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生物多様性条約第13回締約国会議がメキシコで開幕。日本自然保護協会のポジションペーパーを発表しました。

2016.12.05
要望・声明

日本自然保護協会(NACS-J)からみた愛知目標の現状と今後の課題
生物多様性条約COP13ポジションペーパー

2016年12月5日

<もくじ>

  1. はじめに
  2. 生物多様性の主流化(目標1、20)について
    1) 生物多様性の「認知」から、保全行動の社会への組込みへ
    2) 2030年持続可能な開発目標(SDGs)に向け、自然資本の考え方、国際基準を定着させる
    3) これまでの国際的な約束の潮流を絶やさぬための人材育成の強化を
  3. 侵略的外来種(目標9)について
    1) 外来生物対策「ホノルル・チャレンジ」に日本も参加すべきである。
  4. 海洋・沿岸(目標10)について
    1) 海洋・沿岸域での開発行為は中止し、サンゴ礁域及び砂浜の保全に努めるべきである。
  5. 保護区(目標11)について
    1) 沿岸・海洋保護地域を拡張すべきである。
    2) 地域の拡大あるいは再配置、地種区分の見直しをすべきである
    3) 奥山の保護だけでなく、周辺の人々が利活用している周辺地域も含めて保護地域にすべきである。
    4) 主要な保護地域の管理効果を評価すべきである。
    5) 保護地域の保全管理のための予算や体制を十分に確保するべきである。
  6. 絶滅危惧種(目標12)について
    1) 大きな開発工事が絶滅危惧種の保全に深刻な影響を与え続けている。
    2) 海の自然の知識や重要性を伝える人材の育成を進めるべきである。
    3) 指定種の選定過程の公開、市民の提案制度の充実など、種の保存法を改正し、保全の実効性を高める必要がある。

1.はじめに

2010年10月に愛知・名古屋で開催された生物多様性条約第5回カルタヘナ議定書会合(MOP5)、第10回生物多様性条約締約国会議(CBD・COP10)からすでに6年が経過した。このとき採択された愛知目標の達成年2020年まで、われわれに残された時間はわずかである。

日本では、CBD・COP10以降は生物多様性に関するメディアの報道が急速に減少し、人々の関心も低下してきている。しかしこの間、原子力発電所事故に伴う放射性物質の拡散や、大型公共事業で生物多様性の重要な場所が危機にさらされるなど、深刻な出来事が続いている。

NACS-Jは、生物多様性そのものの意味や価値、CBD・COP10の成果、日本の生物多様性保全の状況や課題を世界に伝えていくことが、全国の現場で活動する会員に支えられているNACS-Jの役割と考えている。

CBD・COP12で決議されたピョンチャンロードマップ、第6回WCCでのハワイコミットメントでは、海洋保全の重要さ、侵略的外来種への対策、生息地破壊の抑止などが強調された。これらについて、日本が世界に貢献すべき課題は山積している。

本ポジションペーパーは、メキシコ合衆国で開催されるCBD・COP13に際し、NACS-Jが生物多様性保全について提言してきたことを再確認し、日本の生物多様性保全の現状を確認して評価した上で、2020年の愛知目標達成を目指して、提言するものである。

2.生物多様性の主流化(目標1、20)について

【目標 1】 遅くとも2020年までに、生物多様性の価値及びそれを保全し持続可能に利用するために取り得る行動を、人々が認識する。
【目標20】 遅くとも2020年までに、戦略計画2011-2020の効果的な実施に向けて、あらゆる資金源からの、また資源動員戦略において統合、合意されたプロセスに基づく資金動員が、現在のレベルから顕著に増加すべきである。この目標は、締約国により策定、報告される資源のニーズアセスメントによって変更される可能性がある。

1)生物多様性の「認知」から、保全行動の社会への組込みへ

愛知目標1「生物多様性の主流化」は、すべての目標の基盤としてその達成が求められる。しかし、わが国の「生物多様性」というキーワードの認知度は、環境問題に関する世論調査(内閣府・平成26年7月調査)では46.4%に留まっている。また、生物多様性地域戦略は、2015年3月末現在で、46都道府県中35都道府県、14政令指定都市、48市区町村の合計97の自治体で策定されたと報告されている。

「生物多様性の主流化」とは「生物多様性」という単語の「認知度」だけではなく、社会のしくみとして「生物多様性保全」優先が定着しているかどうかが重要であり、業務や生活、すべての行動の中に意識的のみならず無意識的にもしくみとして組み込まれていることが重要である。

日本では、「自然の恵み」に対する感受性は高く、義務教育課程での環境教育も進んでいる。それにより、必ずしも「生物多様性」という言葉の認知度によらず、「生物多様性の価値」は社会に浸透している面もある。しかし、景気の悪化や少子高齢化、過疎化による地方の疲弊によって、生物多様性保全に成果を上げる政策決定や資源動員、イノベーションや経済的インセンティブの創出は後手に回り続け、大規模な公共土木事業による自然破壊、人々の無関心が招く外来種の拡散や身近な希少種の絶滅が続いている。

