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沖縄・辺野古 大浦湾の保全

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2017.11.16

希少サンゴ類の発見、ジュゴンの生息環境近くを通る石材の搬入に、日本政府と沖縄県に要望書を提出しました。

今年9月に続き今月上旬にも希少なサンゴ類の発見が報じられました。

また、ジュゴンの生息環境に近いルートを通る、沖縄島の北部の港から埋め立てに使う石材の積み出しと搬入が開始されたことも報じられています。

日本自然保護協会は、日本政府に 1)直ちに事業を中止し、サンゴ類の分布を正確に把握すること、2)奥港および本部港の利用停止を求める要望書を提出しました。

同時に沖縄県にも、事業者にサンゴ類の分布把握を求めること、沖縄県が公有水面埋め立て承認の撤回することを要望しました。

20171115_県知事宛_日本政府による米軍普天問飛行場代替施設建設事業における海域に生息する希少サンゴ類の生息状況の把握と石材の海上搬入に対する要望(285KB)

20171115_日本政府宛_日本政府による米軍普天問飛行場代替施設建設事業における海域に生息する希少サンゴ類の生息状況の把握と石材の海上搬入に対する要望(182KB)


 ※ 日本政府宛

29 日自然第67号
2017年11月16日

内閣総理大臣    安倍晋三様
内閣官房長     官菅義偉様
国土交通大臣    石井啓一様
防衛大臣      小野寺五典様
環境大臣      中川雅治様
沖縄・北方担当大臣 江崎鐵磨様
沖縄防衛局長    中嶋浩一郎様

 

日本政府による米軍普天問飛行場代替施設建設事業における海域に生息する
希少サンゴ類の生息状況の把握と石材の海上搬入に対する要望

 

米軍普天間飛行場代替施設建設事業(以下、「同事業」)について、今年9月に引き続き今月上旬に新たに希少なサンゴ類を発見したことが報じられた。また、国頭村奥港および本部町本部港から同事業に用いる石材の積み出しと搬入を開始したことも報じられている。

日本自然保護協会は、生物多様性豊かな自然環境の保全に取り組んでいる立場から、以下の事項を要望する。

同事業の環境影響評価は2013年2月に完了し、事業者は事後調査等の位置づけでサンゴ類の分布などの調査を継続している。しかし今年9月の報告に引き続き、今月上旬に更なる希少サンゴ類の群体が発見された(NHK、11月14日)という事実は、事業者のこれまでの調査ではこの海域のサンゴ類の分布状況を十分に把握できていないことが示唆される。

サンゴ類の群体は突然生じるものではないことから、これまでの調査で確認されなかったのは、調査が不十分であったためと考えられる。事業者は直ちに調査を中止し、海域のサンゴ類の調査をより丁寧に行い、海域の現状を正確に把握すべきである。

また、沖縄県が出した港湾使用許可を受けて、同事業に用いる石材を国頭村奥港および本部町本部港から積み出し、辺野古への搬入を開始すると報じられている。これらの港から辺野古への船の経路は、かねてから日本自然保護協会などが指摘してきたように、ジュゴンが移動するルートや、餌場として用いている海草藻場の至近距離に位置する。

そのため、現在でも生息数が少なくなっているジュゴンをさらに脅かす可能性が高い。折しも8月25日から9月30日までの期間に、ジュゴンの鳴き声が辺戸岬で176回、安田地先悔域で4回、沖縄防衛局の調査で記録され(沖縄タイムス、11月14日)、ジュゴンが確実にこの海域を利用している根拠が得られたばかりである。

奥港や本部港は、世界自然遺産推薦区域(予定地)および緩衝地帯(予定地)の外ではあるが、至近距離に位置している。世界自然遺産候補地の自然を守るためには、緩衝地帯の外も含めて沖縄島北部一帯を森から海まで守ることが必要である。さらに、これまでの国内の世界自然遺産登録事例では、IUCNの勧告により推薦区域および緩衝地帯を拡大したことが多いことから(吉田、2008)、緩衝地帯付近を開発することは世界自然遺産登録にも支障を及ぼす可能性がある。

