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リニア中央新幹線に係る環境影響評価書に対する環境大臣意見にコメントを出しました

2014.06.10
要望・声明

 
リニア中央新幹線に係る環境影響評価書に対する環境大臣意見に対するコメント(PDF/181KB)


2014年6月5日

リニア中央新幹線に係る環境影響評価書に対する環境大臣意見に対するコメント

公益財団法人 日本自然保護協会
理事長 亀山 章

本日、リニア中央新幹線に係わる環境影響評価書に対する環境大臣意見が発表された。

リニア中央新幹線は、東海旅客鉄道株式会社が東京~名古屋間の1都6県を結ぶ大規模開発事業である。世界自然遺産登録やユネスコエコパークへの登録を目指す南アルプス国立公園など山岳地域から、東海丘陵要素をはじめとする里山環境など多くの生物多様性保全上重要な地域を貫く計画であることから、日本自然保護協会はこの計画を注視してきた。

環境大臣意見は、本事業が近年稀にみる大規模開発事業であり、我が国の生物多様性に深刻な影響を及ぼす可能性について十分に認識した、環境行政として的確な意見である。

個々の問題点への指摘だけでなく、「技術の発展の歴史を俯瞰すれば、環境の保全を内部化しない技術に未来はない。」と、根本的な姿勢を明確に示している。

個別事項では、

  • 地下水、エネルギー需要の増加への危惧と対策
  • 長期にわたる工期に対する追加的な調査や予測および評価の実施
  • 猛禽類(クマタカ、サシバ、オオタカ)の保全は原則は回避であること
  • 発生土の譲渡先での自然改変を防止するための保全措置、
  • 関係する地方公共団体や住民の理解なしに実施は不可能で、意見を十分に勘案すること、

などが指摘されている。

ただし、環境影響評価法の問題点として、環境大臣意見には強制力がない。いかに真摯に受け止めるかは事業者次第である。指摘された影響評価の保全措置を具体的に実効性あるものに作りかえ、環境の保全を内部化できなければ、未来のない技術であることを認めることになる。

事業者は、これらの指摘を真摯に受け止め、沿線自治体や住民の理解を得たのちに着工に移るべきである。       

以上

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