2)2030年持続可能な開発目標(SDGs)に向け、自然資本の考え方、国際基準を定着させる

開発分野における国際社会共通の目標であるミレニアム開発目標(MDGs)が2015年末に期限を迎えることから新たに採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」は、環境の持続可能性確保に重点を置いた検討がなされ、17の目標が設けられた。2030年SDGsにあるとおり、開発分野においても、生物多様性の損失を食い止め、自然資本の元本を維持することが、持続可能な地域、持続可能な地球存続の基盤であることが明示されている。CBD COP10で決議された愛知目標の流れからも、SDG目標14の陸の生態系保全、SDG目標15の海の生態系保全の目標達成年は、愛知目標達成年の2020年までとされている項目がほとんどである。

日本の自然保護NGOは、国際自然保護連合や生物多様性条約、ラムサール条約の事務局、ユネスコ等の国際機関と協力し、世界の生物多様性保全へ貢献をすべく、活動を加速し、企業や自治体の巻き込みに力を入れている。

しかし、2016年現在、日本国内では巨大公共土木事業による埋め立て、沿岸への巨大防潮堤、巨大ダム建設、山岳域での長大なトンネル建設など、生態系の劣化をもたらす公共事業の進行に歯止めがかかっていない。

地域住民やNGOとの連携をより強固にした持続可能な活動への取り組みは、自然資源を原料とする一部の企業法人や、国際基準で生物多様性保全の姿勢を強化するグローバル企業、また自然生態系農業や保護地域の持続的管理と活用を地域再生の主軸とする地方自治体で散見されるようになった。「自然資本」の考え方にも注目し、自然資源を損なわない調達や自然と共生する地域づくりをリードする動きもある。

しかし残念ながら、これらはまだ「一部」に留まり、トップランナーからの垂直展開や業界全体、県全体の事業方針を包括するような取り組みやしくみにまでは成長していない。

2020年までに愛知目標の各目標に対して意味ある成果、SDGsにおける環境保全目標の達成を日本から報告するためには、社会へのしくみとして投資や資金移動のインセンティブとなるパリ協定のような起爆的な生物多様性保全に向けた経済的国際協定や国際認定基準が必要である。

3)これまでの国際的な約束の潮流を絶やさぬための人材育成の強化を

日本が世界に対して貢献すべき課題は山積している。その多くは、保全のための意思決定ができる人材、保全活動の担い手の人材の不足が招く問題でもあり、これまでの国際的な生物多様性保全の約束の潮流を絶やさぬための人材育成を大胆に加速すべきである。

なお、人材育成は、すべての目標の実行に必要な基本的かつ重要事項である。各目標の達成に必要な特筆すべき人材育成については、以下の各目標に記した。

NACS-Jは、生物多様性の主流化(目標1、20)のために、子どもから大人まで、生物多様性を理解する教育の場の創出とともに、都市化や外遊びの減少により薄れがちな自然とのふれあいの促進、場の提供を力強く進める。またそれらの教育普及活動にかかわる自治体や企業との連携を一層強化していく。

自然を守り生物多様性の保全の価値を広め、自然とともに生きていくことをより多くの市民と共有するため、自然観察を通じた自然保護教育の拡大や、自然資源を活かした地域づくりを実現できるプランナーやアクティビストの養成事業を、一層加速する。

また、ユネスコエコパークなど保護地域のしくみを通じた農林業や観光業の生物多様性保全への取り組み、企業の本業への生物多様性保全事業の組み込み、そして商品やサービスの選択における生物多様性の尊重など、社会のしくみとして「生物多様性」が優先される取り組みを、国や自治体、企業、他セクターNGOに働きかけ、ともに推進していく。

3.侵略的外来種(目標9)について

【目標9】  2020 年までに、侵略的外来種とその定着経路が特定され、優先順位付けられ、 優先度の高い種が制御され又は根絶される、また、侵略的外来種の導入又は定着を防止 するために定着経路を管理するための対策が講じられる。

1)外来生物対策「ホノルル・チャレンジ」に日本も参加すべきである。

目標9を受け、日本政府は2012年9月に「生物多様性国家戦略2012‐2020」を閣議決定し、その中で外来種対策に関する国別目標を掲げた。政府は、掲げられた目標のなかで、2015年3月に「我が国の生態系等に被害を及ぼすおそれのある外来種リスト(生態系被害防止外来種リスト)」の作成および「外来種被害防止行動計画」の策定を実施した。

「外来種被害防止行動計画」には対策の優先度の高い侵略的外来種の制御もしくは根絶、希少種の生息状況や本来の生態系の回復の促進も掲げられているものの達成状況は思わしくない。特に「外来種被害防止三原則」(1.入れない、2.捨てない、3.拡げない)のうち、最も根本的かつ重要な外来種対策である「導入・逸出の防止」の対策が不十分である。今後検討していくという内容にとどまっており、より具体的な目標設定が必要である。非意図的な侵入や拡大を防ぐことが、外来種対策の費用対効果を下げることにつながる。

