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2018.04.03

沖縄市中城湾港における不発弾爆破処理作業に対する要望書を出しました

今月5日に沖縄市中城湾港(新港地区)における不発弾爆破処理作業が予定されています。

平成30年4月5日(木)中城湾港(新港地区)不発弾爆破処理作業のお知らせ

本日、沖縄県知事と沖縄市長あてに北限のジュゴン調査チーム・ザン、ジュゴンネットワーク沖縄、泡瀬干潟を守る連絡会、日本自然保護協会が連名で、ジュゴンをはじめとする生物多様性を保全する立場から、水中での不発弾爆破処理の海生生物への影響の危険性を認識し、他の方法を検討することなど2点を要望しました。

<沖縄県宛>沖縄市中城湾港における不発弾爆破処理作業に対する要望書(131KB)

<沖縄市宛>沖縄市中城湾港における不発弾爆破処理作業に対する要望書(129KB)


<沖縄県宛>

2018年4月3日

沖縄県知事 翁長 雄志 殿

北限のジュゴン調査チーム・ザン
代表  鈴木 雅子
ジュゴンネットワーク沖縄
事務局長  細川 太郎
泡瀬干潟を守る連絡会
共同代表 小橋川 共男
漆谷 克秀
公益財団法人 日本自然保護協会
理事長 亀山 章

沖縄市中城湾港における不発弾爆破処理作業に対する要望書

今月5日に沖縄市中城湾港(新港地区)における不発弾爆破処理作業が予定されている。
私たち環境団体はジュゴンをはじめとする生物多様性を保全する立場から、水中での不発弾爆破処理の海生生物への影響の危険性を認識し、以下の理由から他の方法を検討することを要望する。

第一に、絶滅危惧種ⅠA類(環境省)であり国の天然記念物に指定されているジュゴンに対する影響が懸念されている。ジュゴンは日本における生息数の少ない哺乳動物であり、沖縄島周辺を移動することが知られているジュゴンの保全は喫緊の課題である。今回爆破処理が予定されている海域の近くでは、平成23年1月に勝連崎南でジュゴン1頭が確認されている(添付資料)。また、シュワブ水域調査報告書(沖縄防衛局、2015)には生息が確認されている3頭のうち個体Cと名付けられた個体が伊計島近海を利用した記録がある。この個体は2015年以降は大浦湾を利用していないことから(沖縄防衛局、ジュゴン監視等業務およびシュワブ水域調査報告書)、音に敏感なジュゴンが大浦湾の利用を停止し、再び南下している可能性がある。今回不発弾爆破処理が予定されている場所の近くにジュゴンがいる可能性がある。

水中における音の伝達は空気中に比べて高く、数キロメートル離れた場所の爆破音が聞こえることが知られている。後に述べるよう水中の騒音は多くの生物に影響を与えるが、中でも哺乳類は特に騒音に敏感であることが知られており、移動性の野生動物種の保護に関する条約(ボン条約)締約国会議においては海洋の騒音問題が議題にあがり、海中騒音による海棲哺乳類の音響コミュニケーションの阻害について問題提起がなされたこともある(2008年)。ジュゴンについての最近の研究(溝端、2014)では、ジュゴンは騒音下では発声を調節することが示唆されている。騒音下でも相手とコミュニケーションがとれるよう音量を上げるなどの発声調節を行うが、これは個体の消費エネルギーを増加させ、鳴音の通信範囲を狭めてコミュニケーション機会を減少させる可能性がある(溝端、2014)。これらは将来的に個体の適応度低下、さらには個体数が減少する可能性がある。ジュゴンの保全をすすめるためには、騒音の影響を考慮することが重要である。

第二に、水中の騒音がサンゴ礁の生物に与える影響である。多くの動物は、個体間コミュニケーション、採餌、捕食者の回避などに音を利用する。特に個体間コミュニケーションにおいて音は重要な役割を果たしており、人工的な水中騒音は、哺乳類はもちろんのこと、幼魚や無脊椎動物にも影響を及ぼすことが明らかにされており(Williams et.al 2015)、世界中で問題になっている。

沖縄島周辺のサンゴ礁は大規模な白化現象、赤土流入、埋め立てなどにより大きなダメージを受けている。今年は国際サンゴ礁年であり世界中でサンゴ礁保全の機運が高まっている。沖縄県には沖縄の財産であるサンゴ礁を大切にしていただきたい。また、沖縄県は平成28年度よりジュゴン保護対策事業に着手し、同検討委員会においてジュゴン生息域内での有害な人間活動として、不発弾の海中爆破処理問題が話し合われており、県の対応が問われている。

 

以上のことから、つぎのことを要望する

  1. ジュゴン保護の観点から、4月5日に予定されている不発弾処理の日程を遅らせ、場所や方法について再検討いただきたい

  2. 今後の沖縄県内の不発弾処理の方法について、再検討いただきたい。

 

添付資料:

ジュゴンネットワーク沖縄(2011)ジュゴン目視位置図(座礁・混獲・謎入を含む)(400KB)

ジュゴンネットワーク沖縄(2011)ジュゴン目視記録(座礁・混獲・謎入を含む)(119KB)

 

