icon_hagiwara.jpgのサムネール画像のサムネール画像自然保護部の萩原です。
いま、世界的に外来種の脅威が認識されています。2016年9月の国際自然保護連合の世界自然保護会議では、外来種問題に関係する様々な措置を求める「ホノルルチャレンジ」が採択さるなど、とても注目度が高い自然保護問題でもあります。
 
そのような中、日本自然保護協会(NACS-J)と、世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン)は共同開催で、外来種問題を考えるシンポジウム~島嶼の生態系を守るために~ を開催しました。今回のシンポジウムでは、基調講演に五箇公一さん(国立環境研究所)、話題提供として佐々木 健志さん(琉球大学農学部博物館)、権田雅之さん(WWFジャパン)、 安部真理子(NACS-J)、パネルディスカッションコーディネーターとして草刈秀紀さん(WWFジャパン)をお招きして実施しました。
 
基調講演のなかで五箇さんからは、外来種により世界の生物多様性が損なわれてしまっている現状が事例で紹介されました。
五箇さんはダニの研究者でもあることから、わかりやすい事例として、クワガタムシにつくダニについて紹介されました。クワガタムシは種類ごとに異なったダニが寄生しており、種の分化が進むと同時に寄生するダニの種も分化していることなどの紹介されました。1種1種の種の存在が、どれほど生物多様性に大切な存在なのかを伝えると同時に、外国産のクワガタムシを輸入し野外に放つことは、それらの営みを壊すことになってしまうことなど、精度の高い調査データを用いて、具体的に例示してお話されました。
また、カエルツボカビ病や植物のクズなどの事例から、国内の在来種を外国に持ち出すこと(意図せざる場合も含め)の問題点などの解説もありました。
 
続いて、当会の安部からは、辺野古の埋め立に使う土が、沖縄本島以外から運ばれつつある現状の紹介がなされました。生物地理区分や気候帯の異なる場所からの土砂の搬入も予定されており、やんばるの森が世界遺産登録の機運も高まっているなか、外来種対策のあり方も問われていることを浮き彫りにしました。
 
次に、佐々木 健志さんからは、沖縄に持ち込まれた外来種の対策についてお話がありました。沖縄県内では、既に1200種類を超える外来種が定着していて、農作物や野生生物に影響を与えている様子をお伝えいただきました。沖縄島や奄美では、過去にハブの天敵としてマングースの導入が進められていましたが、生活行動が異なることから接点がなく、天敵としての役割が果たせないことなど、意図的な外来種の導入の問題点も指摘されました。また防除対策には、並々ではない苦労があることもお話されました。
 
権田雅之さんからは、南西諸島での外来種対策の様子が報告されました。特にアマミノクロウサギの保護のためのマングース対策が効果を上げていることなどを、具体的な事例をからめご紹介いただきました。
 
パネルディスカッションでは、会場から多くの質問が寄せられました。特に沖縄の外来種問題を心配する声も多く、数多くの質問がありました。特に島嶼(島々)では外来種侵入の「予防」が大事だと確認されその危険性が高いことの認識も共有されました。
質問の中で、コーディネーターの草刈さんからは、有効な対策にどう資源や人を集中させられるか、具体的な例を出しなが問題点の指摘もありました。
 
最後に、基調講演いただいた五箇公一さん、話題提供をしてくださった佐々木 健志さん、権田雅之さん、安部真理子さん、草刈秀紀さん、シンポジウムにご参加くださった100名近くの皆さま、ありがとうございました!
 
当日は、侵略的外来種に関する愛知ターゲット9番達成に向けた政府の取り組みを促すツールキットをNGOで翻訳したものの概要版を配布させて頂きました。
ご興味のあるかたは、以下からダウンロードしてみてください。
 
また、このシンポジウムの様子は、新聞報道もされました。
47NEWS
 
沖縄タイムス 2017年2月26日記事
 
以下、写真はWWFジャパンの松岡さんに撮影頂きました。
P2250145.jpg
開会の挨拶をする、日本自然保護協会理事長の亀山章
 
P2250148.jpg
後援団体を代表してご挨拶を頂いた、自然保護助成基金の専務理事 高島輝久さん。
 
P2250158.jpg
基調講演 国立環境研究所の五箇公一さん
 
 
P2250165.jpg
話題提供をする、日本自然保護協会保護室主任の安部真理子
 
P2250175.jpg
話題提供を頂いた、琉球大学博物館(風樹館)の佐々木健志さん
 
P2250192.jpg
話題提供頂いた、世界自然保護基金ジャパンの権田雅之さん
 
P2250200.jpg
パネルディスカッション。コーディネーターは世界自然保護基金ジャパンの草刈秀紀さん
 
P2250219.jpg
会場から小笠原諸島の事例を紹介した、日本自然保護協会保護室の辻村千尋
 
P2250228.jpg
閉会の辞は日本自然保護協会の事務局長 鶴田由美子
 
 
こんにちは!日本自然保護協会でインターン生をさせて頂いている、
東邦大学 理学部 生命圏環境科学科 3年の佐川裕次郎です!
 