例えば空港や港湾地域における防除システムの徹底が必要である。世界自然遺産に登録された小笠原諸島において、エコツアーの中に、足ふきマットや酢酸塗布といった取り組みが一般観光客への教育・普及をになうと同時に、島間および島内での拡散防止に一定の成果を上げている事例もみられる。同時に、建築資材、土砂、農業用品などに紛れての外来種の拡散を防止することも重要である。外来種対策には、こうした観点も取り入れ、異なる生物地理区域間での物資の移動を禁止するあるいは厳重にチェックするなどの措置を導入すべきである。

2016年9月に、米国ハワイで開催されたIUCN第6回世界自然保護会議では、IUCNから勧告 「島嶼生態系への外来種の侵入経路管理の強化」が出され、日本政府の島嶼生態系における外来種対策にさらなる対応が求められた。また同会議では、世界の多くの国々が今後外来種対策を強化していくことを約束した「ホノルルチャレンジ」が採択された。日本もホノルルチャレンジに参加し、「導入・逸出の防止」の対策の充実に努める必要がある。

4.海洋・沿岸(目標10)について

【目標 10】 2015 年までに、気候変動又は海洋酸性化により影響を受けるサンゴ礁その他の脆弱な生態系について、その生態系を悪化させる複合的な人為的圧力を最小化し、その健全性と機能を維持する。

目標10は急速に迫る気候変動および海洋酸性化による危機に対応するために特に脆弱な生態系を対象にして設けられた目標である。本目標の達成年であった2015年は過ぎているが、目標の達成に至っていない。

1)海洋・沿岸域での開発行為は中止し、サンゴ礁域及び砂浜の保全に努めるべきである。

日本のサンゴ礁は、日本の海岸線総延長の0.01%を占めるに過ぎない。ただし、日本はサンゴとサンゴ礁分布の北限にあたり、黒潮の影響から同緯度地域に比べ多くのサンゴが分布する。このため日本のサンゴ礁生態系を保全することは、面積以上に国際的に重要な意味を持つ。

サンゴ礁生態系の保全と持続可能な利用を通した地域社会の持続的な発展に向けて、2010年に「サンゴ礁保全推進行動計画」(環境省)が策定され、続いて2016年4月に「サンゴ礁生態系保全行動計画2016-2020」が策定された。しかし、これらの計画はサンゴ礁生態系を保全するには、十分に具体的かつ効果的ではなく、達成年であった2015年には間に合わなかった。

2016年夏は、気候変動に起因すると思われる大規模なサンゴの白化現象が世界的に見られ、日本でも石西礁湖(例:沖縄タイムス2016年11月10日など)などの八重山諸島地域や、沖縄島周辺の宜野湾や勝連半島での白化がリーフチェック等の調査やファンダイバーの目視から確認されている。

保全対策としてサンゴ移植が沖縄県や移植業者により行われているが、技術的に確立していない(日本サンゴ礁学会、2018。大森、2016)うえに、気候変動に対する対抗策が確立されないままでは、移植群体は白化等の脅威を免れない。

一方で、サンゴ礁を直接失う埋め立て行為(那覇空港滑走路増設事業や浦添の埋め立て事業など)が止まらない。生態系を悪化させる複合的な人為的圧力を最小化しているとは言い難く、現状では、サンゴ礁を守ることは全くできていない。

日本の自然海岸は53.1%しか残っておらず、愛知ターゲット採択後のこの6年間にも埋立工事や防潮堤建設工事は、止まるどころか件数が増えている。気候変動に伴うと思われるサンゴの白化現象、開発行為による直接的な改変、水質の悪化等により、サンゴの被度は大きく下がっており(沖縄県,2009-2011)、また白化現象が起こる頻度も高まっている(Guldberg,1998)。

オニヒトデなどの食害生物の駆除などは対症療法に過ぎず、食害生物の増加は水質の悪化に起因すると解明されているにも関わらず(Fabricious,2008)、水質を良い状態に保つ為の有効な手段は開発されていない。気候変動や海洋酸性化などによりサンゴは減少しているが、サンゴの病気への対応方法はない。また、最近ではサンゴ礁などの沿岸生態系が失われることで、地球温暖化に伴う海面上昇や高潮による被害が倍増するとの試算もある(Arkema et al. 2013)。

2011年の東日本大震災後、巨大防潮堤建設計画により東北の沿岸の370kmが失われ、あるいは失われつつある。九州や沖縄では海砂採取も進められており、奄美大島の嘉徳や沖縄島の嘉陽など、海砂採取地点付近において砂浜に大きな変化が生じている場所もある。さらに、気候変動により国内の砂浜が約90%消失する可能性についても(NHKニュースおはよう日本、 2014年2月1日)懸念がある。

