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【終了しました】種の保存法に指定すべき国内希少野生動植物種の提案募集中(11/28〆切)~あなたの提案が採択される!!提案書の書き方を解説します~

2014.10.03
解説

絶滅危惧種を保全するため「種の保存法」で指定する国内希少野生動植物種を国民から提案できる画期的な取り組みが始まっています。NACS-Jが考える「提案書策定のポイント」、「提案制度の意義と役割」を、下記にまとめました。

「自分が大切に思っている種を国内希少種に指定にしたい」と思っている方は、まず、「国内希少野生動植物種の指定の提案書」作成のポイント<解説編>を読み、その後、「国内希少野生動植物種の指定の提案書」作成のポイント<実践編>を参照しながら提案書を作成されることをオススメします。

この提案の締め切りは、11月28日となっていますので、保全をすべき種の情報をお持ちの方はぜひ、環境省へ提案してみて下さい(詳しくは、「国内希少野生動植物種の指定の提案書」作成のポイント<解説編>を参照)。


解説編

種の保存法の現状(2020年までに300種指定種追加の目標、予算・人員不足など)と、提案書を審査する側が重視する点(国や専門家はどんな提案を受け入れ指定したいと思うのか?)から、「どんな種が指定されやすいか?」、「提案書の中で何を強調すれば提案が採択されやすいのか?」を解説しています。
「国内希少野生動植物種の指定の提案書」作成のポイント<解説編>(PDF/370KB)

実践編

解説編のポイントを元に、提案書のフォームに沿って強調すべきポイントを書いていますので、提案書作成に活かしてみてください。
「国内希少野生動植物種の指定の提案書」作成のポイント<実践編>(PDF/144KB)

関連資料

提案制度の意義と役割(会報『自然保護』2014年1・2月号より転載)

 


「国内希少野生動植物種の指定の提案書」作成のポイント<解説編>

提案書の提出期限と提出先

  • 種指定の提案は常時受付けられていますが、来年度の検討の対象にするためには11月28日までに、環境省に提出する必要があります。
  • 提案書のフォーム、提出先、提出方法、などは環境省HPをご覧下さい。
    http://www.env.go.jp/nature/yasei/hozonho/teian201409.htmlリンク切れ

提案書の審査から指定まで

  • 提案書は、専門家が参加する非公開の検討会で審議され(平成27年度開催予定)、必要に応じて追加調査が実施され、環境省が国交省などの関連省庁と協議した上で、指定の適否を決定する予定のようです。
  • なお、審査終了後に、指定の適否等の結果を提案者に連絡される予定です。(指定数は、この国民提案以外の指定も含み、年間50種程度と考えられます。)

提案書作成のポイント

  • 「この種を保全すべきだ・保全したい」という気持ちは一度ぐっとこらえて、どうしたら国が提案を受け入れ指定したいと思うか?そのためには提案書で何を強調すべきかを考えましょう。
  • 種の保存法の運用の現状と、提案書の審査プロセス(環境省、国交省などの関連省庁、専門家の検討)を考慮すると、提案書で強調すべきポイントは下記の5点と考えられます。そのため、下記の5点に留意し、「国内希少野生動植物種の指定の提案書」作成のポイント<実践編>を参照の上、記述するとよいでしょう。

※「種の保存法」は、種を守るための最強の法律ですが、万能ではありませんし、現状では指定すれば必ず守られるという保証もありません(ポイント②③参照)。提案しようとしている種を、保全するために、国内希少種に指定するのが最もよい選択肢なのか、冷静に考える必要もあります。

ポイント1:日本全国レベルで絶滅の危険性が高いこと

日本には3597種の絶滅危惧種がありますが、国内希少野生動植物種に指定されているのは89種(絶滅危惧種の2.5%)のみです。このように日本全国レベルで保全すべき種が多数残されている現状があるため、提案書には「日本全国レベルの絶滅の危険性」を具体的に記述する必要があります(例:環境省版レッドリストではIA類、日本では生育地は1カ所で5個体しかない、過去10年間で個体数は1/10に減少した、等)。