先日、「自然資源を活かした地域づくり全国フォーラム」にスタッフとして参加してきました。
 
report_1_170122.jpg
このフォーラムに携わることが決まったとき、私は自分の行ってきた活動を振り返りました。
 
私は大学で、地域の里山管理のサポートを行うサークルに所属しています。
草取りや畦の修理などを日頃行っているのですが、単純にこれらの作業をみると地味に思えるかもしれません。でも、泥だらけになりながらみんなで作業することで得られる達成感や、知らなかった知恵、地域の方々の暖かさといった、言葉にできない「ほっこり感」を感じます。そして、関わっていくうちにこの活動を残したい、伝えていきたい、あわよくばこれを仕事にしたいと思うような感覚になりました。でも、現状をみると運営費が足りず、ボランティアとして運営していることや、地域住民の高齢化、人手不足、そして里山管理活動が周囲に活動があまり知れ渡っていないといった、自然とは異なる課題がたくさんあり自分だけではともて解決できる問題ではないと感じていました。
 
こんな背景がある私ですが、実際に全国フォーラムに参加し、登壇者の皆さんから、「自然を活かした地域づくり」に関する様々な事例やお話をお聞きすることができました。お話を聞いて感じたことは、「自然資源を活かした地域づくり」をしていく上では各地域にある文化、伝統、歴史などを大切にすることが大事であるということ、また、地域内のつながりをみて「地域づくり」全体から考える方と、実際に地域内で活動を行う方、といったように関わり方の異なる人がいるということが伝わってきました。そして、人それぞれ自分の強みを生かせる立ち位置があり、そうした立ち位置の異なる人たちが1人ではなくチーム(仲間)になることで目標達成に向かっていくことが重要だと感じました。
 
report_2_170122.jpg
また、「自然資源を活かした地域づくり」を実現していくためには、多様な人が関わり多様なアプローチが必要であるため、全国フォーラムでは事例紹介以外にも「人」のお話が多く取り上げられました。地域内で自分の価値観や思うことをお互いに話し合えるような関係性になるためにも、共感できるようなストーリーを語ることが重要だという話がありました。お互いの共通の価値観が分かり合えたとき、初めて自分の話を聞いてもらうことができ、自分の知らない新しい気づきをみつけ、自分の立ち位置がわかってくるのだと感じました。
 
 
 事例紹介が当たり前と考えていた全国フォーラムへのイメージと全く異なり、予想以上の刺激を受けました。話を聞きながら、私が行ってきた里山管理、保全活動などで自分が自然を好きになっていったストーリーと、地域づくりが進むストーリーはとても似ていると感じました。自分も「自然が好き」というストーリーを語ってきたことで、あらゆる人とつながりができていき、そうして得られたつながりから今の自分がいます。
 
サポーターとして自分が地域の里山管理を行い始めた頃は、管理者の方からの「いいですよ、残りは私たちがやっておきますので」という一言や、「学生さんにあまり無理いわないように」と遠慮されてしまうような場面がありました。しかし、私たち学生側も作業に必死に関わることで、その姿を見ていた地域の方々から「頑張るねぇ、頼もしいな」と声をかけられ、それをきっかけに距離が縮まったように感じています。そして、自分たちも、里山管理にしっかりと関わることで「責任」とともにもっと関わりたいという「愛着」も出てきました。こうした経験から、「自然資源を活かした地域づくり」を進めていくためには、突き詰めていくと人間同士の話が軸になっているのだなと実感しました。
 
(インターン 佐川裕次郎)
icon_goto.jpg
 
 
 
