日本自然保護協会は、生物多様性を守る自然保護NGOです。

野生生物保護法制度を見直す

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野生生物保護法制度を生物多様性の保全という視点から見直す。

日本には、「鳥獣保護法」「水産資源保護法」「種の保存法」「文化財保護法」など、野生生物関連の法律が細分化され、また、野生生物の資源的価値や農林業に対する害性のみに基づいてつくられてきました。NACS-Jでは、こうした法制度では生態系の構成員としての野生生物を守っていくことはできないと考え、野生生物に関する現状の問題点を検証し、野生生物保護法制のあり方について討議する、NACS-J野生動物小委員会を設けました。そして、野生生物の内在的な価値とその守り手てとしての人間の責任を包含した「野生生物保護法制」を確立するとともに、野生生物の生息地の保全と開発に関係するすべての法制度に、「野生生物が国民にとっての公共信託財産である」という考え方を盛り込む、などを提言しました。

 


「分布が狭い植物ほど、自然保護区で守れない!?~無計画な保護区設置が導く絶滅への悪循環~」

東京農工大学、国立環境研究所、Queensland大学、日本自然保護協会4者の研究チームで、日本の絶滅危惧植物1572種を用いて国立公園などの保護区の有効性を解析した結果、保護区が植物の各地域(以降「局所的」と呼びます)の絶滅を抑える上で有効であることを世界で初めて実証しました。さらに、分布域が狭い種ほど保護区に含まれにくいために局所的な絶滅が起こりやすく、分布域が狭くなりやすいことが明らかになりました。

このような植物の分布を考慮せずに、保護区を新たに設置すると仮定してシミュレーションを行った結果、分布が広い種は保護区に入りやすく絶滅リスクが下がるのに対して、分布が狭い種ほど保護区に入りにくく絶滅リスクが上がるという「絶滅への悪循環」に陥ることが確認されました。

以上のことから保護区には植物の絶滅を抑える一定の効果があるものの、その効果を高めるには種の分布を考慮して保護区を配置すべきことが明らかになりました。

2010年生物多様性条約の愛知目標11では、生物多様性を保全するために「2020年までに陸域の17%を効果的に管理された保護区とすること」が定められており、保護区の面積だけを見れば日本では基準を満たしていることになっています。しかし本研究の結果から、絶滅危惧種を効果的に保全するためには、愛知目標11の面積ベースでの達成に終わらせず、生物多様性の保全という本来の目標に大きく資するものとするには、保護区を新設・拡大する際には戦略的に配置を決めることが求められます。特に分布が狭い植物の多くは、絶滅の恐れが高いと判断されているため、優先的に保全する対策を講じることが期待されます。

本研究の論文は国際保全生物学会発行の学術誌Conservation letters誌電子版に2016年10月24日に掲載されました。

Akasaka M, Kadoya T, Ishihama F, Fujita T, Fuller RA. Smart Protected Area Placement Decelerates Biodiversity Loss: A Representation-extinction Feedback Leads Rare Species to Extinction. Conserv Lett. 2016. doi:10.1111/conl.12302.

下記のサイトより論文をダウンロードできます

http://doi.wiley.com/10.1111/conl.12302

 

分布が狭い植物ほど、自然保護区で守れない!?~無計画な保護区設置が導く絶滅への悪循環~

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