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生物多様性条約への取り組み

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2016.11.01

「持続可能な開発目標(SDGs)実施指針の骨子」に対し意見を提出しました。

2016年5月、日本政府は持続可能な開発目標(SDGs)に係る施策の実施のため、関係行政機関の相互の連携を図り、総合的かつ効果的に推進するため、全国務大臣を構成員とする持続可能な開発目標(SDGs)推進本部を設置しました。10月18日、持続可能な開発目標(SDGs)実施指針の骨子が決定され、広く国民に意見を募集するパブリックコメントが行われました。NACS-Jは、実施指針の骨子として、「地球システムを健全に運営できる範囲においてのみ社会が成り立ち、経済が持続する」というSDGsの実施の基盤となる認識の強化と、特に愛知目標達成年の2020年までに求められる生物多様性保全にかかる目標14,15に対する具体実施施策の明記を求め、意見を提出しました。

持続可能な開発目標(SDGs)実施指針の骨子に対するパブリックコメント

 

2016年11月1日
公益財団法人 日本自然保護協会

 

■地球システムを健全に運営できる範囲においてのみ社会が成り立ち、経済が持続する
 SDGs実施指針骨子のⅠ本文 1 序文 において、「わが国は既に、今後の世界における持続可能な経済・社会作りの先駆者」と謳っている一方で、2 現状の分析(現状の評価)の「SDG 指標とダッシュボード」でわが国へ指摘されている通り、SDG1(貧困)、SDG5(ジェンダー)、SDG7(エネルギー)、SDG13(気候変動)、SDG14(海洋資源)、SDG15(陸上資源)、SDG17(実施手段)については、「達成までほど遠い」との評価である。

 

 SDGsの基盤として、「地球システムを健全に運営できる範囲(プラネタリー・バウンダリー)において人類が発展する」ということの認識が、特に日本社会では遅れている。経済、社会、環境の3本柱の並列的な統合、という思想ではなく、地球環境の健全な保全の上に社会が成り立ち、社会が成り立ってはじめて経済が回るという、根本認識の改善に取り組まねば、日本は「持続可能先進国」には成り得ない。
慶應義塾大学大学院教授/UNU-IASシニアリサーチフェロー/S-11プロジェクトリーダーの蟹江憲史氏の発表p16、p19-22)

 

 SDG13(気候変動)、SDG14(海洋資源)、SDG15(陸上資源)への対応の遅れは、この根本認識の希薄さの現れであり、今回の本文のビジョンと優先課題、実施原則、および実施指針付骨子において、最も改善すべきはこの根本認識の強調と、SDG13(気候変動)、SDG14(海洋資源)、SDG15(陸上資源)への対応施策の取組を基盤として増やすことである。特にSDG14(海洋資源)、SDG15(陸上資源)は、生物多様性の世界目標である愛知目標の達成年である2020年までに実行すべき指標が多く定められており、危急的に実施を優先すべきである。実施指針の骨子としても「生物多様性の保全」という項目で包括するのではなく、具体的実施施策を明記すべきである。

 

 以下、本文、実施指針付骨子について修正、追加すべき点を列記する。

 

実施指針骨子 本文 追加・修正
3 ビジョンと8つの優先課題(取組の柱)

● 「持続可能で強靱、そして誰一人取り残さない、経済、社会、環境の統合的向上が実現された未来への先駆者を目指す」

 

 

● 「現在及び将来の世代の人類が依存している地球の生命維持システムを保護しつつ、持続可能で強靱、そして誰一人取り残さない、社会、経済の統合的向上が実現された未来への先駆者を目指す」
6 フォローアップ・レビュー

● わが国におけるSDGsの推進状況を~

(挿入)

●国連持続可能な開発のための~

 

 

●なかでも、世界の生物多様性の目標として2010年の生物多様性条約第10回締約国会議で採択された愛知目標に関連する、SDGs目標14,目標15に対する取組は、愛知目標の達成年である2020年までのターゲットが多いことから、取組状況の報告を先行して行う。

実施指針付骨子

6 生物多様性、森林、海岸等、環境の保全

国内

生物多様性・海洋・陸上資源)

追加・修正

 

● 生物多様性の保全(環境省)【14.5、15.1、15.5、15.6】

<この項目が一番上にあるべき>

● 生物多様性国家戦略2012-2020の確実な実施(内閣府、環境省、農林水産省、国土交通省、経済産業省、文部科学省)【14.5、目標15】

●絶滅危惧種の保護、絶滅防止策の実行(環境省)【15.5】(環境省、農林水産省、国土交通省、文部科学省、経済産業省)

●ABSの推進(環境省、農林水産省、国土交通省、経済産業省)【15.6】

なし

 

●海洋及び沿岸、陸域の生態系、淡水系生態系の回復のための取組(国土交通省、環境省、農林水産省)【6.6、14.2、15.1】
 ● 持続可能な森林経営の推進(農林水産省)【15.2】 ● 持続可能な森林経営の推進(農林水産省)【15.2】

●生物多様性を含む山地生態系の保全(農林水産省、環境省)【15.4】

なし ●外来種の侵入防止・悪影響回避対策の実行(環境省、農林水産省、経済産業省)【15.8】
なし ●保護対象生物の違法取引撲滅への緊急対策の実行、需要と供給への対処(外務省、経済産業省)【15.7、15.c】
なし ●生態系と生物多様性の価値を国や地方の計画策定、戦略、会計への組み込み(内閣府、財務省、環境省、総務省)【15.9】
なし ●生物多様性と生態系の保全と持続的な利用のための資源動員、大幅な増額(内閣府、財務省、環境省、総務省)【15.a】
なし(環境状況把握)

追加

なし ●生物多様性モニタリング情報、ボーリングデータ等地質地盤情報の公共情報化(環境省、国土交通省、農林水産省)【11.5,13.1,15.1,16.10 】
国外

(森林・海洋資源)

追加・修正

● 水産資源の持続的利用の推進(農林水産省)【14.5、14.C】 ●水産資源の持続可能な利用のための保全策の推進(農林水産省)【14.5、14.c】
(環境状況把握)

追加・修正

なし ●海外支援事業における生物多様性モニタリング情報、ボーリングデータ等地質地盤情報の国際公共情報化(国土交通省、環境省)【11.5,13.1,15.1,16.10 】

 

以上

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