こんにちは、市民活動推進室の後藤ななです。
 
かつて“里山”は、食料や燃料、家屋の資材など、生活の全てのものを賄う場所であり、人々の暮らしのためになくてはならない存在でした。しかし、この半世紀で燃料は化石燃料へシフトし、人々の生活様式の変化とともに里山の存在価値も大きく変化し、現在においても開発による分断化・縮小化、そして手入れ不足などが全国的に進んでいます。
また一方で、里山地域においては、人口減少によるコミュニティの衰退、地域経済の低迷など、複合的な社会課題も多く生じています。
 
こうした様々な社会課題に対して、里山を現代に合わせた形で活用する方法を探り、地域の自然・生物多様性を守り、活かし、そこからもたらされる自然の恵み(生態系サービス)によって、課題解決に貢献していくことが大事だと私たちは考えています。
 
近年、国際的には“Nature Based Solutions(自然を基盤とした社会課題解決)”として注目されている考え方でもあります。これは全く新しい考え方というわけではなく、従来、人と自然が関わり合うことで成り立っていた里山を、時代に合わせた利用を促し(例えば食べものや観光資源など)、多くの人とその恵みを分かち合うことで、改めて“資源を得る場”にしながら地域づくりを進めていくというものです。
 
今回、NACS-Jでは、こうした考えのもと、1月22日に東京都江戸東京博物館(両国)にて、「自然資源を活かした地域づくり全国フォーラム(以下、全国フォーラム)」を開催しました。当日は、100名以上の方にご参加いただき、具体的に里山の現代的な利用を進めながら、自然資源を活かした地域づくりにつなげている事例を紹介し、また、地域においては、そうした「自然資源を活かした地域づくり」の担い手とはどんな人なのかを議論しました。
 
ここでは前編と後編に分けて当日の様子をご紹介します。
 
edohaku170122.jpg
(会場の東京都立江戸東京博物館)
 
午前の部では、まずはじめに基調講演として、当協会理事長・亀山より「地域の社会課題の解決に向けた生物多様性保全からのアプローチ」というタイトルで発表しました。
 

kichokouen170122.jpg

発表では、自然はそのままではモノでしかなく、人の知恵によって価値が生まれるものであり、それがすなわち“資源化する”ということであると説き、何を、誰が、どういうプロセスで資源化するかについて、宮崎県綾町での事例について、NACS-Jも関わる綾プロジェクトも交えて紹介しました。
 
その後、午前の部では、2つの地域で展開されている「自然資源を活かした地域づくり」の事例を紹介していただきました。一つは広島県北広島町で繰り広げられている「芸北せどやま再生事業」について、もう一つは、石川県能登地域における「まるやま組」と「能登里山里海マイスター」についてです。
 
 
 
お一人目は、芸北 高原の自然館の白川勝信さんより「里山からはじまる、現代的な資源循環~『芸北せどやま再生事業』の取り組み~」をご発表いただきました。
 
sedoyama170122.jpg
 
“せどやま”とは芸北地域で呼ばれている“裏山・里山”のことです。かつては資源を得る場所だった“せどやま”は、冒頭でも触れたように、時代とともに芸北地域でも活用の場を失いつつありました。
 
そこで、芸北地域では、せどやまの地主さんから木材を地域通貨で買いうけ、木々は薪にして、薪ストーブ等を持つ薪ユーザーの方に売るという活用の仕組みをつくり、地域に寄り添った形で活用を進めている事例をご紹介いただきました。
 
 
 
これは、木材としては見られていなかった広葉樹の木々を活用の対象とすることでせどやまの多くの木々が昔のように“資源”となり、木々の対価が地域通貨となることで地域内の経済循環も生み出すという画期的な取組みです。また、芸北地域では、子どもたちにもこのせどやま再生事業を学び関わってもらうことで、今では、子どもたちの発想から、広葉樹だけではなく“茅”の活用の仕組みづくりにも発展しているのだそうです。
(写真:子供たちが木材の搬出作業を体験する“せどやま”.2015年撮影)
 
 
次に、まるやま組の萩のゆきさんと金沢大学地域連携推センターの伊藤浩二さんより、能登地域で展開されている自然資源を活かした地域づくりとして、「まるやま組」の取り組みと金沢大学が実施している「能登里山里海マイスター」についてご発表いただきました。
 
maruyama170122.jpg
 
まるやま組の萩のさんの活動は、地域全体を俯瞰して“仕組みづくり”をしていた白川さんと対照的に、自分たちの足元から、日々の暮らしを起点に広がりを作った活動です。まるやま組では、年に一度、集落のモニタリング調査で一年に記録された生物種を、地域の神事である“アエノコト”になぞらえて、地域の生物多様性に感謝する行事をされています。この取組みは2014年には、環境省の生物多様性アクション大賞も受賞されました。発表では、そうした活動のきっかけとなったエピソードや、活動の歩みについてご紹介いただきました。
 
