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風力発電所建設問題

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2つの風力発電事業の中止を求める意見書を地元団体と連名で提出しました。

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2015.11.16

山形県酒田市の沿岸に隣接して計画されている
2つの風力発電事業の中止を求める意見書を地元団体と連名で提出しました。


(写真:出羽三山の自然を守る会)

風力発電は、再生可能な自然エネルギーのひとつです。適切に使えば環境への負荷を軽減することが可能ですが、自然エネルギーだからといってすべてが持続可能な開発とは限りません。
山形の海岸線に計画されている風力発電事業は、山形県と酒田市が、隣接する場所に計画しており、ふたつあわせると合計出力13,800kwとなります。合計出力では、環境影響評価法の対象規模ですが、県と市が個別の事業としたために、法アセスの対象外となり、個別の環境影響だけで事業が進もうとしています。

山形県酒田市十里塚風力発電事業の中止を求める意見書(PDF/173KB)


 

2015年11月10日
環境大臣 丸川  珠代  殿
山形県知事 吉村 美栄子 殿
酒田市長 丸山  至  殿

 

山形県自然保護団体協議会
幹事団体 出羽三山の自然を守る会
会 長 太田 道徳
公益財団法人 日本自然保護協会
理事長 亀山 章

 

山形県酒田市十里塚風力発電事業の中止を求める意見書

 

山形県と酒田市は、同市十里塚海岸の隣接する地域で、風力発電事業を計画しています。2012年8月に発表されたこの計画は、風力発電のための風車を、山形県と酒田市が3基ずつ、計6基、合計出力13,800kW分を建設するものです。自然を尊び自然を活かした社会をめざす自然保護団体として、この事業に注目し、環境への影響を危惧してまいりましたが、地元団体から再三の要望提出にもかかわらず、これまで環境への配慮に改善がみられておりません。
現在計画されている本事業について、改めて以下の3点を強く求めるとともに、これらの対応が実行されない場合、またその合理的理由を地域社会に説明できない場合には、山形県と酒田市は事業を中止するべきです。

 

要 望 事 項

 

1.複数の事業が近接して計画されている場合、一事業のみの影響評価ではその地域の生物多様性への影響を回避・低減することは不十分です。
山形県と酒田市には、両事業一体として環境影響評価を行い、累積的な環境影響を回避・低減することを求めます。
環境省には、環境影響評価法のがれのような状態のまま本事業が進むことのないよう適切な指導をおこなうとともに、環境影響評価は規模だけではなく重要な環境が対象となるよう対象事業の考え方を検討することを求めます。

 

理 由
環境影響評価法は、2012年10月に、合計出力7,500kW以上の風力発電施設を建設する場合、法定の環境影響評価を義務付けました。しかし山形県と酒田市は、それぞれ3基6,900kWずつの計画として、環境影響評価法の対象外とし、法定の環境影響評価と同じ項目の調査を実施するものの、自主的な環境影響評価を行うとしています。この方法では、地域や自然への影響を正確に予測することができず、したがって十分な影響の回避もできません。
また、環境大臣は、「(仮称)秋田・潟上ウィンドファーム風力発電事業に係る計画段階環境配慮書に対する環境大臣意見」(2014年10月)において、「事業実施想定区域周辺では、他事業者による複数の風力発電所が設置済み又は今後設置予定であることから、事業者間での情報共有を行い、累積的な環境影響を回避、低減するよう風力発電設備等の配置等を検討すること」として、他事業も含めた影響を評価し、回避・低減策を講じるよう求めています。

 

2.計画地に残されている沿岸生態系の重要性を認識し、具体的な保全策を市民や専門家を交えて策定してください。

 

理 由
計画地は、庄内海浜県立自然公園であり、国指定最上川河口鳥獣保護区に指定されています。
海岸の汀線-砂山(防浪砂堤)-砂草地-クロマツ林という、海と陸をつなぐ移行帯(エコトーン)が残されており、この沿岸生態系のまとまりが、絶滅危惧種の植物や昆虫が生育生息する貴重な環境になっています。この一帯は、ハクチョウやガンカモ類の季節移動ルートに位置し、コアジサシの繁殖地でもあります。コアジサシは、環境省レッドリストでは危急種(VU)、山形県レッドリストではより危険度の高い絶滅危惧種(EN)であり、絶滅危惧Ⅰ類にリストアップしている県も多い絶滅が危惧されている鳥類です。
隣接するクロマツ林は、長年人間が手を加えて造成した砂防林であり、文化財としても重要なものです。こうした景観を損なうことを理由に、過去に2つの風力発電計画が許可されなかった経緯もあります。
地域の資産・財産として保全すべきものが何であるか、どうすれば次世代に残すことができるのか、その具体的な保全策を市民や専門家を交えて策定することが必要です。

 

3.自然エネルギーのリスクは、化石燃料や原子力と比較すれば相対的には小さいがゼロではありません。自然エネルギーの開発においても、予防的なアプローチをとり、地域社会のさまざまなステークホルダーの合意形成がはかられてから事業を進めることを求めます。

 

理 由
この計画が出てきた背景には2012年3月に山形県が策定した「山形県エネルギー戦略」があります。東日本大震災に伴う東京電力福島第一原発事故を受け、吉村知事等が「卒原発」を提唱、新たなエネルギー源として、太陽光や風力などの「再生可能エネルギー」が推進されています。我々は地域の持続可能な発展には、省エネルギーの推進と同時に自然エネルギーの利用が必須であり、山形県エネルギー戦略の考え方には賛同します。
ただし、自然エネルギー事業関係者、自然保護関係者が参加する「持続可能な社会と自然エネルギー研究会」でとりまとめられた「持続可能な社会と自然エネルギーコンセンサス」では、“すべての自然エネルギー事業が「持続可能な開発」に該当するとは限らない”など、7項目のコンセンサスが紹介されています。
また、自然エネルギーの開発で、重大かつ取り返しのつかない影響の恐れがある場合には、
“予防的なアプローチが必要であること”、“自然エネルギーの利用は、地域の物理的・社会的な環境の改変を伴うことが避けられないことから、とくに地域社会にかかわるさまざまなステークホルダーの社会的な合意を前提とすること”などが挙げられています。
以上のことから、山形県、酒田市においても、自然を損なわない自然エネルギーの推進をめざすべきです。

 

この件について11月末日までに貴職からの回答を求めます。
以上

 

資料
●(仮称)秋田・潟上ウィンドファーム風力発電事業に係る計画段階環境配慮書に対する環境大臣意見

 

●「持続可能な社会と自然エネルギーコンセンサス」環境エネルギー政策研究所と自然エネルギー財団

 


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▲建設予定地から鳥海山を望む。手前の茶色が砂草地、右がクロマツ林。
(写真:出羽三山の自然を守る会)

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