参考:
1) 沖縄防衛局(2015)シュワブ(H25)水域生物等調査報告書
2) 沖縄防衛局(2016)シュワブ(H26)水域生物等調査報告書
3) 溝端紀子(2014)人間活動がジュゴンに与える影響に関する音響学的研究. 博士学位論文. 京都大学
4) Rachel Nuwer (2014) Listen to the Sounds of a Dying Coral Reef. Smithsonian.com https://www.smithsonianmag.com/smart-news/listen-sounds-dying-coral-reef-180953543/
5) R. Williams et.al.(2015) Impacts of anthropogenic noise on marine life: Publication patterns, new discoveries, and future directions in research and management. Ocean & Coastal Management, Volume 115, October 2015, Pages 17-24


<沖縄市宛>

2018年4月3日

沖縄市長  桑江 朝千夫 殿

北限のジュゴン調査チーム・ザン
代  表 鈴木 雅子
ジュゴンネットワーク沖縄
事務局長 細川 太郎
泡瀬干潟を守る連絡会
共同代表 小橋川 共男
漆谷 克秀
公益財団法人 日本自然保護協会
理事長 亀山 章

沖縄市中城湾港における不発弾爆破処理作業に対する要望書

今月5日に沖縄市中城湾港(新港地区)における不発弾爆破処理作業が予定されている。
私たち環境団体はジュゴンをはじめとする生物多様性を保全する立場から、水中での不発弾爆破処理の海生生物への影響の危険性を認識し、以下の理由から他の方法を検討することを要望する。

第一に、絶滅危惧種ⅠA類(環境省)であり国の天然記念物に指定されているジュゴンに対する影響が懸念されている。ジュゴンは日本における生息数の少ない哺乳動物であり、沖縄島周辺を移動することが知られているジュゴンの保全は喫緊の課題である。今回爆破処理が予定されている海域の近くでは、平成23年1月に勝連崎南でジュゴン1頭が確認されている(添付資料)。また、シュワブ水域調査報告書(沖縄防衛局、2015)には生息が確認されている3頭のうち個体Cと名付けられた個体が伊計島近海を利用した記録がある。この個体は2015年以降は大浦湾を利用していないことから(沖縄防衛局、ジュゴン監視等業務およびシュワブ水域調査報告書)、音に敏感なジュゴンが大浦湾の利用を停止し、再び南下している可能性がある。今回不発弾爆破処理が予定されている場所の近くにジュゴンがいる可能性がある。

水中における音の伝達は空気中に比べて高く、数キロメートル離れた場所の爆破音が聞こえることが知られている。後に述べるよう水中の騒音は多くの生物に影響を与えるが、中でも哺乳類は特に騒音に敏感であることが知られており、移動性の野生動物種の保護に関する条約(ボン条約)締約国会議においては海洋の騒音問題が議題にあがり、海中騒音による海棲哺乳類の音響コミュニケーションの阻害について問題提起がなされたこともある(2008年)。ジュゴンについての最近の研究(溝端、2014)では、ジュゴンは騒音下では発声を調節することが示唆されている。騒音下でも相手とコミュニケーションがとれるよう音量を上げるなどの発声調節を行うが、これは個体の消費エネルギーを増加させ、鳴音の通信範囲を狭めてコミュニケーション機会を減少させる可能性がある(溝端、2014)。これらは将来的に個体の適応度低下、さらには個体数が減少する可能性がある。ジュゴンの保全をすすめるためには、騒音の影響を考慮することが重要である。

第二に、水中の騒音がサンゴ礁の生物に与える影響である。多くの動物は、個体間コミュニケーション、採餌、捕食者の回避などに音を利用する。特に個体間コミュニケーションにおいて音は重要な役割を果たしており、人工的な水中騒音は、哺乳類はもちろんのこと、幼魚や無脊椎動物にも影響を及ぼすことが明らかにされており(Williams et.al 2015)、世界中で問題になっている。

沖縄島周辺のサンゴ礁は大規模な白化現象、赤土流入、埋め立てなどにより大きなダメージを受けている。今年は国際サンゴ礁年であり世界中でサンゴ礁保全の機運が高まっている。沖縄県には沖縄の財産であるサンゴ礁を大切にしていただきたい。

以上のことから、つぎのことを要望する

  1. ジュゴン保護の観点から、4月5日に予定されている不発弾処理の日程を遅らせ、場所や方法について再検討いただきたい

  2. 今後の沖縄県内の不発弾処理の方法について、再検討いただきたい。

 

添付資料:

ジュゴンネットワーク沖縄(2011)ジュゴン目視位置図(座礁・混獲・謎入を含む)(400KB)

ジュゴンネットワーク沖縄(2011)ジュゴン目視記録(座礁・混獲・謎入を含む)(119KB)

 

参考:
1) 沖縄防衛局(2015)シュワブ(H25)水域生物等調査報告書
2) 沖縄防衛局(2016)シュワブ(H26)水域生物等調査報告書
3) 溝端紀子(2014)人間活動がジュゴンに与える影響に関する音響学的研究. 博士学位論文. 京都大学
4) Rachel Nuwer (2014) Listen to the Sounds of a Dying Coral Reef. Smithsonian.com https://www.smithsonianmag.com/smart-news/listen-sounds-dying-coral-reef-180953543/
5) R. Williams et.al.(2015) Impacts of anthropogenic noise on marine life: Publication patterns, new discoveries, and future directions in research and management. Ocean & Coastal Management, Volume 115, October 2015, Pages 17-24

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