 
まるやま組の取組みに大きな影響を与えたのが、金沢大学で実施されている「能登里山里海マイスター(以下、マイスター)育成プログラム」です。この能登里山里海マイスター育成プログラムは、人口減少社会のなかで人を増やし、仕事をつくり、能登の里山里海の持続可能な未来を創ることを掲げて発足した、能登地域で10年続くプロジェクトです。金沢大学が珠洲市と協力し、珠洲市の廃校になった小学校を拠点として、能登に定住し、能登の自然や文化を学びたい人、里山里海についてよりよく理解し、関わる仕事をしたい人を対象に、1年間の講義と実習、そして卒業課題研究を経験してもらい、“里山里海マイスター”に認定するというものです。まるやま組の萩のさんはマイスター修了生でもあります。伊藤さんの発表では、マイスター養成講座についてご紹介いただきながら、10年もの長きにわたる取組みが地域にもたらした成果についてもご発表いただきました。この取組みを通し、マイスター修了生たちは学びの場で交流が生まれ、能登の自然と文化について深めることができ、能登地域では着実に移住・定住につながっていることもご紹介いただきました。
 
meister170122.jpg
午前の部では、自然資源を活かした地域づくりの全国の事例を見てきましたが、能登地域の「まるやま組」や「能登里山里海マイスター育成プログラム」の発表を通して、地域づくりを進めていく上で、地域のなかで“担い手”となり、取組みを進めていく人について触れました。後編の午後の部では、さらに地域づくりを進めるその“担い手”像を掘り下げていきます。
 
 
icon_goto.jpg
 
 
 
 
こんにちは、市民活動推進室の後藤ななです。
こちらでは前編に続き、自然資源を活かした地域づくり全国フォーラムの後編レポートをお届けします。
 
今回のフォーラムでは、「自然資源を活かした地域づくり」を進めていくことの重要性とともに、地域の中ではそうした地域づくりを推進していく担い手の重要性についてもお伝えするために、午後の部では、この「担い手」についての話題を中心に取り上げました。
 
jinzai170122.jpg
午後の部のはじめには、三菱UFJリサーチ&コンサルティングの阿部剛志さんより「いま『地域創生』に求められる人材とは」というタイトルで、政府が進める政策としての“地域創生”の解説に加えて、実際の現場で地域づくりを担っていく人とはどんな人なのかをご発表いただきました。阿部さんは、調査研究・関心分野として一貫して地域振興策に関わってこられ、昨年度より地方創生人材支援制度で新潟県の粟島浦村で実際に地域づくりに取り組んでいらっしゃいます。
 
 
発表では、地域づくりにおいては、地域を客観視し現状把握・分析の重要性に加えて、地域の中にいる人で“自分ごととして地域で何かしたい”という想いのタネをもつ人が、そのやりたいことを軸にして支え合えるチームを作っていくことが重要だとありました。従来の“地方創生”として語られていた「地域でやるべきこと」という漠然とした課題・目標から、「○○さんがやりたいこと」まで落とし込めてこそ、主体性とそれを支える仲間ができます。また、一人ではなく、や立場・特技など、異なる軸を持った人々がチームになることが、やりたいことを実現するために非常に大きな力になることがあることについて、事例を交えながら紹介していただきました。
 
また、発表では、異なる軸をつなぐために「共通の価値」が必要とありました。例えば農林水産業では、異なる軸の人同士でも「おいしい」が共通価値になりえますが、特に自然・生物多様性という視点から地域づくりを考えるときには、取組みをはじめたきっかけや想いといった「ストーリー」の共有が大切なのではないかというメッセージをいただきました。
 
 
発表の最後には、NACS-J後藤から「『自然資源を活かした地域づくり実現塾』の紹介と成果」と題して、後藤より発表させていただきました。ここでは、今年度、NACS-Jと環境省で実施した「自然資源を活かした地域づくり実現塾(以下、実現塾)」について紹介しました。また、本発表の後半では、実現塾の受講生である内山義政さん、中谷翔さんにお越しいただき、受講生を代表して実現塾に参加したきっかけや参加した様子などを発表いただきました。
 
jitsugenjyuku17.jpg
(「自然資源を活かした地域づくり実現塾」集合写真)
 
