと願うもので、会議の夜には工夫を凝らしたイベントが開催されます。珍しく今回の会議は、3夜連続で、さまざまな主体がおもてなしくださいました。

初日の夜は、ネパールの森林土壌保全省主催の歓迎の食事会です。ホテルのプール横を使い、盛大な立食の場が設けられました。

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2日目の夜は、ネパール国内委員会による、夜の動物園散策(ナイト・ズー)です。

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3日目の夜は、ネパール観光協会主催で、文化遺産の構成要素のひとつであるバクタプール・ダルバール広場を貸しきり、ネパール各地の民族舞踊を披露してくれました。ネパールには60以上の少数民族と90以上の言語があり(絶滅危惧文化と表現されることも)、踊りはグループのアイデンティティーのひとつになるのでしょう。サダーナ・カラ・ケンドラという音楽学校が丹念に各地の踊りを継承しようと努力されているそうです。

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(保全研究部 道家)

■ セッション5 持続可能性を確かなものにする際の「民間部門」の役割

IUCNが企業との連携というものを真剣に考えるようになったのは1996年からで、世界自然保護会議での決議から始まりました。今後4年間の目標としては「できるだけ多くの企業にCSRの考え方を導入させること」「生態系の価値を企業の操業の現場や計画立案のなかで、考慮させること」を考えています。フロアーから多くのコメントや事例紹介が行われました。

 話を聞く限り、日本だけでなく世界各地で企業の自然保護への関心は高まっている傾向にあるようです。
 ただし、「NGO支援」を企業のイメージ戦略として利用したいためにNGOに声をかける事例や大きな自然破壊の事業活動を小さな環境への貢献で隠そうとする事例などについて懸念の声が上がりました。ちなみにこういうこと種類の事例を英語で「green wash」と表現するようです(「緑の活動」で、自分の汚点を洗い流すというニュアンスでしょうか)。

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(保全研究部 道家)

■セッション4 開発に関する新たなモデル

 このセッションは、IUCNの地域理事である赤尾信敏氏からの解説で始まりました。赤尾氏からは、日本の「もったいない」という言葉の紹介や「3R (Reduce, Reuse, Recycleの頭文字)」などの紹介があり、急速な経済発展を見せるアジア地域はことさら、20世紀型でない「発展」とは何かを考える必要があるとして、セッションが開かれました。

 特に私が印象に残ったのは、GNP国民総生産ではなく、「国民総幸福Gross National Happiness (GNH)」を指標として提案しているブータンからの報告です。最近注目されているため、ご存知の方もいるかもしれませんが、GNHという国の発展の指標は、ある意味ではきわめてシンプルな考えです。つまり、国の発展を「どれだけの生産が行われたか」ではなく、「どれだけの幸福を生み出したか」で測るのです。

 もう一つ初めて知る事例が紹介されました。タイの事例です。タイは、1997年に非常に深刻な経済危機に見舞われました。その後、新しい経済に関する哲学が国王から提案されたのです。英語でsufficient economy philosophyと表現するもので、やや乱暴に日本語に訳せば「足るを知る経済哲学」とでもなるでしょうか。中国やインドのような「アジアの虎」と呼ばれなくてよい、極端な政策をさけて、平和や自由という価値を尊重する社会を目指そうという提案をタイ国王陛下がされているということです。
 日本でよく使われる「環境と経済の調和」という言葉よりもずっと魅力的な響きを持っているように思います。

 開発ということを考えるときに経済をおいて議論はできません。では、その経済部門はどうあるべきか、それがセッション5のテーマです。

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日本の事情を紹介しているところ

(保全研究部 道家)

会議2日目です。会場となっているホテルに缶詰にされたまま、朝から晩まで、さまざまなプレゼンテーションや議論を行っています。

今日は、1時間半から2時間程度のセッションが4つ行われました。
ポイントを紹介します。


■セッション2 プログラム・セッション

 ここでは、IUCN(国際自然保護連合)の4カ年計画(2009−2012)について、グローバルな計画とアジア地域の計画の素案が参加者に説明されて、会場からのコメントが求められました。
 この4カ年計画は、IUCNやアジア地域事務所が集中的に取り組む「優先度」を定めるものです。アジア地域フォーラムもそうですが、世界各地でこのような地域会合を開き、地域の声を可能な限り拾い上げて、IUCNの今後4年間の方向性を考えていくのです。
 計画のサブタイトルは、いまのところ、「持続可能な未来を形作るshaping the sustainable future」とされています。アジア地域では、「気候変動」と「水」を優先課題とする案が説明されました。