ポイント2:指定による規制・保全活動が効果的であること

種指定による規制は、主に捕獲・採取・譲渡の禁止、生育・生息地の改変・開発規制があります。捕獲・譲渡などの禁止は、法改正後に罰則※が強化されたこともあり、現地の監視体制が整っていればかなり効果的です。また、生育・生息地の改変・開発は原則禁止されるため、開発が減少要因となっている種に対して有効です。ただし、公共事業はこの規制の適用除外です。これはこの法律の課題となっています。

指定によって、保護増殖事業や巡視などの保全活動が行われる種もあります。しかし、現在は指定種のうち約半数の49種しか保護増殖事業が行われていないことや、その予算は非常に限られていていること(図1)、さらに、今後2020年までに300種追加指定される予定ですが、予算は2倍程度にしか増えていないため、当面、1種あたりの予算は従来以上に少なく、増殖事業を行える種は限定される可能性があります。
以上のことから、提案書には、指定による規制の有効性を強調し、保護増殖事業活動の必要性だけを強調しないような書き方が有効と思われます。

※平成25年の法改正後の罰則の主な変更点は下記のサイトをご覧下さい
http://www.env.go.jp/nature/yasei/hozonho/info20130612/mat04.pdf

ポイント3:保全の取り組みが既に実施されているもしくは、予定されているかどうか

保全活動の実績、予定が重視される理由は2つあります。1つ目は、上記の②で述べたように、2020年までに300種を指定しても、指定後の保全を担保できる予算や体制が不確実なため、指定後の保全が担保される見込みのある種が優先される可能性が高いことです。

2つ目は、指定前後の違法採取を防ぐための体制が求められる種があることです。指定によって採取を規制しても、それを取り締まる体制がなければ、採取の危機は減りません(図2)。特に、鑑賞価値が高く、人気のある種は、指定によって希少価値が高まり、違法採取が進み、絶滅の危険性が高まることも考えられるため、指定前から現場の保全体制が必要になる種があることも留意が必要です。

ポイント4:1種の指定でいかに多くの絶滅危惧種の保全ができるか

上述のポイント2、3のように、日本で保全にかけられる労力は限られています。そのため、絶滅危惧種が多数分布する場所(ホットスポット)に分布する種を指定し、多数の種を同時に保全することができれば日本の生物多様性保全上大きな前進となります。そこで提案書に、提案する種の生育・生息地に出現する絶滅危惧種はすべて列挙し、それらの種も同時に保全できることを強調するとよいでしょう。

ポイント5:平成26年度の優先募集対象

環境省HPによると「平成26年度は、昆虫類・両生類・爬虫類・維管束植物の指定の募集が優先」とされています。他の分類群の提案も可能ですが、この点も留意が必要です。

kisyosyuteianpoint2.jpg▲図1.日本とアメリカの絶滅危惧種保全事業予算の比較
2007年度の事業費は16.6億ドル(=1899億円;2007年末114円/ドルで計算)で日本の3.8億円の約500倍に相当。対策が取られている1種あたりの事業費(2007年度)でも、アメリカは1.5億円で、日本の0.1億円の約15倍と桁違い((自然保護 2010 No.513p12-13)に加筆)。

kisyosyuteianpoint3_egonokiran.jpg▲写真:奄美大島に分布するコゴメキノエラン
「国内希少野生動植物種」に指定されています。しかし指定後も盗掘が行われ、保全体制の強化が必要な種でもあります。

ご参考:種の保存法の現状と課題に関する資料


「国内希少野生動植物種の指定の提案書」作成のポイント<実践編>

(下の画像をクリックすると「「国内希少野生動植物種の指定の提案書」作成のポイント<実践編>」のPDFが開きます)

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