 
NACS-Jでは、前編冒頭でもお伝えしたように、里山を現代的に活用することで、地域の生物多様性保全につなげ、そこから自然の恵み(生態系サービス)を生み出し、地域づくりにアプローチしていくことが重要だと考えました。しかし、こうした考えのもと取組みを推進していくためには、地域に暮らしながら地域づくりを担っていく方々の協力が不可欠です。また、“自然資源”と一言で言っても、地域の自然・生物多様性や文化、歴史とのつながりを読み解き深く理解するためにはどうしても時間が必要です。
 
そこで、NACS-Jでは、今回、すでに地域で自然や生物多様性に真摯に向き合い活動を実施し、地域づくりに高い関心を持つ方を対象にして、「自然資源を活かした地域づくり実現塾」という合宿研修を実施しました。実現塾には全国から70名にも及ぶ応募者があり、そのなかから23名の方と一緒に、9月に東京、11月に能登で合宿研修を行いました。
 
実現塾では、今回の全国フォーラムでご講演いただいた方々にも講師になっていただき、「自然資源を活かした地域づくり」を進めていくために必要となる、生物多様性や木質バイオマスの現代的利用などの基礎知識の提供や地域の事例をご紹介いただきました。また、実現塾の東京・能登の研修を通じて、受講生の皆さんには、実際の地域で実現するための地域づくりのアクションプラン(行動計画書)を作成することを1つの目標としました。実現塾の最後には、5人ほどのチームになっていただき、この作り上げたプランをチームでひとつに絞って完成・発表いただくというプログラムを行いました。
 
合宿研修では、様々なプランが完成し、さらには終了後にも、受講生同士の交流は続き、お互いのフィールドへの行き来や実際に里山の手入れを手伝うというアクションにもつながった場所もありました。作成したアクションプランを実現するために、終了後も地元での情報収集や仲間との共有、イベントの開催なども各地で進んでいます。
 
 
jyukosei1_170122.jpg
 
受講生である内山さんからは、実現塾を通して、地元・静岡にあるススキ原の広がる高原を保全するために、高原につながるみかん畑とススキの活用をつなげられないかとアクションプランを作成されました。実現塾を通して、同級生とのつながりを活かして意見交換をしたり、農産物流通関係に関わる実現塾の受講生と一緒に現地の視察などを進めています。
 
 
jyukosei2_170122.jpg
 
 
 
もう一人の受講生である中谷さんからは、地域の農林漁業の副業を通じて地方で暮らしていけるライフスタイルを提案していくアクションプランを作られました。そのプランを、実現塾で出来上がったチームの仲間と一緒になって完成させていくことで、このアクションを通じて地域のどんな自然資源を活用し、何が保全されるのかをしっかりと掘り下げることにつながったことをご紹介いただきました。
 
 
 
全国フォーラムの最後には、パネルディスカッションを行いました。パネルディスカッションでは、本フォーラムの副題にもある「生物多様性から社会課題にアプローチする」人とはどんな人か、実現したいアクションを一緒に支え合えるチームはどうやって築けるのかについて議論をしました。
 
discussion170122.jpg
(パネルディスカッションの様子)
 
 
午前の部でご発表いただいた萩のさんと伊藤さんからは、お互い動機が異なっていた人同士が、価値観を押し付け合うではなく考えながら接して一緒に歩むことでここまで活動を築いてこられたということ、そして大義が先行してしまいがちの保全活動ではなく、お互いの強みを活かし関係性を作ってきたことをご紹介いただきました。阿部さんからは、その話に加えて、そうした異なる軸を持った人たちが一緒に活動することでその活動の外で納得感を得る層が大きく広がるのだろう、という発言がありました。
 
さらに、白川さんからは、こうしたチームを作っていくためには「隙がある」ことが重要ではないかとありました。自分に隙があることで、地元の人に多く話してもらえる、話してもらうことで多くの知恵が得られるといった経験を話していただきました。
 
印象的だったこととして、ディスカッションのなかで「心の豊かさ」が重要ではないかと繰り返し出てきたことです。萩のさんや受講生の中谷さんの発言にも、「自分や家族が豊かに暮らすため」「自分は楽しく進めていきたい」といった言葉があり、白川さんからも「笑顔で語ることが大事」「生きもの・自然が好きな人が重々しい顔をしていてはうまく伝わらないのではないか」という発言もありました。
 
