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西表島の生態系保全

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西表島の固有な生態系を守るために保護地域をつくる。

原生林が残り、イリオモテヤマネコに代表される希少な野生動植物が生育生息する西表島では、1960年代の森林伐採、人工造林、林道建設から始まり、その後も農地開発、リゾート開発などさまざまな開発問題が起きています。1990年には島の4割が森林生態系保護地域に設定されましたが、貴重なコウモリの生息地となっている保護地域の外側の森林が大規模な農地開発の対象となりました。NACS-Jでは、事業対象地の調査や現地の西表自然史研究会や関係者と協議を行うなどし、事業の中止を求め、2000年、農地開発事業の見送りが決定しました。

 


保護地域外に起きた農地開発事業を中止にする。

西表島・大富の国有林を払い下げて行う農地開発事業は、西表島森林生態系保護地域の隣接地に計画されました。小さな起伏の連なりの中に湿地と沢が広がり、数頭のイリオモテヤマネコの行動圏となっているこの地域はまた、秋にはサシバの大群が越冬地に南下する際の休息地としたり、水辺は八重山地域にすむカエル類にとって重要な生息地となっています。
沖縄県が各分野の研究者に依頼してまとめた自然環境の報告書が、1999年、NACS-Jに提供され、その内容を照らし合わせこの計画地への自然環境への影響を検討しました。その結果、90年にこの用地のすぐ隣まで、ヤエヤマカグラコウモリなどコウモリ類の重要な生息環境があることとの調整に困難を極めた野球場規模の構造改善農地がすでに広がっていることなどから、これ以上の森林の開発はするべきではないと判断し、地元団体の意見を伺いつつ、農地改良組合・沖縄県・林野庁(九州森林管理局)・環境庁に環境の保全と農地開発事業の見直しを働きかけました。
地元団体やNACS-Jの働きかけを受け、沖縄県は自然保護問題の解決ができないことから、2001年度予算要求を断念し、計画の見送りが決定しました。

中心部から海岸部まで固有の生態系が広がる西表島。

森林生態系保護地域を示す看板西表島は、周囲が約130km、面積約2万8400haで、このうち国有林が87%を占めています。1989年に林野庁が指定した森林生態系保護地域は、地元の意見や専門家の意見を反映する設定委員会の検討で90年には島面積の41%、島内の国有林の47%の割合に広がりました。
島の周縁部は人間活動が集中する海辺が多く、保護地域の指定がされてきませんでした。しかし1964年に発見確認されたイリオモテヤマネコや、カグラコウモリ、イリオモテキクガシラコウモリなど、希少なコウモリは、島の周縁部が重要な生息地となっています。

森林生態系保護地域の拡大を進める。

西表島の森林西表島では森林生態系保護地域に設定されていない貴重な森林が残る地域が、開発や利用の危機に脅かされ続けています。現在、NACS-Jでは、西表島の森林生態系保護地域を拡大するための活動を行っており、2009年には、企業が使用する権利を持つ国有林(共用林野契約)を森林生態系保護地域にするため、NACS-Jが国と企業の仲介者となり、これまで利用目的が主であった地域も保護地域にできるよう働きかけています。

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