以上のように、サンゴ礁の保全は進捗せず、東北では砂浜の多くが防潮堤建設工事で失われようとしている。さらに、全国各地で不要な海岸沿いの道路が建設されている。これは海と陸のつながりを絶つ不可逆的な改変である。すでに手つかずの自然海岸が少ないことから、目標10に記されていることを今後達成するためには、これまで以上にサンゴ礁や砂浜への開発行為は慎重にすべきである。直接的破壊や汚染物質の流入などを止めるべきである。あらゆる意味で、開発行為が生物多様性の大きな脅威・損失になっている現状を十分に検証し、沿岸域の破壊行為を止めなければならない。

5.保護区(目標11)について

【目標11】2020 年までに、少なくとも陸域及び内陸水域の17%、また沿岸域及び海域の10%、特に、生物多様性と生態系サービスに特別に重要な地域が、効果的、衡平に管理され、かつ生態学的に代表的な良く連結された保護地域システムやその他の効果的な地域をベースとする手段を通じて保全され、また、より広域の陸上景観又は海洋景観に統合される。

1)沿岸・海洋保護地域を拡張すべきである。

目標11を受けて、日本政府は「日本の海域の8.3% が海洋保護地域(MPA) である」と発表した。しかし政府の主張するMPA は、生物多様性保全や自然生態系の保全、持続可能な利用の実現に機能してはいない。なぜなら、政府の主張するMPA の根拠となる法律の多くが、生物多様性保全が主目的ではなく、大きな割合を占めている海洋水産資源開発促進法や漁業法に基づく海域は、水産対象種しか考慮していないからである。またMPAの設置に必要である、目的、範囲、規制内容、その期間、手法が明確になっていない場合が多い。それゆえ、政府が主張するMPA8.3%は生物多様性保全に貢献しているとは言えず、真のMPAとは言い難い。NACS-Jの試算では、生物多様性保全を目的とした日本のMPAは0.3%未満である。海の生物多様性保全上の重要地域を含むよう、保全を目的とした真のMPAを拡張すべきである。

環境省は、2016年4月にEBSAに準じて選定された日本の重要海域を公表した。しかし、これは環境省のみの判断によるもので、日本政府全体にとって意味を持つ位置づけになっていないため、保護地域とはいえない。

2016年9月にアメリカ合衆国は「パパハナウモクアケア海洋国立モニュメント」を151万平方キロメートル(日本の面積約38万平方キロメートルの約4倍)に拡大した。10月には、南極の太平洋側にある海域であるロス海を海洋保護区(MPA)に指定することを24カ国と欧州連合(EU)が合意した。日本も、このような世界の流れを真摯に受け止めるべきである。

参考:NACS-J沿岸保全管理検討会提言書(2011年)

2)保護地域の拡大あるいは再配置、地種区分の見直しをすべきである

2010年以降、日本は、国立公園3カ所(67,858ha)、世界自然遺産1カ所(陸上6,358ha)、ラムサール登録湿地12カ所(7,802ha)、ユネスコエコパーク新規3カ所(395,086ha)および既存4地域の拡張(269,754ha)が行われた。国土面積の比率では約2%保護地域が増加したことになる。

2010年には日本の保護地域全体の面積は国土の約19.3%(環境省資料は20.3%)を越えており、生物多様性条約締約国会議(CBD-COP10)で決議された愛知ターゲット目標11の「2020年までに少なくとも陸域及び内陸水域の17%が保護地域によって保護されていること」についてはすでに達成されていることはたいへんな成果であるといえる。

しかし、保護地域が拡大される一方、国立公園の特別保護地区や第一種特別地域のような厳正に保護されている地域だけを抽出し、合計した結果はわずか3.6%にしかならない。また、生物多様性保全の観点から重要な自然地域がすべて既存の保護地域で網羅されているわけではなく、危機に瀕した植物群落と保護地域とのギャップ分析においては、約半分の植物群落、特に水辺の群落や草原、里山などの身近な自然が保護地域によって覆われていないことがわかった。こうした、保護の対象からはずれがちな危機に瀕した群落タイプを含むように保護地域の拡大あるいは再配置が求められる。また、自然公園における植生自然度との対応関係からも植生自然度が高いにもかかわらず普通地域になっている地区もあり地種区分の見直しが必要である。

自然公園は日本で最も面積が大きく、保護林、鳥獣保護区はそれに次ぐ面積をもっており、2010年以降面積もわずかに増加している。一方、自然環境保全地域、天然保護区域、生息地等保護区など適地があるにもかかわらず指定できていない保護地域が存在しているため、対象となる自然地域に応じてこれらの制度をうまく活用すべきである。