上記の理由により、以下の2つを求め、日本の財産である沖縄の自然を保全していただくことを要望する。

1) 事業実施区域のサンゴ類の分布を正確に把握すること
2) 奥港および本部港の利用を停止すること

以上

参考:吉田正人(2008) 枇界辿産条約と生物多様性の保全『地球環境』13: 15-22

 


※ 沖縄県知事宛

29 日自然第66号
2017年11月16 日

沖縄県知事翁長雄志殿

日本政府による米軍普天間飛行場代替施設建設事業における
環境保全と公有水面埋立承認撤回についての要望

 

米軍普天間飛行場代替施設建設事業(以下、「同事業」)について、今年9月に引き続き今月上旬に新たに希少なサンゴ類を発見したことが報じられた。また、国頭村奥港および本部町本部港から同事業に用いる石材の積み出しと搬入を沖縄県が許可したことも報じられている。

日本自然保護協会は、生物多様性豊かな自然環境の保全に取り組んでいる立場から、以下の事項を要望する。

同事業の環境影響評価は2013年2月に完了し、事業者は事後調査等の位置づけでサンゴ類の分布などの調査を継続している。しかし今年9月の報告に引き続き、今月上旬に更なる希少サンゴ類の群体が発見された(NHK、11月14日)という事実は、事業者のこれまでの調査ではこの海域のサンゴ類の分布状況を十分に把握できていないことが示唆される。

サンゴ類の群体は突然生じるものではないことから、これまでの調査で確認されなかったのは、調査が不十分であったためと考えられる。事業者に、直ちに工事を中止し、海域のサンゴ類の調査を丁寧に行い、海域の現状を正確に把握することを要望していただきたい。

また、沖縄県が出した港海使用許可を受けて、同事業に用いる石材を国頭村奥港および本部町本部港から積み出し、辺野古への搬入を開始すると報じられている。これらの港から辺野古への船の経路は、かねてから日本自然保護協会などが指摘してきたように、ジュゴンが移動するルートや、餌場として用いている海草藻場の至近距離に位置する。そのため、現在でも生息数が少なくなっているジュゴンをさらに脅かす可能性が高い。折しも8月25日から9月30 日までの期間に、ジュゴンの鳴き声が辺戸岬で176 回、安田地先海域で4回、沖縄防衛局の調査で記録され(沖縄タイムス、11月14日)、ジュゴンが確実にこの悔域を利用している根拠が得られたばかりである。

奥港や本部港は、世界自然遺産推薦区域(予定地)および緩衝地帯(予定地)の外ではあるが、至近距離に位骰している。世界自然遺産候補地の自然を守るためには、緩衝地帯の外も含めて沖縄島北部一帯を森から悔まで守ることが必要である。さらに、これまでの国内の世界自然遺産登録事例では、IUCN の勧告により推薦区域および緩衝地帯を拡大したことが多いことから(吉田、2008)、緩衝地帯付近を開発することは世界自然遺産登録にも支障を及ぼす可能性がある。

沖縄県が、事業者に奥港からの石材の海上輸送の停止と環境保全図書の変更承認手続きを要求したことを評価するとともに、沖縄県には沖縄の財産である自然を大切に守るよう要望する。

事業者の希少サンゴ類の調査が不十分であることや、ジュゴン生息域近くを通過する海上搬入が増加することは、公有水面埋め立て承認の際に付された留意事項に反することから、沖縄県に、事業者が事業実施区域のサンゴ類の分布を正確に把握するよう求めるとともに、沖縄県が埋め立て承認を撤回することを要望する。

以上

参考:吉田正人(2008) 世界遺産条約と生物多様性の保全『地球環境』13: 15-22

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