 
フォーラムを通して、「地域づくりを進めていく担い手」としての心構えとして、1人で邁進するのではなく、様々なアプローチを持つ仲間でチームを作ることで生物多様性の多様な価値を引出すことが重要ということは繰り返し触れられてきました。パネルディスカッションでは、そのためにも、自分や活動に関わる人たちが、関わることで幸せになっていくことが大切だということが一つの結論となったように思います。また、そうして多様な軸を持つ方々が活動に関われることで、身内だけの豊かさではなく地域の豊かさに広がっていくというプロセスが、自然資源を活かした地域づくりでは重要だということだと感じました。
 
-------------------------------------------------------------------------------------------------------
 
午前10時から16時半までという長丁場に及んだイベントとなりましたが、
本当に多くの方々と、真剣に自然を活かしていく地域の未来像について考える時間となりました。
ご来場いただいた皆さま、ご登壇いただいた皆さま、ご参加いただき心より感謝申し上げます。
 
NACS-Jでは、今後も自然資源を活かした地域づくりを、ご来場いただいた皆さま、関心をもっていただいた皆さまと、進めていきたいと思います。今後もぜひご注目いただければと思います。
 

icon_tsuruda.jpg 事務局長の鶴田です。

1月28日、武蔵境の武蔵のスイングホールにて、「プロジェクト未来遺産2016」の登録証授与式が開催され、お祝いのご挨拶に伺いました。

プロジェクト未来遺産は、地域の豊かな自然や文化を100年後の子どもたちに残すために、毎年、地域の市民団体が取り組む活動を、(公社)日本ユネスコ協会連盟が『プロジェクト未来遺産』として選出し、今年も全国から5つのプロジェクトが登録されました。

28日には、東京の玉川上水ネットのみなさんの活動「玉川上水・分水網の保全活用プロジェクト」の登録証授与式と記念講演会が行われました。

20170128miraiisan_001_R.JPG

玉川上水ネットは、江戸時代に開削された玉川上水・分水網の保全活用に取り組む関連団体のネットワークで、現在23団体6個人の市民団体が連携して、活動しています。

武蔵野の原風景を留める、上水と分水網流域の自然環境と歴史・文化的な景観の総合的な保全活動や、次世代への普及教育、自然観察会や調査活動など、幅広い活動を展開されていることが評価され、今回登録となりました。

中でも、各団体で自然観察指導員の方々が日々観察や調査で大変活躍され、多くの貴重な記録や資料もつくられ、観察会の実践と、市民科学の普及において、大変大きな役割をされています。

日本自然保護協会からの推薦も登録へのお役に立てたことを、玉川上水ネットの代表の柴俊男さんから伺い、大変嬉しく思いました。

20170128miraiisan_004_R.JPG

 

未来の世代に向け、都市の中で43キロの水と緑の回廊の保全を目指すため、多摩の羽村から皇居のお堀までの通水を実現し、歴史と環境を保全し続けたいという熱意が会場を沸かせていました。

流域の11の自治体の長からも祝辞やメッセージが贈られ、都市計画の中においても、その保全価値を広く認めさせていく力になってきています。

日本ユネスコ協会連盟の未来遺産委員でもある、琉球大学名誉教授の土屋誠さんから、登録証が授与され、記念講演会も行われました。

20170128miraiisan_003_R.JPG

 

世界自然遺産の世界的な登録状況の推移や、生態系サービスの評価など、自然保護とその社会的価値の講演に、会場へ集まられた方々も聞き入っておられました。

今後も、末永く保全活動が進められ、未来の世代に東京の緑と水の回廊が残され、都市における身近で貴重な生物多様性の源となることを期待しております。

また、今年は「特定非営利活動法人海上の森の会」さん方の、「愛知万博の理念と成果の継承~海上(かいしょ)の森・保全活用プロジェクト~」の活動も、未来遺産に登録されました。
 
長く海上の森の保全活動で活躍され、モニタリングサイト1000里地里山の調査でも活動いただいている皆様方の登録も大変嬉しく、お祝い申し上げます。
 
みなさま、誠におめでとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

icon_hagiwara.jpgのサムネール画像のサムネール画像

  生物多様性保全室の萩原です。

 

 

鳥取県の自然観察指導員連絡会のみなさんが、2016年の自然しらべ「海辺で花しらべ」の調査をきっかけに、海岸植物を詳細に調査して、その結果を鳥取生物学会で発表されました。

自然観察指導員は、いろいろな自然分野で活躍され、また自然に精通されている方も多く、日頃から自然観察会を開催するとともに、地域の自然のようすや変化を見続けています。