3)奥山の保護だけでなく、周辺の人々が利活用している周辺地域も含めて保護地域にすべきである。

日本の保護地域の場合、高山や奥山など人が立ち入らない山岳域などが保護地域に指定されている場合が多いことから、周辺の人が住む居住地も含めた保護地域を設定すべきである。奥山の下流域や周辺の地域は、木材や山菜、キノコの採取など供給サービス、水源涵養や土砂流出防備などの調整サービス、祭事、レクリエーション、エコツーリズムなど文化サービスなど保護地域から生ずる各種生態系サービスを享受していながら、近年人々の暮らしにおける自然のとの関わりが希薄になってきたこともあり、奥山だけが保護地域に指定されることで地域の人々の関心や関係性がより希薄になる傾向がある。一方、地域の人々が地域の自然を持続的に利用しながら伝統的な暮らしを今も続けている地域もあり、保護地域になることで利活用が制限され分断化され、伝統的な利用の衰退、管理者と地域住民との対立や地域の関心が希薄になることは避けなければならない。また、生態系の連続性や生態系サービスの健全性を確保する上でも森、川、里、海のつながりを確保することで、地域の生物多様性保全を促進することができる。

近年、ジオパークやユネスコエコパークなどの活動で、重要な地域の保護だけでなく、人と自然が共生する持続可能な地域づくりやそれを活かした地域振興を進めることができることから、市町村にとって関心の高い取り組みも進められている。環境省、林野庁、文化庁などそれぞれの管理者が個々に保護地域を増やしていくのではなく、日本全体としてどの地域にどの保護地域を増やしていけば、生物多様性保全上最大の効果が得られるのか戦略的に検討していくべきである。

4)主要な保護地域の管理効果を評価すべきである。

生物多様性条約保護地域作業計画では、2015年までに60%の保護地域で管理効果を評価するという目標がたてられている。しかし、日本の場合、ほとんどの保護地域で管理効果評価は行われていないことから、管理効果評価のための枠組みを検討し、より効果的な保全管理を進めるべきである。また、今後普通地域や移行地域などの居住地を含む保護地域を拡張するにあたっては同時に定期的な保全管理効果評価を行う必要がある。

2014年11月に開催された第6回世界公園会議において、IUCN保護地域グリーンリスト(The IUCN Green List of protected areas)に世界25箇所の保護地域が掲載されたことが発表された。この背景は、世界の保護地域の議論は、「重要地域の指定(面積拡大)」から「しっかり守り、活用する(管理の質)」にシフトしていると考えられる。IUCNグリーンリストは、保護地域の管理の質を向上させることを、「褒める」仕組みを使って支援する取組である。日本は既存の保護地域にこうした枠組みを活用して保護地域管理効果評価をより促進させる必要がある。

5)保護地域の保全管理のための予算や体制を十分に確保するべきである。

自然公園の保護と利用を進めるための事業費である自然公園等事業費の2010年以降の環境省の予算の推移を見ると、107億18百万円(2010年)、95億12百万円(2011)、76億49百万円(2012)、73億95百万円(2013)、75億31百万円(2014)、87億88百万円(2015)、81億13百万円(2016)と世界自然遺産や国立公園が増加しているにもかかわらず、予算は増加していない。環境省職員数は2,953人(2016年)で1,233人(2010年)よりも増加しているが、2011年に発生した東日本大震災による福島第一原子力発電所事故により拡散された放射性物質に対する環境対策に伴う増員であり、現場の保護地域管理を担う自然保護官事務所の職員数はあまり変化していない。他の保護地域の予算や体制も同様の傾向がある。効果的な保全管理の促進、保護地域の拡張、保全管理効果の評価に向けた予算や体制の増強が求められる。

また、効果的な保護地域の保全管理のためには、職員数の増強に加えて地域の自治体や市民、企業など多様な主体の参画や協働管理していくための仕組み作りなどの保護地域のガバナンスを効果的に行う必要がある。

6. 絶滅危惧種(目標12)について

【目標 12】 2020 年までに、既知の絶滅危惧種の絶滅が防止され、また特に減少している種に対する保全状況の改善が達成、維持される。

目標12を受けて、環境省は種の保存法を改正し、罰則の強化や指定種拡大に取り組んでいる。しかし絶滅危惧種とされている種の10%にも満たない種しか、法の対象種とされていないうえに、陸上の絶滅危惧種の半数が生育・生息する里地・里山地域では、保護区の設定も行われていない。

また、日本の絶滅危惧種保全のうち、陸上の生物に比べ、海洋の生物の対応がさらに大きく遅れている。平成24年から海洋生物レッドリストを作成しているが、広域に分布する種等の一部、二国間や多国間協定の対象として資源評価が行われる種、環境省レッドリスト(陸域)で対象としている種は、海洋生物レッドリストの対象にしていないなど不十分なものである。

1)大きな開発工事が絶滅危惧種の保全に深刻な影響を与え続けている。

山口県上関では、スナメリやカンムリウミスズメなど希少な生物が棲息しているにも関わらず原子力発電所の建設計画が進められている。

沖縄では、規模の大きな公共事業のみを例にとりあげても、大嶺海岸(那覇空港滑走路増設事業)、浦添海岸開発、泡瀬干潟、辺野古・大浦湾(普天間代替飛行場移設事業)などが進行中である。いずれの場所においても国や県のレッドリストに掲載のある絶滅危惧種、希少種や国内初記録の種などの生息が確認されている。

