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河川生態系の保全・ダム問題

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2015.01.08

種の保存法指定種アユモドキ生息地を保全し、京都スタジアム計画の見直しを求める意見を出しました。

種の絶滅は、科学技術が進んでもとりかえしがきかない深刻な問題ですが、日本では、まだ種が絶滅することを軽く安易に考えているとしか思えない開発計画が少なくありません。昨年、NACS-Jが意見書を提出した京都スタジアム計画もそんな開発計画のようです。多くの学会や国の機関もこの計画の問題を指摘しているにもかかわらず、不確かな保全策を根拠に開発を優先させようとしています。
 

 
2015年1月8日
京都府知事 山田 啓二 殿
京都府公共事業評価委員会委員長 小林潔司 殿
公益財団法人 日本自然保護協会
理事長 亀山 章
 

種の保存法指定種アユモドキ生息地を保全し、

京都スタジアム計画の見直しを求める意見

 
アユモドキは、国の天然記念物で環境省レッドリストの絶滅危惧ⅠA類の絶滅危惧種であり、種の保存法の国内希少野生動植物種に指定されて、2004年11月には、文部科学省、農林水産省、国土交通省、環境省の4省でアユモドキ保護増殖事業計画が策定されています。また、亀岡周辺の水田地帯は近畿地方に唯一残るアユモドキの生息地で、湿性植物の多様性が高く、棚田の石垣等伝統的な里山景観があることから、ラムサールの潜在登録候補地に登録されています。
 
亀岡のアユモドキ生息地に計画されている京都スタジアムに対しては、亀岡駅北地区の南丹都市計画に対する環境大臣意見にあるように、国内希少種への影響の観点から環境省が、また天然記念物への影響という観点から文化庁が、重要な課題と捉えています。日本魚類学会、日本生態学会はじめ、多くの専門家や団体からも、計画の問題の指摘と計画の見直しが要望されています。
 
日本自然保護協会も、アユモドキはわが国の重要な自然遺産であるという考えから、京都スタジアム計画に注目しており、2014年2月6日に「種の保存法政令指定種アユモドキ生息地における亀岡市都市計画及び京都スタジアムの計画に対する要望書」を提出し、アユモドキの生息環境を最優先に保護することと、農業などの地域の営みと生態系保全が両立する社会のしくみを目指すよう提言してきました。
 
地元団体によると、アユモドキへのスタジアム建設の影響は、京都府及び亀岡市が設置した環境保全専門家会議において評価され、京都府公共事業評価委員会に諮られる予定であると聞きました。本計画について、日本自然保護協会は以下のことを求めます。
 
生物種の絶滅を止めることは国際的な重要課題です。これまでの多くの開発事例で、絶滅危惧種のみの移動・移植が多数行われてきましたが、それでは保全にならなかった現場を多くみています。アユモドキについては生息環境の保全が、最優先事項です。
 
保全策の評価には十分な科学的根拠が必要です。アユモドキへの影響、保全の妥当性を判断するために必要な科学的根拠が不足している現状においては、公共事業評価委員会で諮るのは拙速と考えます。
日本の自然を守る活動を半世紀以上続けてきた日本自然保護協会は、発祥の地である尾瀬の電源開発を始めとして、失われる自然の価値が十分に認識されないまま開発計画が立てられた現場の問題に取り組んできました。その中で、計画の適切な見直しによって保護されたものが、地域の方々のアイデンティティとなっていったり、地域の経済発展に寄与している現場を数多く見てきました。
 
アユモドキの保全には、京都スタジアムの計画を根本から見直すことが必要です。京都府にとって、また我が国にとって重要な自然遺産が保全されるよう求めます。
以上
 

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