■セッション3 「持続可能性」の未来

 このセッションでは、「持続可能な開発Sustainable Development」概念を改めて見直すことがメインテーマとなりました。SDの概念は1980年の世界自然保護戦略によってIUCNが提案し、日本政府の提案で始まったブルトラント委員会の報告書で一躍有名になった概念です。
 日本においては一昔前には、持続可能とは「開発事業をずっと続けること」という馬鹿げた解釈もされたそうですが、IUCNはこのSDという概念をそろそろ使うことを止めようと考えているように、個人的には思います。
 元々この言葉は、1980年以前の「自然保護対開発」の図式を超え、目標を共有するために生み出された言葉として、自然保護側(IUCN)から提案した言葉でした。自然保護が趣味ではなく、社会目標の一つに位置づけられるものであるということを示す役割をSDという言葉が果たしていたように思います。
 まだ、IUCNもSDにかわる言葉を見つけていません。そのヒントを模索する議論がセッション4で行われました。それは、また明日ご報告します。

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(保全研究部 道家)

ネパール到着後、休む間もなく開会式が始まりました。

開会式の主賓はなんとネパールの首相であるギリジャ・プラサッド・コイラール氏。ホスト国であるネパールは、数年前まで武力闘争が頻発しており、政治的には不安定な状況でした。世界中から300〜400人も集めて行われる国際会議というのは久しぶりということもあり、並々ならぬ熱の入れようが感じられます。

さて、開会式では、首相の挨拶のほか、デフ・プラサッド・グラン森林土壌保全大臣(日本の環境大臣に相当)やジュリア・マートン・ルフェーブルIUCN事務総長などがかわるがわる壇上にたち、今回の会議の重要性やアジア地域の重要な課題を簡潔に紹介されました。


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以下、少々長いですが全体を要約してみます。

 生物多様性保全に関していうと、世界に置けるアジアの位置づけというのは、ご存知の通りきわめて「象徴的な」地域となっています。
 東南アジアに代表される熱帯雨林地域の種の多様性というのは固有種も多く重要なものですが、また同時に危機的状況でもあり、そういったいわゆる「ホットスポット」を多く抱えているのがアジアの特徴の一つです。
 そして、中国やインドに代表されるように急速な経済成長を遂げていることもアジア地域の特徴です。20世紀型の経済成長は莫大な自然資源やエネルギーを浪費することで成り立っており、別の開発モデルを作れるのかどうか世界中から注目されています。
 また、貧困と自然保護という(この詳細については追々紹介できると良いのですが)課題も抱えている地域です。このような「生物多様性」「21世紀型開発モデル」「貧困や人権」といった現代の自然保護のテーマが凝縮された地域がアジアなのです。
 「気候変動」の問題は上記の問題と切り離せぬ重大事として取り上げられました。

 
 ネパールイングリッシュの発音を聞くのにとても苦労しましたが、開会式の最後は地元市民やナショナルアカデミーの生徒による演劇も披露され、明日からの会議の期待高まる中、今日の開会式は終了しました。

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(保全研究部 道家)

毎度毎度、突然ですが、私(道家)は現在ネパールのカトマンズにいます。
今日から4日間ここネパールで開催される、IUCNアジア地域自然保護フォーラムに出席するためです。

このアジア地域自然保護フォーラム(以下、自然保護フォーラム)は、4年に1度開催されるもので、来年10月スペインのバルセロナで開催予定のIUCN最大の会議である第4回世界自然保護会議のアジア準備会合の意味合いもかねています。

そのような位置づけもあり、過去4年間(2004-2007)のアジア地域の自然保護の動向、そして、今後4年間(2008-2011)の自然保護の方向性を検討する重要な機会です。

会議のサブテーマは、「アジアの持続性に向けた相乗効果synergy for sustainable Asia」。これから四日間、会議の様子を報告したいと思います。

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(保全研究部・道家)

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