特に辺野古・大浦湾には、沖縄島を生息域の北限とするジュゴンが多く見積もっても10頭に満たない個体数しか棲息しておらず、環境省のレッドデータブックに準絶滅危惧種として記載されている7種の海草から成る沖縄島最大規模の海草藻場が広がっている。また、甲殻類、貝類、海藻類、魚類など異なる分類群の生物種において多くの新種、貴重種、日本初記録種が発見されている(日本自然保護協会、2014)。これらの事実にも関わらず埋め立ての計画が進んでおり、このまま進むと多くの絶滅危惧種や絶滅種が生じることになる可能性が高い。

泡瀬干潟でも新種や国内初記録の生物種が発見された。海草など移植された種もあったが失敗に終わった。これらの種はレッドリストや論文には残されたが、保全は出来なかった。多くの種の重要な生息地が埋め立てにより失われたにも関わらず、いまだ有効な環境保全対策が取られないまま埋め立て工事が進められている。

このような状況下では、愛知ターゲット12の達成は困難である。また海の愛知ターゲット(目標6,7,10,11,12)が相互に関連していることは今や世界的な常識であるため、この目標12に対する姿勢は他の目標の達成にも影響を与えるであろう。

2)海の自然を伝える人材の育成を進めるべきである。

専門家のもとで行われる海の調査やモニタリングに対する市民参加のシステムを強化する必要がある。陸域ではモニタリング1000や、いきものみっけ(100万人による生物多様性調査)などの市民参加型の調査があるが、海の分野では国が関与するものは非常に少なく、NGO等が行うものも限定的である。海の調査ができる人材は専門家を含めても絶対数が少ないため、調査にかかわる人材の裾野を広げる必要がある。ビジターセンターのレンジャーや、地域のキーパーソン、地域の市民団体などが、市民にモニタリングの大切さを教え、調査への参加も出来る人材育成システムの導入を検討すべきである。地域に既存のNGO がある場合には、これらの組織をさまざまな側面で活用することも検討すべきである。

地域によって異なる事情を勘案し、上述のようなさまざまに仕組みを通じて、市民のモニタリング調査の参加や実施を可能にし、将来的には市民モニタリング調査の結果が、的確に政策に反映されるような仕組みを構築することが望ましい。

3)指定種の選定過程の公開、市民の提案制度の充実など、種の保存法を改正し、保全の実効性を高める必要がある。

環境省のレッドリストは、3,000種を超える種が絶滅危惧種に指定されている。しかし、そのほとんどが陸域の種で、海洋生物については少ない。また、種の保存法に指定されている種は、200種に達しておらず10分の1にも満たない。そのうえ、指定種の選定過程は公開されておらず、なぜ指定されたのかや、されなかったのかについて、国民が検証することができない。

そこで、常設の科学委員会を公開のもとに設置し、科学的に妥当な指定がなされる制度にする必要がある。同時に、行政だけでは絶滅危惧種すべてを指定し、かつ保全回復計画を策定することは遅々として進まない。この状況を変えるために、国民から指定する種を提案する制度を設けるとともに、保全回復計画や生息地等保護制度についても国民からの提案制度を創設し、官民共同のもとで絶滅危惧種の保全回復に努めなければ、とうてい目標の達成はできない。また、公共事業の開発行為に関して環境大臣が意見を述べることができるようにし、開発行為による絶滅が起きないようにしなければならない。

以上


The Nature Consevation Society of Japan

Table of contents

  1. Introduction
  2. About mainstreaming of biodiversity (target 1, target 20)
    1) Shifting from recognition of biodiversity to incorporation of conventional actions into the society
    2) For implementation of Sustainable Development Goals (SDGs) by 2030, we need to get the concept of natural capital and its international standard entrenched.
    3) Let us enforce cultivation of human resources who continuously work for keeping international promise made so far.
  3. About invasive alien species (target9)
    1) Japan should take part in the “Honolulu Challenge”, the measures for prevention of invasive alien species problems.
  4. About ocean and coastal areas(target10)
    1) Development activities in the ocean and coastal areas should be discontinued and efforts should be made to conserve coral reef and sand beaches.
  5. About protected areas(target11)
    1) We should expand marine and coastal protected areas.
    2) We should expand or replace protected areas, and conduct revision of geographical classifications.
    3) Not only pristine mountains, we should include surrounding places which are utilized by local people, into protected areas.
    4) We should assess effects of management in main protected areas.
    5) We should secure a sufficient budget and systems for conservation management in protected areas.
  6. About threatened species (target 12)
    1) Large-scale development have giving seriousl damages to threatened species.
    2) We should raise human resources who can convey messages and knowledge about nature in the sea.
    3) Revision of Act on Conservation of Endangered Species is required (e.g. revealing the selection process of species with the public, enhancement of public participation for proposals), and to enhance viability of conservation.

1. Introduction

Six years have already passed since fifth meeting of the Conference of the Parties serving as the Meeting of the Parties of the Protocol (MOP5) and tenth meeting of the Conference of the Parties to the Convention on Biological Diversity (CBD・COP10) were held in Nagoya, Aichi prefecture in October 2010. It also means that we have only a little time until 2020, the target year for the Aichi Biodiversity Targets which were adopted at COP10.