今回、県内の海岸植物について今まで知られていなかった、重要な知見が得られたことから、2016年12月18日に開催された鳥取生物学会で、清末幸久さん(鳥取県立博物館学芸員、鳥取県自然観察指導員連絡会会長、自然観察指導員講習会講師)が、その成果を発表されました。

連絡会の会員のみなさんと集めてくださったデータは詳細なもので、絶滅危惧種(RDB)のリストに掲載されているスナビキソウやナミキソウ、ハマナス、ハマベノギクなどのようすから、外来種でのオニハマダイコンの分布拡大情報など、県内のようすや日本全体の海岸植物が置かれている状況を知ることができる貴重な発表となりました。
 
 
20170113shirabe1.jpg

 

写真:鳥取生物学会で発表さている清末幸久さんと発表資料。

 

 

icon_tsuruda.jpg 事務局長の鶴田です。

普段から野外での活動が多い、NACS-Jスタッフのスキルアップのため、(公財)東京防災救急協会の方々をお招きし、救命講習を行いました。

心肺蘇生、AED、気道異物除去と、3時間にわたり実技を学びました。

20161215life_1900_R.JPG

20161215life_1911_R.JPG

 

進化しているAEDはとても使いやすく、さまざまなアラートでガイドしてくれるので、初心者でも迷わず活用できる自信がつきました。

20161215life_1920_R.JPG

 

20161215aed.jpg

 

自然観察会や自然のさまざまな調査、そして全国のご協力者の皆様方と自然保護活動を進めるスタッフにとって、こうした訓練は、万が一の傷病者への対応に貢献できるスキルにつながります。

これまでも、何回か自然観察指導員講習会のスタッフなどを中心に救命講習を行ってきましたが、

東日本大震災や熊本地震も経て、「自然保護にも活用できるスキルで防災・減災にも役立てることはないか」と考えてきた、事務局有志の働きかけで、

今回は事務系のスタッフも含め22人と、事務局のあるビルのオーナーさんでNACS-Jの法人特別会員でもある(株)ミトヨさんからも社員さんが参加され、共同での受講となりました。

事務局のある地域、それぞれのスタッフの家庭の地域でも役立つときが来るかもしれない救命のスキルとして、社会貢献の意味からも、大切な講習となりました。

事務局のまわりの防災計画や避難ルートの点検なども行い、地形地質から見た、地域の立地なども調べ、こうした「防災・減災にも役立つ自然保護活動」も近々、ツールとなるものにまとめていく予定です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

icon_fukudah.jpg

市民活動推進室の小野寺と福田です。

 

 

11月26日(土)~27日(日)、徳島では3年振りとなる第520回自然観察指導員講習会を開催しました。

会場の徳島県立牟岐少年自然の家は、海と山に囲まれた場所にあり、なんと言っても歩いて数分の所に砂浜がある自然豊かな所でした。近くの浜ではウミガメが産卵に訪れる事もあるそうです。

目の前にある海を講習会で使わない手はないというわけで、今回は、いつもの森での実習に加え、海での実習も行われました。その実習が行われた二日目は、朝から雨が降り続け、参加者の皆さんのテンションが下がらないか心配されましたが、その心配をよそに、海に山に、雨具に身を包み思いっきり堪能していました。

さらに、自然観察会の実習では、葉や地面に落ちる雨音に耳を傾けながら森を感じるものなど、雨の森を楽しめる実習も多く行われ、先輩指導員や講師陣が驚かされる程、レベルの高いものが展開されていました。

hittuke2_R.jpg

何より、実施していた本人達が笑顔で楽しむ事を忘れずにできたこと、そのことが、周りの参加者にも伝わり、観察会全体が良い雰囲気となっていました。

初めて観察会を実施した方も多かったと思われますが、雨の観察会を笑顔で実施できたことはきっと大きな自信につながることと思います。

egao

520syuugou

 

今年の講習会は今回でおしまいですが、3月に2回開催予定です(3/10~11広島、3/21~22東京)。間もなくWebページにて詳細等ご案内いたします。乞うご期待!

