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2018.05.07

「(仮称)天神丸風力発電事業に係る計画段階環境配慮書」に対する意見を出しました

四国ツキノワグマの重要な生息地で大規模な風力発電が計画されています。

事業計画地(徳島県美馬市・那賀郡那賀町・名西郡神山町にまたがるエリア)には、四国でわずかに残された、地域本来の自然度の高い森林があり、四国で絶滅の危機にあるツキノワグマの生息地であることから、事業の立地選定から検討し直すことを求める意見を提出しました。

「SAVE THE ISLAND BEAR 四国のツキノワグマを救え!」プロジェクトページはこちら


2018年4月30日

「(仮称)天神丸風力発電事業に係る計画段階環境配慮書」意見

〒104-0033 東京都中央区新川1-16-10 ミトヨビル2F
公益財団法人 日本自然保護協会
理事長 亀山 章

 

本事業の計画地は、四国でわずかに残された、この地域本来の自然度の高い森林があり、四国で絶滅の危機にあるツキノワグマが生息している。四国の生物多様性保全において極めて重要な自然環境であるため、本事業は立地選定から検討し直すべきである。

以下1)~3)に示すように、本事業は四国において極めて重要な自然環境に影響を与えるものであることが、専門家等へのヒアリングや調査で明らかになっているにもかかわらず、そのことを踏まえた影響の予測と評価がされていない。「配慮書」として不備であるため、「配慮書」のつくり直しを求める。

また、現地調査によって影響を評価する際には、本事業計画地が四国全体で見て重要性が高いことを踏まえ、自然環境にかかわる各項目において、四国全域にわたる現状の調査が必要である。

 

1)ツキノワグマへの影響について

“4.3.3動物”における専門家等へのヒアリングで指摘されている通り、本事業の計画地は四国において絶滅の危険性が極めて高いツキノワグマの重要な生息地である。ツキノワグマの絶滅を回避するためには、生息環境の拡大と改善が必要な状況にある。そのため、本事業の計画地において、事業規模の縮小や、環境保全措置によって、ツキノワグマへの重大な影響を回避又は低減できる可能性は低い。

さらに、本事業の環境への影響を評価するうえで、ツキノワグマは極めて重要な動物種であるにもかかわらず、3.評価(P226)において具体的な記述がされておらず、「配慮書」として不備と言わざるを得ない。

現地調査によって影響を予測する場合には、ツキノワグマ個体群の現状を把握する必要があるため、少なくとも、現在ツキノワグマの生息が確認されている範囲において、個体識別が可能な方法による調査や、複数個体を対象としたテレメトリー調査を複数年に渡って実施する必要がある。繰り返しになるが、その調査結果から、重大な影響を回避又は低減できる可能性は低い。

2)イヌワシへの影響について

“4.3.3動物 (3)結果②注目すべき生息地(P212)”で、「鳥類等に関する風力発電施設立地適正化のための手引き」(環境省、平成27年)によりイヌワシの一時生息の確認があると示されている。イヌワシは日本各地で生息地の消滅が確認されており、その数はこれまでに確認されたつがい数の約三分の一に及び、絶滅が危惧されている。本事業計画地は、四国における最後のイヌワシの生息地であり、イヌワシの生息環境の改善をするべき場所である。そのため、本事業の規模の縮小や、環境保全措置によって、イヌワシへの重大な影響を回避又は低減できる可能性は低い。

3)植生(ブナクラス域)への影響について

4.3.4植物における専門家等へのヒアリングで指摘されている通り、本事業の計画地は、自然林だけでなく、二次林においてもよく発達した自然度の高い林分とされており、西日本で少なくなってしまった自然度の高いブナクラス域の植生が一定のまとまりをもって残る重要な自然環境である。そのため、本事業の規模を大幅に縮小したとしても、重大な影響を回避又は低減できる可能性は低い。

 

以上

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