In Japan, report by media about biodiversity has drastically decreased after CBD・COP10. While people’s interest in biodiversity has also declined, serious events have occurred such as diffusion of radioactive materials after accidents in nuclear power plant, crisis of distruction of biologically important place caused by a large-scale public works projects.

We The Nature Conservation Society of Japan (NACS-J),with support  from members in all over Japan, considers our role to provide information about the meaning and value of biodiversity, achievements in CBD・COP10, and conditions and problems of biodiversity conservation in Japan.

In Pyeongchang Road Map resolved in CBD・COP12 and Hawaii Commitment in 6th IUCN World Conservation Congress, various things were emphasized; importance of sea conservation, measures against invasive alien species, and destruction of animal’s and plant’s habitat. Regarding those matters, there are a lot of problems that Japan should contribute to solve them for not only Japan but also for the world.

This position paper was written for CBD・COP13 in Mexico, aiming to resolve for achievement of Aichi targets in 2020, reaffirming what NACS-J has resolved about biodiversity conservation, examining and assessing current conditions of biodiversity conservation in Japan.

2. About mainstreaming of biodiversity (target 1, target 20)

【Target 1】By 2020, at the latest, people are aware of the values of biodiversity and the steps they can take to conserve and use it sustainably.
【Target 20】By 2020, at the latest, the mobilization of financial resources for effectively implementing the Strategic Plan for Biodiversity 2011-2020 from all sources, and in accordance with the consolidated and agreed process in the Strategy for Resource Mobilization, should increase substantially from the current levels. This target will be subject to changes contingent to resource needs assessments to be developed and reported by Parties.

1) Shifting from recognition of biodiversity to incorporation of conventional actions into the society

Aichi target 1 ‘mainstreaming of biodiversity’ should be achieved as a basis of all other targets. However, visibility of the keyword ‘biodiversity’ or ‘biological diversity’ is limited to 46.4%, according to an opinion poll (Cabinet Office / the poll is conducted in July 2014). Also, it is reported that Local Biodiversity Strategy and Action Plans is developed in 97 local governments (35 prefectures out of 46, in 14 government-designated cities, 48 municipalities) (as of March 2015).

For ‘mainstreaming of biodiversity’, it is important that not only the word ‘biodiversity’ is recognized, but also biodiversity conservation become established as a social system. In addition, it is important that biodiversity conservation is incorporated as a system into all activities, both consciously and unconsciously.

In Japan, sensitivity to ‘blessings of nature’ is high and environmental education in compulsory education is advanced. Hence ‘the value of biodiversity’ is well understood, regardless of the ‘visibility’ of the word ‘biodiversity’. However, economic downturn, the declining birth rate and the aging population, exhaustion of countryside by depopulation have caused continuous postponement of policy decision, resource mobilization, creation of innovation and creation of economic incentives for biodiversity conservation. In parallel, nature has been destroyed by large-scale public works projects, invasive alien species have spread by indifference of people to biodiversity, and familiar rare species have become extinct.

2) For implementation of Sustainable Development Goals (SDGs) by 2030, we need to get the concept of natural capital and its international standard entrenched.

‘Transforming our world: the 2030 Agenda for Sustainable Development officially known as “Sustainable Development Goals (SDGs)”’ were adopted when Millennium Development Goals (MDGs), which are shared goal in international society in a field of development, were due in 2015. In SDGs, 17 goals were set after discussion focusing on the sustainability of the environment. SDGs, which are due in 2030, clearly shows that preventing the loss of biodiversity and guarantee of principal of natural capital are the basis of sustainability of regions and sustainability of the Earth.
SDGs are surely influenced by the Aichi Biodiversity Targets. Regarding SDG 14 (conservation of life below water) and 15 (conservation of life on land), most of sub-goals are not due 2030 but due 2020, the same time limit of the Aichi Biodiversity targets.

Japanese environmental NGOs are putting efforts on involution of companies and local governments for contributing biodiversity conservation in the world, with international organizations such as International Union for Conservation of Nature (IUCN), the Convention on biological diversity secretariat, the Ramsar convention secretariat, and United Nations Educational, Scientific and Cultural Organization (UNESCO).

These days, effort for sustainable activities strongly tied with local communities and NGOs are often seen especially in some companies which use natural resources as raw materials, global companies which put more efforts on biodiversity in international standards, local governments whose agriculture, sustainable management and utilization of protected areas become a major part of regional restoration.

Efforts for sustainable activities strongly tied with local communities and NGOs are often seen, such as in some companies which use natural resources as raw materials, global companies which put more efforts on biodiversity in international standards, and local governments whose organic agriculture, sustainable management and utilization of protected areas become a major part of regional restoration.

Paying attention to the concept of ‘Natural Capital’, there are movements that lead the way in procurement without destroying nature and community planning that living harmony with nature.