 

指導員講習会について、詳しくは以下URLよりご覧ください

http://www.nacsj.or.jp/katsudo/shidoin/

こんにちは!NACS-Jでインターンをさせて頂いております。東邦大学 理学部 生命圏環境科学科 3年の佐川裕次郎です。

 

先日、第519回自然観察指導員講習会・東京都に運営側ではなく参加者として参加しました。

なぜ「インターン生なのに「参加者」側なの?」と思われる方がほとんどだと思います。通常、インターンといったら運営側のサポートが一般的だと思いますが、この講習会はNACS-Jと今まで講習会を受けてNACS-Jの自然観察指導員となった方々がスタッフとして運営を行うため、まだ指導員ではなかった私は参加者として運営側と参加者側を見てきました。

 実際に参加者となることで常に自分の考え方、価値観への刺激を受け続け、見直す2日間でした。運営側では、自然観察の視点や保護の講義を受けることから始まり、その後、指導員スタッフと一緒に自然観察を行い、最終日には自分自身が自然観察会の企画を立て、開催する。このような順を追って進む「緻密に組まれたスケジュール」によって参加者は無理なく短期間で多くの知識を身に着けられるのだと感じました。更に、日程以外にも指導員スタッフ一人一人が危機管理に気を配り、全体を支えようとする気遣いなどにより参加者が快適に受講してもらうための細かい配慮が常に伝わってきました。私自身もですが、指導員側の配慮を受けた参加者の意識が自然に指導員へ向いていく様子を見て、改めて指導員の「人を引き付ける力」に圧倒されました。

mori

▲森から何を読み取るか 

講習会を通して

最大限に五感を使い感じ取り、楽しむこと

自然の仕組みに注目していくこと

人と自然の関わりを考えること   等

今までイメージしていた「種名を知っていないといけない」「専門性が高く知識がないとできない」といった自然観察への” -”な印象がなくなり、「自分でも指導員になれるんだ」「自分ならどう動けるだろうか」「こんな楽しみながら時間を共有できるんだ」といった”+”の印象に変わる参加者のお話を聞くことができ改めてNACS-Jの自然観察指導員講習会の素晴らしさを実際に感じました。

▲感じたことは全体で共有

 自然の良さは自然が教えてくれる、指導員はそれを「押し付ける」のではなく「こういう良さもあるのですが、みなさんはどう思いますか?」といった一人一人が持つ異なる価値観を共有し、楽しんでもらうためのサポーターになることだと感じました。

  hittuke_R.jpg

観察会へのイメージを変えたい、自然の見方を知りたい、興味はあるけど参加しにくいと思っていた方ほど参加することを強く推奨します。見かたが変わるので今後どの活動においても応用できる内容になっています。

 

syuugou

icon_syumiya.jpg エコシステムマネジメント室の朱宮です。

 

10月29日~11月2日に綾に出張しました。10年前に設置したシカ柵内外の植生のプロットの再調査を行うためです。
当時10年生と15年生の二次林にプロットを設置しましたが、大森林道が大雨のために崩壊し、車でアクセスができないため途中から歩いてプロットまでいきました。
15年生の方は当時4~5mの樹高でユズリハやシキミ、カラスザンショウなどが混ざっていましたが、現在はユズリハが10m以上になり優占していました。
林床は暗くなり、実生は多くないですが、シカ柵内にはイチイガシやアカガシなどのブナ科の実生もシカ柵外よりも多く見られました。
 
20161129_aya1.jpg
 
 
 
20161129_aya2.jpg
▲長年見たかったキリノミタケを見ることができました。アメリカと宮崎や四国だけで発見されている珍しいキノコです。キノコが裂けて胞子が放出されますが、放出すると1日で溶けてしまうため、地元の人でも見た人は少ないと思います。また、目立たないのでなかなか見つけるのもたいへんです。
 
 
 
 
20161129_aya3.jpg
▲知の拠点設置のための委員会の様子。
綾町はビジターセンター設置に向けて準備をしています。NACS-Jの評議員でもある鬼頭教授が委員長を務めています。
 
 
 
 
20161129_aya4.jpg
▲森林生態系保護地域の保全地区拡張に向けた調査に同行しました。
保護林制度はこれまでの7つの保護林を3つの保護林に改める作業を進めています。その見直し作業に合わせてユネスコから勧告を受けている核心地域の拡張に向けた作業の一環です。
現在、綾森林生態系保護地域の保全地区が核心地域になっていますが、保全利用地区には保全地区に相当するすぐれた自然環境が残る地域があり、保全地区にすることで少しでも拡張できないか検討するための基礎資料を作成するためです。これまで、植物や両生類、鳥類などの調査が行われていますが、今回は陸産貝類の調査を地元の西先生と行いました。
 
 
 
20161129_aya5.jpg
▲アワジギセル

月別 アーカイブ

Powered by Movable Type 4.25

Twitter