However, these movements are not incorporated into systems in all organizations, industries, and local government.
In order to make meaningful outcome of each of the Aichi Biodiversity Targets, and an achievement of goals of environmental conservation shown in SDGs from Japan, international economic agreement and international authorization standard are required which can be a trigger for biodiversity conservation such as the the Paris Agreement adopted under the United Nations Framework Convention on Climate Change.

3) Let us enforce cultivation of human resources who continuously work for keeping international promise made so far.

There are a lot of issues that Japan need to contribute to the world. Most of the problems are caused by lack of human resources who can make decisions and actions for conservation of biodiversity. Hence we need to accelerate cultivation of human resources who continuously work for keeping international promise made so far.
Cultivation of human resources is the most fundamental and important thing for putting all the Aichi Biodiversity Targets into action. A specific type of cultivation of human resources which is required for achievement of each targets are mentioned in each goals below.

We NACS-J, for mainstreaming of biodiversity (Aichi Biodiversity Target 1, 20), provides education for understanding biodiversity for adults and children, and opportunities to get in touch with nature, which can be neglected by urbanization and less outside playing. We also enforce cooperation with local governments and companies which is involved in such education and information.

In order to communicate the value of biodiversity conservation and nature protection, and to share the value of living with nature with citizens, we accelerate our efforts for education of nature conservation through observation and cultivation project of planner and activist who can achieve community planning utilizing natural resources.

Also, we promote activities that put priority on biodiversity as a social system, such as engagement for biodiversity conservation by agriculture and tourism sector through a system of protected areas (e.g. Biosphere Reserves), incorporation of biodiversity conservation projects into core business of companies, and valuing of biodiversity in selection of products and services, with national and local governments, companies, and NGOs in other sectors.

3. About invasive alien species (target9)

【Target 9】By 2020, invasive alien species and pathways are identified and prioritized, priority species are controlled or eradicated, and measures are in place to manage pathways to prevent their introduction and establishment.

1) Japan should take part in the “Honolulu Challenge”, the measures for prevention of alien species problems

In response to target 9, the Japanese cabinet decided the “Biodiversity National Strategy 2012-2020” in September 2012, including setting the national targets for alien species. Under the objectives stated, the Government of Japan prepared “a list of alien species that could harm ecosystems in our country (the list of preventing damage of ecosystems by alien species)” and implemented formulating “the action plan of preventing damages caused by the invasive alien species” in March 2015.

Although the “alien species damage prevention action plan” mentions the control or eradication of invasive alien species with high priority of countermeasures and the promotion of rare species habitation or the recovery of the original ecosystem, the achievement status is not satisfactory. In particular, among the “Three Principles for preventing damages caused by the Invasive Alien Species
“(1. No importation, 2. No release, 3. No spreading), measures to prevent importation / release, which is the most fundamental and important alien species treatment is insufficient. It only wrote ‘importance of consideration for the future’, however more specific target is necessary. Preventing unintentional introduction and spreading leads to lower cost-effectiveness of alien species.

For example, it is necessary to thoroughly check the prevention control system in airports and port areas. At the eco tour in the Ogasawara archipelago designated as the World Natural Heritage Site, efforts such as foot matting and acetic acid application contribute to education and awareness of general tourists. And the efforts are also good examples that achieve certain results in prevention of diffusion of alien species among islands and islands.
At the same time, it is also important to prevent the spread of alien species by being misled by building materials, sediment, agricultural items etc. For alien species countermeasures, these measures should be adopted, and prohibiting or strictly checking the movement of goods between different biological areas.

At the IUCN Sixth World Conservation Congress held in Hawaii in September 2016, IUCN issued a recommendation “Strengthening pathway management of alien species in island ecosystems “. In addition, further response was required for measures against alien species in the island ecosystem of the Japanese government. At the same meeting, the “Honolulu Challenge”, which many countries around the world promised to strengthen preventing alien species measures in the future, was adopted. We strongly believe that Japan also needs to participate in the Honolulu Challenge and strive to enhance measures to prevent “importation / release”.

4. About ocean and coastal areas(target10)

【Target 10】By 2015, the multiple anthropogenic pressures on coral reefs, and other vulnerable ecosystems impacted by climate change or ocean acidification are minimized, so as to maintain their integrity and functioning.

Target10 is a target aimed at particularly vulnerable ecosystems to cope with the rapidly approaching climate change and the crisis due to ocean acidification. 2015, which was the target year of this target, has passed, but the target has not been achieved.

1) Development activities in the ocean and coastal areas should be stopped and efforts should be made to conserve coral reef and sand beaches.

Japanese coral reefs account for only 0.01% of the total coastline length of Japan. However, Japan is at the northern limit of coral and coral reef distribution, and the influence of the  Kuroshio current  spreads more corals than in the locations same latitude area. Therefore, conserving the coral reef ecosystems in Japan has an international significance beyond the size of the area.

In 2010, the “Coral Reef Conservation Promotion Action Plan” (Ministry of the Environment) was formulated to conserve coral reef ecosystems and promote s


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